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2009年02月10日
殆どの日本人は本土クラスターと琉球クラスターに分かれる?
現代日本人のルーツについては南方アジア系、北東アジア系の二重構造説(2006年12月07日投稿されています。「二重構造モデルの補足の補足」 人類学者の埴原和郎氏が主唱している説)と、そうではなく4つのルートがある(2006年12月07日 日本人はるかな旅
→「弥生時代の渡来人」がやってきたルートは4つある )と言う説と未だ定説となるものがありません。
●昨年9月彼のノーベル賞受賞者野依良治氏が理事長をつとめる、独立行政法人理化学研究所が1人あたり約14万個所のDNA塩基多型を用いて日本人の集団構造を解明した。
図1
○7,000人以上の日本人の常染色体上のDNA塩基多型情報を解析 し
○ほとんどの日本人は、本土クラスター、琉球クラスターの2つに大別 され
○本土でも遺伝的な地域差があることが判明した
バナークリックをよろしく
○病気のかかりやすさ、薬の副作用の有無は、私たちそれぞれで違っています。この個人の体質の違いの遺伝的な要因を明らかにして、それぞれの人の特質に見合った治療を行うオーダーメイド医療がスタートしています。心筋梗塞、糖尿病、関節リュウマチなど、さまざまな疾患の原因遺伝子を同定するために、ゲノム全体をカバーする1塩基多型(SNP)を使った関連解析が、わが国ばかりか世界規模で展開されています
その一連の解析の結果、日本人の遺伝子構造が大きく2つに分かれることが明らかになったそうです。
(図1)以下「理研ゲノム医科学研究センター」HPからの引用です。
研究グループは、日本人7,001人と中国人45人のサンプルについて、1人あたり約14万個所のSNP※①の遺伝子型データを用いた主成分分析を行いました。その結果、日本人の大部分が本土クラスターと琉球クラスターに大別できることを明らかにしました。さらに、本土の中でも遺伝的な地域差があることが明確となりました。
注、※①SNP(スニップと発音されることが多い)
DNAの1塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism)で、過去に起きたDNAの点突然変異による。ヒト集団では染色体をランダムに2本選んで比較すると、1,200~1,500塩基に1つの割合で、SNPがあると推定されている。ヒトゲノム上では、約12,000,000のSNPが報告されている。
今回の研究では、国際ハップマッププロジェクトの4つの集団(西・北欧系ユタ州住民60人、ナイジェリアのヨルバ族60人、東京在住の日本人45人、北京在住の中国人漢民族45人の合計210人)のSNPのデータに加えて、バイオバンクジャパンの日本人7,003人の、常染色体上にある1人あたり140,387個所のSNPを解析に用いました。この日本人7,003人は、心筋梗塞、糖尿病、関節リウマチなど35種類の疾患のいずれかの患者であり(バイオバンクジャパンでは47種類の対象疾患があります)、病院の所在地により、7つの地域(北海道、東北、関東甲信越、東海北陸、近畿、九州、沖縄)にグループ分けされています。
欧米人、アフリカ人を含んだ解析により、日本人7,003人のほぼ全員が東アジア人のグループに属することを確かめました。次に、この内の7,001人を中国人45人のサンプルと共に解析した結果、7,001人は本土クラスターと琉球クラスターの2つの主なクラスターに大別されることがわかりました。つまり、前者には本土の6つの地域で採血された大部分の人が含まれ、後者には沖縄で採血された人の大部分が含まれていました。本土クラスターと琉球クラスターの遺伝的分化の程度は非常に小さく、そのためSNPの頻度の違いは大部分についてはわずかでしたが、約14万個所という数多くのSNPを用いたために、2つのクラスターを観察できたと考えられます。さらに、本土の中でも遺伝的な地域差があることが明確にわかりました(図2)。今回の結果は、従来から提唱されている日本人集団の「ニ重構造」説と矛盾しないものです
。
また、アミノ酸を変化させるSNPの頻度の違いを比較したところ、髪の毛の太さと関連のあるEDAR遺伝子のSNP、耳垢のタイプと関連のあるABCC11遺伝子のSNPの頻度がもっとも大きい違いを示しました。
また、日本人の集団構造が、今後、アジアの近隣諸国の人のデータと共に解析されることによって、集団間の違い、民族の歴史、人の移動の程度を含めた詳細な集団構造の理解が進むことになります。近縁な集団間における遺伝的な関係や違いの程度を理解することで、SNPと疾患の関係を解明する研究が、アジアの近隣諸国でも加速していくと注目されます。
※最近はここで紹介したSNPの分析やミトコンドリアの分析により、日本人の分子レベルの解析が進んでいます。
今回の研究成果ではクラスターの分類と髪の毛の太さや耳垢の乾湿による形質的な特質による分類との整合性も見られるようです。
一方、三内丸山遺跡を初め各地で遺跡発掘が続いており、今後もまだまだ新たな発見が得られる可能性があります。
歴史事実の解明とそれをベースにした「日本人の縄文なる(本源)体質」の探求はホントに奥が深いテーマです
投稿者 ryujin : 2009年02月10日 TweetList
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コメント
投稿者 スバール : 2009年2月26日 22:17
>自分の一族のことは二の次で、本気で倭国を良くすることを考えていたのではないか
酔いどれ天使の元財務御上の失態を契機に
円売り、つまり円安が進行し始めたといいます。
ことはそんなに単純だとは思いませんが、輸出関連
企業の業績回復の神と崇められることになったりして。