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2008年02月02日

中国文明:中国考古学の実情

以前、tanoさんが投稿されていました良渚遺跡跡発掘で中国の王朝史は遡るのか? 😉
答えにはならないのですが、まずは、中国の考古学事情についての記事をアップしたいと思います。というのも、いろんな情報を集めてみると、どうもこの現実をおさえておかねばならないと感じました
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道端に放置される土器片(All aboutより)
byさーね
本当の中国の姿は
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中国は国家規模で埋蔵分化発掘に投資をしている国です。夏王朝を最古の王朝とする発掘調査も数年前からプロジェクト化して進めています。今回の良渚遺跡群の都市遺跡発掘もその流れでなされているのだと思います。良渚遺跡跡発掘で中国の王朝史は遡るのか?
確かに、「夏商周年表プロジェクト(断代工程)」という国家的プロジェクトがあり、既に夏王朝は実在しただろうというところまで来ています。ただ、どうも、中国での遺跡発掘は場当たり的なような状況でもあるようです。

経済発展は考古学研究にも大きな影響を与えます。現在の中国がまさにその局面を迎えています。都市部の再開発、高速道路建設、圃場(ほじょう)整備などに伴う緊急発掘調査が各地で休みなく行われています。大発見のきっかけが高級別荘地の開発だったともよく耳にします。
All About中国考古学最前線

緊急発掘調査とは

建築物を建てる際や道路、鉄道などを通す際の土地の再利用の際に破壊が予測される遺跡を記録保存するために地方公共団体、財団法人の埋蔵文化財調査事業団若しくは埋蔵文化財センター、地方公共団体が大学教授などに依頼して組織された発掘調査団、遺跡調査会などが発掘調査を行う。これを特に緊急発掘調査と呼ぶことがある。ウィキペディア

一度、京都大学霊長類研究所で発掘に携わっている方の講演を聞いたことがあるのですが、発掘は必ず予測→仮説を立てながら行うようです。しかし、経済活性化著しい中国では、かなり場当たり的な発掘になっている可能性があるのではないでしょうか
一方、裏には、こんな中国考古学の現状があります

一方で残念ながら、盗掘のニュースが日常茶飯事となってしまいました。組織的に集団になって、綿密な計画と万全の装備によって古墓や窯跡などを盗掘しています。時には調査の休止期間を狙って発掘現場や倉庫に忍び込み、時には調査員を恐喝して文物を強盗するという事件まで発展しています。
それらは特殊なルートで海外へと流出してしまっているようです。逮捕された盗掘者たちは厳罰に処されていますが、いまだに後を絶ちません。「一切の文物は国家に属する」-白いペンキで遺跡周辺の民家の煉瓦壁に書かれたスローガンが中国の抱えている文化財保護の問題を叫んでいます。All About中国考古学最前線

日本で、まず盗掘など聞いたことがありません。しかし、中国では盗掘が横行しているのです。よくよく考えてみると、日本の某大学などにも中国の古文書があったりします。意外に、中国の出土物は海外に流れているかもしれません 🙁
加えて、最近の夏王朝の「大墓」に関する情報です。
>虚構の「大墓」

二号宮殿の正殿と北壁との間に面積が22平方メートルにおよぶ東西向きの「大墓」があり、盗掘によって副葬品は失われていたが、二里頭文化で最大規模の墓として報告されていた。

しかし、盗掘抗の大きさはわずか直径1メートルほど、それにもかかわらず棺かくの痕跡や人骨・副葬品などが全く発見されていないのは、いかにも不自然である。わたしは…(中略)…墓とは認めがたいことを論じた。

2002年にこの「大墓」を再発掘し、わたしの指摘していたとおり墓ではない可能性が高まったという。同じ組織による再発掘のため「大墓」が公式に撤回されることはないかもしれない。しかし、いずれ二里頭文化の議論から「大墓」が消えさることはまちがいない。これまで国内外のほとんどの研究者は、報告書をうのみにして墓の階層性を論じていた。わたしが論文で「大墓」に疑問を投げかけても、研究者のほとんどは強大な王権をものがたる「大墓」こそ宮殿・青銅器・玉器の発達した二里頭文化にふさわしいと夢想しつづけ、砂上の楼閣を築いていたのである。…(中略)…二十年以上も誤りが見抜けなかった考古学の信頼回復には時間がかかるかもしれない。

(夏王朝 中国文明の原像 岡村秀典著 講談社学術文庫より)
これらの現状を合わせて考えてみると、あらゆる場面で、自己中的な構造が見受けられます
●経済発展による場当たり的な緊急発掘
😈 利益第一の経済活動。利益のためならなんだってやる。
●後をたたない盗掘という現実
😈 金のためなら、盗掘も辞さない自己中的行動
●王権を信じて疑わない学者の思考
😈 名誉のためなら、捏造に近い、いい加減な考古判断を行う。
やはり、tanoさんが言われるとおり、
良渚遺跡跡を古代中国王朝とみなすには単に宮殿の発見をもって整合させるだけではなく、同時に以前、以後の歴史との論理整合性を計る必要があります。良渚遺跡跡発掘で中国の王朝史は遡るのか?
歴史事実を解明するという点で、特に中国はこの視点を欠いてはいけないと感じました

投稿者 sawatan : 2008年02月02日 List  

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