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2022年06月04日
【縄文再考】縄文時代の木工技術Ⅰ
縄文の木工技術は約6千年ほど前(縄文前期)から遺構が見つかっています。
今週から木工技術(乗物(丸太船)、住居、道具etc…)について追求を深めていきます。
■木利用と木工技術の歴史
縄文時代の遺構から木利用の考え方がうかがえます。
福井県の若狭湾ぞいに連なる三方湖の鳥浜貝塚の遺跡から出土した木工品から木利用と木工技術の
特徴について調べました。
(1)丸太舟…くりぬきやすく水もれしないスギの丸木舟(刳舟(くりぶね))。全長6m,幅60cm,
木の根元が舟尻になるように使っていて丹底の厚さを,約3.5cmと均一に削っている
(2)住居 …直径10cm位のスギ,ヒノキ,クリなどの丸太を柱に使用。柱穴(住居の上屋を支えた柱穴)
からは主柱穴と呼ばれる太い柱を持つものと持たないもの(サス構造)がある
(3)道具 …木の器→トチやケヤキ、右斧の柄→ユズリハ,シイ,ツバキ,サカキなどのねばりのある材、
丸太弓→カシ,クリ を使用。
また、ベンガラをまぜた赤いウルシ(漆)をぬった,飾りぐし等
つくる目的に応じて木を選択し、伐採・加工を行っていた縄文人。
自然と寄り添いながら毎日の暮らしの中で木の性質を理解し、うまく使いこなしていたことがよくわかります。
■木工加工の工程
①伐採→②製材(分断・分割)→③乾燥→④加工Ⅰ→⑤加工Ⅱ→⑥加工Ⅲ→⑦加工Ⅳ→⑧加工Ⅴ→⑨仕上げ
の工程に代別され、この工程は中期後半には確立していました。
加工工程では石斧で分割し、分断したあとに楔(くさび)を用いて加工を進めていたことも
千葉県下太田貝塚の掘り棒からもわかってきています。
■漆塗の技術が完成していた
現代にも通じる漆工の基本的な技術は既に縄文時代に出そろっていたため、
縄文時代に漆工技術が完成の域に達していたことが分かります。
分布図をみると関東から古い早期・前期の漆工の遺構がみつかり、北陸・日本海側にむかって
後期・晩期へと広がっていったことが見えてきます。
土器、木製容器、飾り弓、装身部など他種類におよんでいることがら
縄文の漆利用は日常的かつ恒常的に使われていたと考えられます。
自然と常に対峙し、寄り添いながら毎日の暮らしの中で
木の性質を理解していた縄文時ならではの技術ですね。
次回は竪穴式住居の架構形式について追求していきます。
投稿者 hanada : 2022年06月04日 TweetList
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