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2019年08月22日

イギリスの私権性がなぜ高いのか?⇒民族が入れ替わるほどの略奪が国家の起源だから。

先日、この縄文ブログにコメントをいただきましたので、今回はその方への返信を含めて記事を書きます。質問者はWATANABEさんという方です。
その後のイギリス人の私権性が極めて高く、19世紀に世界の頂点にまで上り詰めたのは2度のこの時期に流入民が一気に土着民を排除した歴史に由来しているのでしょう。“2度のこの時期に流入民が一気に土着民を排除した歴史”がイギリス人の私権性の高さに繋がるのか、もう少しご説明いただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。~投稿

まずこの質問に答える上で「私権性が高い」とは歴史の上で何を指すかを示しておきます。
人類は500万年、ホモサピエンスとなってからも20万年の歴史を持ちますが、一般に歴史と言えば6千年前から始まる古代文明、さらに4000年前から始まる国家の歴史を以って今日に至る人類の歴史が語られてきました。

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その中で国家の誕生に至ったのは、4500年前の急激な乾燥化によりイラン高原を皮切りに略奪闘争が勃発し、遊牧を業とする集団が農村を襲い、皆殺しの上、食料を略奪、それがあっという間に中東から地中海、黒海周辺に広がり、さらにアジア、インドに玉突きで拡大していった。略奪闘争は後の戦争という形に発展し、武力で集団と集団が争い土地、縄張りを奪い合う歴史が続いた。

それを止揚する為に力の原理が必要となり各地に集団を超えた国家が登場。元々その地域にあった共同体はバラバラにされ、貴族と市民と奴隷という形で支配する側、される側に人々は分類された。そこでの統合原理は力の原理で、誰しもが私権(地位や身分、後にはお金)を獲得しなければ生きて行けない、そういう社会で統合された。信じられるのは自分だけで、回りは皆敵、そういう状況が継続した。それが西洋人の私権性を高くし、一神教宗教の誕生、その後の近代市場社会の登場に繋がっていく。この大きな文明社会の中でその中心にあったのがこの私権社会の登場という4000年前人類史で初めて登場した統合原理である。

西洋社会はこの私権社会を作り、誘引し、世界に広めていった。ただ、西洋と一言で言っても地域性があり、最も高いのは私権社会の発祥であり、古代から中世までを牽引したイタリア、ギリシャ、さらにオランダ、フランス、スペインである。
そして次に高いのは大航海時代から繋がる産業革命でそれまでの辺境から一気に逆転したイギリス。

なぜヨーロッパの辺境のイギリスがこの時代に逆転できたのか謎だったが、4500年前、流入民が土着民と入れ替わったという推定を読んで腑に落ちた。おそらくその国家の誕生時から土着民皆殺しに近い略奪闘争があり、土着文化(=人類が本来持つ本源性)が喪失されたのではないか?

私権性の高さとは何か?
「元々その地に共同体で生きていた土着民をとことん排除した歴史を持つ国家」だと私は思います。

裏返せば日本はそのような歴史はほとんどなく、渡来民が支配者として君臨しますが、共同体は温存されていきました。ヨーロッパでも北欧やドイツ、南欧などの一部は皆殺しに至らず、一定の土着の共同体性は維持した中で国家が運営されていきます。また歴史は浅いですがアメリカはイギリス同様に土着インディアンを排除して出来上がった略奪国家です。
現在その私権社会をリードしてきた国家がどんどん後退しているのは明らかで、これは下記の記事が示す社会の統合原理が私権から共認に移行している証左なのです。

すでに制覇力は、共認形成力(認識力)に移行した
集団や社会は、人々がその時々の課題や役割や規範に収束することによって統合されている。その統合力を織り成すのが共認形成力であり、それこそが人類の集団や社会の本来の統合力である。

ところが、略奪闘争の連鎖によって形成された私権社会では、敵を倒し屈服させる制覇力が、そのまま社会の統合力となってきた。武力社会では武力こそが社会(国家)の制覇力=統合力であり、市場社会では資力こそが社会(市場)の制覇力=統合力であった。そして、市場社会では「お金第一」の共認力が「武力第一」を上回ったことによって、資力>武力の力関係が続いてきた。

しかし、人々が飢餓の圧力から解放され私権圧力が衰弱すると、本来の統合力である共認形成力が前面に出てくる。その結果、マスコミが絶大な力を獲得し、’70年以降はマスコミ支配とも言える社会に移行した。その間も私権欠乏は衰弱し続けていたが、’02年頃、とうとうお金は第一ではなくなり、資力は社会の制覇力=統合力たる地位を失ってしまった。そして遂に、人類本来の統合力である共認形成力が社会の制覇力=統合力と成って復活した。それは、人類進化の実現基盤の再生である。

投稿者 tanog : 2019年08月22日 List  

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