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2020年12月17日
海外から見た日本人の「仕事意識」「職人気質」
ずっと日本にいると気づかないようですが、一度日本を離れて海外から日本を見つめ直すと、海外の出回っている日本製品の性能、品質の高さに改めて気づかされるようです。その底流にあるのは、人の役に立つ、喜んでもらうために働く「仕事意識」「職人気質」にあります。 その精神は縄文時代から引き継がれ、世界類まれな循環型社会を築き上げた江戸時代の人々の生活と産業で発展定着するに至ります。 今回は、古来から日本との接点の深い中国から見た日本人像について紹介します。
日本人の仕事へのプロ意識はどこから? その驚くべき「職人気質」=中国メディア
日本を訪れる中国人旅行者が感銘を受けることのひとつに、日本人の仕事にプロ意識がある。ツアーバスの運転手やガイド、レストランやスーパーのスタッフ、駅やホテルで働く人など、ありとあらゆる場面で接する人々に感じるものが「プロ意識」だというのだ。
記事は、実際に京都で見かけた交通整理を行う60歳くらいの白髪の男性に注目している。車道にはみだす観光客に気を配り、道案内をし、時にはごみをあつめ、一日中忙しく立ち働いている。男性はもともとは交通整理のために雇われたスタッフに過ぎないが、自発的にいろいろな仕事を買って出ている。日本人にとっては何気ない光景だが、筆者はその「一介の交通整理員」の仕事ぶりに大いに驚いている。
では、こうしたプロ意識はいったいどこから来るのか? 中国メディア中国経済網がその理由を分析している。それは、お金の名誉や地位のためといった外的なものではなく、内面的なもので、ただひたすら「自発的な職人気質」からくるものだ、と述べている。
記事は、日本には200年以上の歴史がある企業が3146社あると述べ、そうした背景にあるのも、スタッフや社員一人一人のプロ意識にあると述べた。
急速な経済発展を遂げている中国だが、中国メディアの記事で時折他の国との比較で「自分たちに欠けているもの」を遠回しに指摘する記事に出会うことがある。日本人は「自分の仕事を真剣にしているだけ」と考えてはいるが、こうした「プロ意識」がありとあらゆる仕事、スタッフ、社員の精神に息づいており、それが日本という社会の共通の価値観となっている。そして、このプロフェッショナルこそが日本の財産であり、発展を支えてきたのだと分析している。
まず日本人が日本の底力を知るべき
私は現在30代の男性です。現在は中国に住んでいます。
大学卒業後に、サラリーマンとして働いていたのですが、海外生活に興味を持ち、退職後に中国に渡り、現在では中国で日本語教師を行いながら生活しています。こちらにきてすでに3年以上が過ぎました。
日本に住んでいる時は、まったく気づかなかったのですが、中国に来て日本を外から見ることができ、改めて日本の良さ、そして底力を認識することができました。
今日は、私なりに考える日本の底力とは何か、そしてそれをどのように発信していくかについて記したいと思います。
まず、日本の底力とは何でしょうか。 私が思う日本の底力を一言で記すと技術力と言えます。 しかし、技術力というだけでは表せないものがあります。 日本人の持っている気質、例えば丁寧さ、繊細さ、探究心すべてが技術力につながっているわけです。
中国に来て、ますます実感できたのがこの日本の技術力の高さです。
では、なぜ日本はこうした高い技術力を維持しているのでしょうか。
実は文化に大きく関係していると言えます。 日本には職人がたくさんいます。そして多くの人から尊敬されているのが職人です。 一つの道を究めることが美徳であり、そしてそれに大きな誇りを抱いているのが職人です。 自分に厳しく、お金には代えられない高い技術を提供するのが職人気質と言えるかもしれません。
一方で、中国には日本のような職人はいません。
例えば、家の修理に来た人がいるとします。 日本では、恥ずかしくない仕事を提供してこそ対価を得ることができると考えていますので、仕上がりをとてもきれいなものにします。 それは必須なことと言えます。
しかし、中国ではそうではなくて、とりあえずやればいいという考えの人がほとんどで、お金さえもらえれば仕事はやっつけでも良いという考えです。 つまり、簡単に言うと自分の仕事に誇りをもっていないと言えます。
実は、こうした物の考え方が技術力の差につながっていると言えます。 そしてこれこそが日本の底力ではないでしょうか。
残念ながら、多くの日本人がこのことを認識していません。
まずは海外に発信する前に、日本国内でこのことを認識できるようにするべきです。
そうすることによって、この日本のある種文化が守られ、さらにそれを続けていくことによって外に発信ができるはずです。
「ありのままの姿の日本」
1.日本文化の特徴
(1) 中国語と日本語の違い
日本は、古来より漢字、製紙技術、律令制をはじめとする文化の面で中国から多くの影響と恩恵を受けており、日中両国は2000年にわたる交流の歴史を持っているといわれています。特に、漢字については、日本では小学生から漢字の学習が始まり、高校生では漢字の授業があり、唐詩を古典として勉強することから、日本人は庶民レベルでも孔子の言葉や論語や、李白、杜甫の詩に親しんでいます。
しかしながら、日中間には、630年から894年の間18回にわたって派遣された遣唐使が廃止された後は、15~16世紀(1401年~1549年)に明朝との間で限定的な交易が行われた以外は、1871年の日清修好条規まで正式の国交がありませんでした。中国史の中で唐の時代は、日本人にとっ最も親しみを感じる時代ではないかと思います。
日中両国は時に、一衣帯水の関係或いは同文同種の関係といわれていますが、交流が途絶えていた時期が長くあり、その間に日本が中華文明圏の外で独自の文化を発展させてきたことから、日中両国の文化は漢字を例にとっても違った発展を歩んできました。日本の社会は、中国や朝鮮のような中央集権制とは違い、地方分権制の下で、多様な地方文化を発展させてきました。人間関係についても、祖先との血縁的つながりを共有する宗族関係よりも、自らの所属する地域や集団との関係を運命共同体として重視する社会風土の下で、国民の生活習慣や行動様式などの面で中国や朝鮮のような中華文明圏とは異質な文化を育んできたと言えます。
中国を起源とする漢字は日中共通の文化遺産ですが、漢字を母体として仮名という表音文字を8世紀に考案した日本語の言語体系が独自の発達を遂げたことから、同じ漢字でも中国語と日本語とでは言語感覚はかなり違うものになっています。例えば、日本語の『親近感』は、中国語の『親近感』ほど強い情感を含んだものではなく、中国語で言えば『好感』と言った程度の意味合いです。
漢字に加えて表音文字である仮名を併用する日本語は、人間や自然に対する細やかな感情、情緒と言った感受性を表現するのに適しており、日本人の生活や心情に大きな影響を与え、庶民階級による日記や文学、恋愛小説等を無数に輩出しています。毎年、恒例となっている芥川賞、直木賞という国民的な二大文学賞の受賞式は、無名の庶民が作家になるための登竜門となっています。
他方、日本語の言語体系は、感覚的表現においては優れていますが、論理的表現においては不十分な面があります。漢字の使われ方も、中国語では厳格に使われていますが、日本語では本来の漢字の意味に必ずしも忠実でない場合が多く、また、『言外の意味を察する』と言う言葉があるくらい、日本語の表現は曖昧であり、外国人からは度々誤解を受けています。日本人がこのように曖昧な表現をする背景には、対人関係において対立を避けようとする日本人の性格が大きく働いているものと思われます。
(2)日本人の好奇心と順応性
日本は日本列島という四方を海に囲まれた辺境の孤島ですが、古来より外界の文化を柔軟に受容してきました。石橋を叩いて渡るという諺に見られるように、日本人は保守的な性格を持っており、初めての事柄に直面すると大変慎重な態度を見せますが、他方で未知の物事に対する好奇心も旺盛であり、環境の変化に対する順応性が高く、異質の文化でも役に立つものであれば率先して習得してきました。
1543年に九州南方の種子島に漂着したポルトガル人がもたらした鉄砲は、一年後には国産化され、日本国内に広まっています。19世紀末の江戸幕府末期から明治維新に至る激動期にイギリスの科学技術を目の当たりにした九州の地方政府である佐賀藩は、いち早く日本初の蒸気船を建造しました。
日本がアジアの中でも最も早く近代化できた背景には、日本人のこのような好奇心が大いに影響していると思われます。日本人は優れたものであれば、外国のものであろうと躊躇なく取り入れようとする国民性を持っています。他方、中国人が西洋文化に簡単に好奇心を示さなかったのは、中華文明に対する誇りが余りにも強かったためではないでしょうか。
(3)日本人の職人気質と文化の継続性
日本は世界有数の技術大国と言われていますが、日本経済を支えているのは企業数で99.7%を占める中小企業の高い技術力です。日本の中小企業は技術革新の源泉であると言われており、世界最先端技術を有する中小企業も少なくありません。このような技術力は、日本列島の限られた資源を再利用しながら循環型経済を営んだ17世紀から260年間の江戸時代(3,230万人の人口)に育まれたと言われています。また、その背景にはあらゆる分野で技を極めようとする日本人の職人気質があると言えます。
日本人は何事をするにも一所懸命になる性向がありますが、この「一所懸命」という言葉は「物事に命懸けで取り組む」という意味であり、物事の奥義を極めようとする生活態度です。専門分野に従事する人々は、「日本一」になることを目標に技術の習得に励むことに人生の生き甲斐と価値を見出しています。他方で、日本人は目標を達成しようとする場合、手段・方法といったプロセスを大変重視し綿密に準備をしますが、結果については、期待通りでなかったとしても余り執着しない傾向があります。また、日本人は、一旦決められた計画を愚直に実行しますが、脚本やマニュアルのない場面では、臨機応変な対応は苦手です。
日本社会の体質は、何百年にわたる職人文化が形作っていると言えます。日本の小学生に大人になったらなりたい職業について質問すると、男子は大工、女子は美容師が断然人気の高い職業です。日本では『職業に貴賎はない』という言葉がありますが、日本社会は伝統的に技能を尊ぶ物作りの社会です。
今年1月、いまや世界中に普及している『カップ麺』の発明者である日清食品の安藤会長が亡くなり、其の葬儀に総理経験者、政財界の要人を始め全国から数多くの弔問客が訪れましたが、今では宇宙飛行士も食べるようになった『カップ麺』を考案した職人魂を日本の社会がどれほど尊敬しているかを示す好例であるといえます。日本技術競争力の源泉は、このような職人精神を讃える日本の社会風土にあるといえます。
また、日本は技術を広く他人に伝授し、後継者を養成するという意識の強い社会です。特に、伝統文化については、伝統継承が社会的責務であるという脅迫観念に当事者は支配されているようです。年老いた父親の経営する伝統的家業を引き継ぐために、途中で裁判官を退職するといった例もあります。また、日本文化の特徴は中国、韓国のそれと対比すると文化の継続性にあるといえます。特に、技術を広く他人に伝授すると言う風土は、中国、韓国の場合と比べて対照的であり、日本社会の大きな特性であるといえます。
日本各地には、数百年も連綿と伝わる祭り、茶道、華道といった伝統芸術、代を継いで伝統技能を伝える職人、何百年も続く日本料理店等の老舗が無数にあります。200年以上の歴史を持つ企業は、日本には3,000社あります。因みに、中国では9社、インドは3社、ドイツは800者と言われます。世界で最古の企業は、日本の大阪にある『金剛組』という建築会社で1400年の歴史があります。
投稿者 tanog : 2020年12月17日 TweetList
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