| メイン |

2021年03月04日

戦争の起源⇒遊牧民の外圧を見る⇒遊牧民とは最初から優れた軍隊だった

戦争の起源を扱う際に必ず出てくるのが遊牧民である。戦争とは相手から物資、土地、人を武力でもって奪い取るというのがほぼ正確な表現だ。つまり遊牧民がオアシス農耕民を襲い、土地と食料を奪ったのが戦争の起源であり、さらにその後も長く支配をしつづけたのが遊牧民初の戦争である。よく戦争は人間の本能とか本性という言い方がされるが、彼らギリギリの中で生きていた遊牧民は危機のレベルの高さ故に、ある意味本能に近いレベルまで闘争力を高めていたのだ。
彼らの集団性とは軍事の結束のためであり生きるためである。さらにそこに動物を飼育する管理や支配、自然のコントロールという資質が加わる。遊牧とは緻密な自然への洞察と計画的な搾取がセットにあり、彼らの頭のよさとはそこの見通し能力や危機管理能力の高さのことを指す。

下記は杉山正明氏の著した「遊牧民から見た世界史」から抜粋した。杉山氏は遊牧民を優れた民として書きたいので比較的肯定的な表現が成されているが、事実は曲げられない。遊牧民とは独自では生きられず、常にオアシス民に依存し、時に略奪し、支配する中で存続してきた。そういう末裔が今の支配者達になっている。その意味で西洋社会は遊牧社会とまで言える。中国も同じだ、遊牧の外圧が多少低いが彼らも何度も中国の王朝を塗り替え戦争の歴史を繰り返してきた。
豊かな自然の恵みの恩恵を受け、生きながらえてきた我々縄文人=日本人とは、善悪は別として土台根本が違いすぎるのだ。

 にほんブログ村 歴史ブログへ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

遊牧もあくまで牧畜の一形態である。移動、とりわけ住居ごとに移動する牧畜であることにポイントが有る。遊牧の起源については、あまりはっきりしない。農耕から分離したとか、群れをつくる有蹄類に、人間のほうがよりそったとか言われているがいずれも推定である。

発生した場所も複数かもしれない。ただ、おそらくは中央ユーラシアのどこかであったことはまず確かだろう。そして、発生した時期についても、いまから1万年まえから4千年前くらいのはばのなかにあり、そうひどく古くは遡らない。ようは、まだ事の細部はよくわかっていない。

遊牧という生活のしかたには、乾燥度のちがいや地勢上の理由から、さまざまなバリエーションがある。いちがいにはとても言えない。それをあえて簡略にいうならば、羊、ヤギ、牛、馬、駱駝などの家畜群を管理し飼育しながら、草を追って1年を移動のなかで過ごす。ただしあてどもなくさすらうのではない。きちっとした季節移動である。

夏季には家族ごとに、広々とした、山の斜面や平原にちらばって草をはませる。冬季には、寒さや積雪をしのげる山の南麓や谷あいで、集団生活を営んで越冬する。ここでの集団が、牧民社会の基礎単位となる。かつて、「氏族」などと呼んだものが、これにあたる。夏営地と冬営地の間の移動経路も、ほぼ決まっている。要所には井戸がしつらえられ、牧草地が点在する。こうした移動と設営を繰り返すなかで家畜たち、とくに主畜の羊たちは、春の出産から夏の肥育、秋から冬にかけての屠畜(オスの子羊を主な対象とする)や妊娠ときまった手順で監理される。牧民たちの生活は、システマティックである。それなりの広範囲をめぐり、暮らすことからいえば、ダイナミックとさえいってよい。

ただし、遊牧生活は、極端な余剰生産をもたらさない。しかも夏季の大旱魃や野火の発生で、牧地が壊滅することもある。ひどい場合は、冬季の寒波や雪害で、集団がまるごと消え失せたりするパニックもある。危険と恐怖が、たえずつきまとう。また、日用の生活必需品から農業生産物、さらに各種の戦具まで、完全に自給自足することはできない。

それだけでは存立できない経済生活である。

遊牧民がオアシス民との共存を図らなければならない理由は、ここにある。遊牧民は都市や集落を必要とする。面に生き、移動に生きる遊牧民たちは、その生活で得たものを携えて、点であるオアシスや町に行く。町は物と人の交差点である。生産,交易、移動、情報、そして文化がピンポイントで凝縮した場である。

翻って遊牧生活の必然の結果として、遊牧民とその社会にはいくつかのいとじるしい性格がはぐくまれる。まず移動性、集団性にとむ。これに、騎乗の技術が加わる。牧民たちはそのまま緩急自在な展開力にとむ統制された軍隊に変身した。さらに弓射の技術がみすびつく。当然それは騎射となる。騎射は大変な高等技術である。人馬が遊牧民ではふつうとなった。銃火器が戦争を根本から変えてしまう近代になるまえ、ずっと遊牧集団こそが地上で最良、最強の機動軍団であった。遊牧民が世界史上で果たした意義の多くはその軍事上の優越性に基づく。いわゆる遊牧騎馬民が出現するのは紀元前800年ころと見られる。それから17世紀ないしは18世紀の中頃まで2500年間ほど遊牧騎馬軍団の時代であった。その軍事力をもって周辺地域もとりこんだ国家をつくった。すくなくともオアシス地域は、大小ともかくかならず手に入れる必要があった。遊牧国家はたいてい、遊牧民だけの国家ではなかった。民族をこえた国家であった。

投稿者 tanog : 2021年03月04日 List  

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://web.joumon.jp.net/blog/2021/03/3954.html/trackback

コメントしてください

*