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2017年04月27日

日本史を学ぶなら「縄文」からがおススメ~第6回 「性は秘めるものではない、開くもの、皆で共有するものだった」

最後、もう一つ縄文と現代を繋ぐキーワードがありました。それは性の話です。
性を中心とした女と男の期待応望関係は縄文由来で現在まで確実に息づいています。

 安田喜憲氏は8つの縄文文明原理の一つに女性を上げている。

>土偶に示されるように女性中心の文明原理に立脚していた。古代文明の多くは多かれ少なかれ母権性的であるが、とりわけ縄文時代においては、女性中心の文明原理が大きな役割を果たしたとみなされる。

縄文時代の婚姻様式は総遇婚、近接集団との交差婚であり、集団婚であった。その後弥生時代以降も男が女集団に入る妻問い婚という形態にはなったが、ついぞ江戸時代までは女は母集団の中に残り、集団の共認充足に包まれた中で集団と女達は一生暮らすことができた。諸外国を見渡しても婚姻形態がこれほど近代まで残った国も稀有だし、一対婚がこれほど根付かなかった国もない。その意味で縄文が最も色濃く残ったのが婚姻であり、男と女であり、性充足である。それほど、日本人は性におおらかで性を心から楽しんでいた。

そして今日、性が乱れた、性犯罪が増えた、浮気は大罪である、などとマスコミは煽るが性を忌避し性を密室化し、性を集団のものから切り離したのは明治以降に入り込んだキリスト教文化の西洋文明的価値観なのである。

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 ★わが国には、かつては夜這いという習慣が長く根付いていた。それは性の開放の歴史だった。

 <江戸時代 性民俗は多重的>
夜這いというのは、ムラで一人前に育った男と女との性生活を、どうして維持したら最も矛盾が少なくできるだろうかという実践的方法論である。したがって、そのムラの創成の歴史、社会構造の基盤、住民の意識構造の違いによって、いろいろ変化するのが当然であった。厳密にいえば、一つとして同じものはないことになる。
すくなくとも、徳川後半の日本の全国のムラでは、夜這いは、ありきたりの、どこでもやっていた性民俗なのである。
参考記事夜這いの解体と一夫一婦制の確立1

<明治時代 一夫一婦制実施>
明治になって男女の結婚関係にも国家権力が介入するようになり、法令的な届出と戸籍記載による公認方式がとられ、一夫一婦制が実施された。これによって事実として結婚していても、登記しないと結婚とは認めず、「内縁」関係として私的に承認することになったが、こうした男と女の「法律」的慣行は、もともと日本の民俗としては存在せず、ただ国家権力によって導入されたものにすぎない。私たちの古い性民俗は多重的であって、単層的、つまり単一の法定的結婚様式をとらなかったのである。このことを理解しないと、夜這いその他の性民俗の性格がわからないだろう。
参考記事夜這いの解体と一夫一婦制の確立2

★こうして、江戸時代までは女達は現在よりはるかに元気で自信を持って生きていた。

>グリフィス
アジア的生活の研究者は、日本に来ると、他の国と比べて日本の女性の地位に大いに満足する。ここでは女性が、東洋の他の国で観察される地位よりもずっと尊敬と思いやりで遇せられているのがわかる。日本の女性はより大きな自由を許されていて、そのためより多くの尊厳と自信をもっている。
参考記事外国から見た江戸時代以前の日本の姿4

★ かつてこのブログで女達の充足力を日本史から見たシリーズがありました。そこでは以下のように最後結んでいます。女達が再び元気になり始めている。時代が反転する現在、縄文性の再生、本源性に再び導かれています。

 

>私権活力がとことん衰弱してしまった現在、私権獲得という収束先を失い、どうしたらいいかさっぱり分からなくなってしまうと、今度は女の方が先導役となって、潜在思念に眠っていた集団(仲間)の中で充足を育む本源的な想いが生起してきます。
農業を指向する女性や、仲間と起業する女性たち、企業の中で生き生きと働く女性が急激に増えています。
この動きは、決して男性並みに女性が力を発揮したいという思いではなく、集団の中で女性としての役割を見出し、それをまっとうすることで得られる充足感をエネルギー源としているのです。こうした充足する女性たちに引っ張られるようにして男性も、男としての闘争的役割を見出し、追及に向かおうとしているのが、現在の最先端の現象といえるでしょう。
集団の中で充足する女性たちから発せられる期待が、これまで目的を失っていた男性の役割を目覚めさせ、男に本来の闘争存在としての追求力を発揮させようとしているのです。
参考記事女たちの充足力を日本史に探る~エピローグ

投稿者 tanog : 2017年04月27日 List  

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