【縄文再考】火の使用は縄文人の自然に対する観念・追求の賜物、現代社会の可能性 |
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2022年05月21日
縄文土器と渦巻文の謎―なぜ、土器には渦巻文様が多く用いられるのか?―
今回は、多くの縄文土器に用いられる「渦巻文様」について見ていこうと思います。
渦巻文様自体は、土器に限らず、世界各国の歴史的遺産から発見されています。特にBC3000年頃には、石や粘土に渦巻きを用いた出土品が多くあり、その理由は何だったのか、何か共通の要因があるのか。
自然界や人の活動、神話に現れる渦文様を見ていきながら、土器に表現された渦の謎を少しでも解明できればと思います。
〇自然の中の渦
流体力学や回転運動など、その発生理由はさまざまありますが、自然の中には非常に多様な渦が存在しています。例えば・・・
かたつむり。巻貝。アンモナイト。 蔓草。アサガオ。クラゲ。人の頭のつむじ。指紋。竜巻。水の流れの中にできる渦巻。カルマン渦。年輪。虹。北斗七星など天空の回転。台風。木星の大赤斑。惑星の誕生。天の川銀河。ブラックホールなど。
〇人の活動の中の渦舞。盆踊り。遊び(かごめかごめ等)・・・
活動の中にも、多くの渦が存在します。特に、祭りなどの伝統的な活動の中には、渦との関連は強い傾向にあります。
これは、樹木や岩が神々の世界とつながるための呪力が内在している、または高いところにある神々の世界と結びついていると考えられ(樹木崇拝など)、その周りで祈り、踊りをすることがその源と考えられています。
〇神話の中の渦
各国の神話の中にも渦は度々出現します。また、「神」という字の元の形「申」は、二つの繋がった蕨手状の渦巻きをあらわしていると言われています。
・インド神話。『マハーバーラタ』『ラーマーヤーナ』では、神々とアスラが大蛇を曼荼羅山に巻きつけて引き合い、大海を撹拌する。渦巻く大海の中から太陽も月も、女神も他の神々も生まれる。
・真言密教。円形が渦場に配列された、胎蔵界曼荼羅。
・ヒンドゥー教。霊的な力のスポット(チャクラ)を力の循環する渦ととらえている。チャクラとはサンスクリット語の車輪の意味。
★⇒どちらが始まりとも終わりともつかず、無限に回転を続ける対立する力。渦巻き文様は、神々と悪魔、陰と陽、死と再生の象徴になりやすかったことがわかります。
〇土器における渦
土器に関しても、縄文初期から渦巻文様は用いられており、これらの要因と深く関係していると考えられます。以下は、あらゆる視点であげられる、渦巻文様に関する諸説です。
縄文土器に用いられる模様の変遷。下部に向かって新しくなるが、初期から渦文様が用いられたことがわかる。
【川や水の渦の可視化】
身近にあった川や水に発生するカルマン渦などから、自然の動きを可視化したもの。
【再生や永遠性を示す記号】
文様のもつ機能は「統合」。たとえば、渦巻紋は世界中に見られるポピュラーな文様の一つですが、渦巻紋が指し示すことのできる現実は、「蛇のとぐろ」「水のうねり」「風のうねり」。そこから「永遠性」「輪廻」「再生」「多産」など、物体から現象、概念にいたるまで無限にイメージを広げていた。
【出産への祈り】
渦巻模様は妊娠を意味する記号のような役割を果たしていた。文字を持たない彼らは「女性」や「出産」や「母親」を表すために、そのような 簡略化した模様を使った。
★⇒当時の人たちは、自然や生命そのものとの一体的意識が強くあり、我々では見えなくなってしまったものが見えていたように思えます。それらを土器に表現することで、さまざまな祈りや意味を渦巻文様に込めていたのではないでしょうか。
参考URL
- http://kamnavi.jp/uga/uzumaki.htm
- https://ameblo.jp/manabunc/entry-12607934123.html
投稿者 anase : 2022年05月21日 TweetList
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