ロシアの歴史に“民族の本源性”を探る~エピローグ『本源性を、闘い守ってきたロシア』 |
メイン
2014年10月20日
宗教が国家を上回った国:イスラムとは?【6】イスラムの性
みなさんは、イスラムの男女関係について、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
よく聞く言葉を上げると・・・・
・いつも「ヒジャーブ」というベールをかぶっていて、女性は抑圧されている、人権侵害。
・ファッションの自由もない。
・男は、一夫多妻でハーレム。女はかわいそう・・・
・男は仕事、女は家庭、女の役割がない。
・婚前交渉は禁止であり、恋愛の自由がない。性は??
しかし、いろいろと調べてみると、事実はまったく違うようです。
いかに偏った西洋的視点で今まで見ていたか?
では、「イスラムの性」の本質を追求していきましょう。
まずイスラム女性のシンボルでもあるヒジャーブについて
これは、本当に女性への抑圧なのでしょうか?
●『性の商品化』から女性を守る衣、ヒジャーブ
以下、るいネットより
西洋社会からは『女性への抑圧の象徴』と捉えられているヒジャーブだが、実態は全く逆。
自らの共同体と、そこに属する女性を大切なものだと捉え、西洋からの市場化の波に飲まれないようにしたイスラムの工夫がそこにある。《以下引用》リンク
(前略)
ヒジャーブに関して補足すれば、信仰あるムスリマ(女性イスラーム教徒)は「信仰の証し」であるヒジャーブを誇りにこそ思え、抑圧の印だとはわずかにも思っていない。
体のラインを隠すゆったりした上衣は、今日の若い女性が死ぬほど胸を痛める身体的コンプレックスを覆い隠してくれるし、サウディアラビアや原理主義者と呼ばれる女性たちが着る全身をすっぽり覆う黒衣になると、貧富の差や年齢までも隠してくれる。
媚を振って歩く必要もなければ、「女らしい」座り方をする必要もない。服を着ていようといまいと、壇の上だろうと路上だろうと、程度の違いこそあれ「性を商品化する視線」は今の社会の至る所にあるし、どんなにフェミニストたちがいきり立っても決してなくならないだろう。そうした視線から女性を守れるのはヒジャーブしかない。蜂蜜の皿に蓋もせず外に晒しておきながら、寄って来る蝿に「いまいましい」と苛立つのは愚かしいことだ。
イスラーム教徒の女性が「ヴェールを脱ぎ捨てて解放される日」は決して来ないだろう。
女性の真の解放の鍵はむしろヒジャーブにある。現にヴェール回帰現象は高等教育を受けた若い女性を中心に急速に広がっている。そして西欧でも現代の西欧型女性像を究極の女性像としてイスラーム圏の女性に押し付けることの間違いにそろそろ気づき始めたようだ。
欧米の市場の原動力は「性的商品価値」。王侯貴族の絹・宝石etcは、性的商品価値の高い女に送られました。
イスラム圏では、ヒジャーブは「性を商品化する視線」から女性を守るためにあるんですね。
そして、自らの共同体と、そこに属する女性を大切なものだと捉え、西洋からの市場化の波に飲まれないようにしたイスラムの工夫なのです。
性を商品化する視線から守られ存在している女性たち。
イスラムの集団の中で、男と女の関係は?いったいどうなっているのでしょうか?
●イスラム社会における男女関係
以下、【世界の宗教から見える男女の性】-5.イスラム教 ~集団原理に根ざした規範観念としての宗教~ より。
<婚姻規範・婚姻様式>
・未婚男女の自由交際は基本的にありえず、ほとんどの場合が見合い婚。
・コーランによるイスラム法の下では、男性は4人まで妻を娶ることができるとされており、典型的な父権一夫多妻社会。
・コーランにおいて、夫は妻を保護し扶助を与える義務があり、それぞれの妻に差異を設けることは許されないとされており、条件をみたせないときは複数の妻を娶るべきではないとされています。
・イスラムの一夫多妻は、男の好色を満たすために複数の女性を囲うハーレムの誤ったイメージばかりが先行し、西欧キリスト教社会からは女性差別の象徴と見なされることが多いですが、その実態は上記のように決して「男に都合のいいシステムではない」ことが解ります。
・イスラム社会が一夫多妻になった背景には、戦争下で寡婦となった女性の経済的扶助の目的と、戦争など一時的に男女間の人口不均衡が起こった際でも、女性が結婚し、子供を産むことで社会的再生産を進めることができるようにとの目的があったと考えられています。
<男女の役割規範>
・イスラム社会では、「男は仕事に、女は家庭(集団)に」と、男の世界と女の世界が明確に分けられていますが、男が社会の中心にあり、女性が家庭と言う片隅に追いやられていると捉えるのではなく、二つの別の世界を構成していると捉えられています。
・女の世界である「家庭」とは閉じられた社会ではなく、「家族・親類・隣人」と言った横の関係をつなぐ核として欠かせない役割を果たすと考えられており、その中に女性の重要な(充足)役割があると考えられています。
このような男女関係の底になる「イスラムの性に対する意識」はどのようなものなのでしょうか?
●「性」に肯定的なイスラム教
以下、るいネット「性」に肯定的なイスラム教より。
キリスト教には、霊的向上、神への奉仕にとって肉の営みは障害であるとみなす考えがあり(パウロ -「男は女に触れないにこしたことはありません。」[コリント第1-7:1]、「未婚者とやもめに言いますが、皆わたしのように一人でいるのがよいでしょう。」[同7:8])、そのように性を厭う宗教は必然的に女性を厭う傾向を合わせ持つが、イスラームには性を否定的に捉える傾向はまったくなく、むしろ、「結婚した者は宗教義務の半分を果たしたことになる」(アル=バイハキーの伝える伝承)という預言者(彼に平安あれ)の言葉が示すように、結婚は信仰生活の重要な一部であり、禁欲的独身主義の方がかえって悪とみなされている。
性を肯定視したイスラム。最後に、その中での男女の性行為への意識を見ていきましょう。
●イスラムの性行為
以下「イスラムと女性」より
性の喜びは、夫婦の聞で味わう特権であり、結婚前、結婚外における性交渉はすべて禁じられる。
性を罪悪視したキリスト教の歴史においては、非婚が神聖視され、性行為を生殖のみを目的とした行為とみなし、そこから快楽を得ることを忌み嫌ったこともあったが、イスラームにおいては性行為は神が夫婦にのみ許し給うた快楽であり、また神聖な務めであった。「男が自分の妻に近づくとき、彼は2人の天使に守られ、彼はアッラーのための戦士のようである。彼が妻と関係を持つとき、彼の罪は落葉のように落ち、全身洗浄をすれば罪は洗い流される。」(ワサーイルアシーアに集められた伝承) また、別のハデイースには、妻と交わることも善行であり、そこにはアッラーからの報償があると述ベられている。妻にとって夫の性的欲望を満たすことは重要主義務の一つである。「もしある女が夫との間余を拒み、夫が一晩怒りを抱えて過ごせば、天使が朝まで彼女をののしる。」 (アル=プハーリ一、ムスリムの伝える伝承〉、「あなたがたのうちのだれかをある女性が魅惑し、心を迷わせたときには、自分の妻の所に行き、交合しなさい。そうすれば情念を払うことができるでしょう。」(ムスリムの伝える伝承〕、「男が自分の欲望を満たすために妻を呼んだときには、たとえカマドに火をくべていても彼の許に行かなくてはならない。」(アツ=テイルミズイーの伝える伝承)
フェミニストがこれらのハデイースを読んだら、イスラームでは女性を単なる性の道具としてしか見ていない、と非難の声を上げるだろうか。しかし、私はこれらのハデイースに、なにか素朴なほのぼのとした夫婦愛の形を見る。愛する夫に欲望された妻はうれしさ、恥ずかしさを「務め」という大義名分に隠しながらいそいそと夫の欲求に応える。時にはそこに二人は仲宜りの糸口を見い出すかもしれない。
妻が夫の欲望に応えなければならないというと、性行為がもっぱら夫のためにだけあるように誤解されるといけないので付言すると、夫には妻を喜ばせる義務がある。「あなたがたのだれでも、卑しい獣のように妻に飛びかかつてはいけません。まず交わりの前に先駆けを送りなさい。」と預言者( 彼に平安あれ〕は言われ、先駆けとはなんのことですか、と尋ねられると、「接吻と優しい言葉です。」と言われた、という伝承がある。また、妻の許しなく射精宜前に休を離すことは禁じられるが、これは妻の喜びを奪うことになりうるからとも考えられる。性行為は生殖のためだけでなく、夫婦の問で楽しむべきものとしてアッラーから与えられているのである。私はこうしたイスラームの性愛観を知って、小説、雑誌、テレピなど巷に氾濫する性のイメージに対して覚えていた嫌悪感を一掃することができた。それまでは性を心のどこかで不浄視していたように思う。切り捨てることのできない人聞の動物的側面として疎ましい気持ちがあったように思う。また、性行為に男と女の力関係を見るようなやり切れなさも感じていた。現在、それは一点の曇りもない滑らかな性のイメーヅに取って代った。
●まとめ
イスラムの社会では、
・集団内の女性を守ることが第一。
・ヒジャーブ等で性的商品価値を抑制することで、女性を外敵から守る。
・一夫多妻は、女性を経済的に援助し子供を生み集団・社会を維持するための制度
・性を肯定視し、結婚は信仰の重要な一部。
・性行為は生殖のためだけでなく、夫婦の間で楽しむべきものとアッラーから与えられたもの。
イスラム社会では、西洋と違って、性を否定するのでなく肯定し、男女それぞれの違いや役割を肯定し、コーランやイスラム法による規範で「性そのもの」も統合され秩序を維持しています。個人主義を中心としする西洋文化とは、全く違うことが分かります。
ではこのようなイスラムを金貸しが「やっかいだ」と思う理由はなんでしょうか?
次回から確信に入っていきましょう。お楽しみに・・・・
投稿者 katsuragi : 2014年10月20日 TweetList
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://web.joumon.jp.net/blog/2014/10/2307.html/trackback
コメント
投稿者 根保孝栄・石塚邦男 : 2014年11月5日 23:56
イスラム教が性に対して大らかなことを知ってホッとしてます。
人間的な宗教なんですね。
投稿者 根保孝栄・石塚邦男 : 2014年11月7日 01:00
イスラム社会の男女の役割とその存在の認識は、興味深いですね。
女性は、人前では顔を隠す一律の地味なスタイルですが、家に帰ると赤や黄色の服は着るし、化粧もするし、ネックレスも指輪も好きなようだが、さて。
投稿者 根保孝栄・石塚邦男 : 2014年12月24日 05:42
イスラム過激派の動きが中東の不安定化を加速させているが、中でも最近の欧米の若者が過激派に入党するのが目立っているのは心配ですね。