シリーズ 宗教が国家を上回った国:イスラムとは?【3】~イスラム教の中心:六信五行とは? |
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2014年08月08日
ロシアの歴史に“民族の本源性”を探る~① ロシア民族の本源性の秘密は、その起源にあり。森と共に生きてきた民族
ではシリーズ第1弾です。ロシアは今、世界の(私権社会→)共認収束の潮流にのって、BRICsや後進国の代表として世界をリードしている観すらあります。しかし、それはプーチン一人のリーダーシップによるのではなく、ロシア民族全体が何かその秘密、本源的な何かを持っていると考えるのが当然でないかと思われます。
かつては、ロシアは世界の共産主義の中心でしたが、金貸しが世界中で共産革命を図った中でスラブ民族(その主力がロシア民族)の世界に根付いたことは、ロシアを含むスラブ民族が西欧とは違う共同体的な何かを持っていたことも推測されます(あまりかつての左翼を持ち上げるのも何ですが、日本も先進国の中にあって左翼運動が盛んだった)
そして、かれらの共同体性、本源性は、その起源にこそ秘密があると考えられます。ロシア人の起源に迫ってみます。
【1】イラン高原発略奪闘争→コーカサス戦争による、印欧語族の拡散
彼らの本源性を探るにあたって重要になるのは、ヨーロッパ世界が私権社会となっていく直接の契機となった略奪闘争の歴史です。従来印欧語族=ヨーロッパ人=略奪民族という認識で捉えることが多かったですがどうでしょう。ロシア民族はどういう位置にいたのか。
1.2万年前より世界的に温暖化が進行してきたことにより、ヨーロッパでも人類は北方(アルプスやコーカサス山脈の北)へと進出していきましたが、6500年前に始まる寒冷化を契機として、乾燥地帯・寒冷地帯が広がります。中にあって黒海とカスピ海に挟まれ湿潤温暖なコーカサス山脈に人口が集中していきます。そして、(高原地帯ゆえ)乾燥化が急激だったイラン高原が5500年前に略奪闘争(戦争)へと突入し、やかて玉突き的に、豊かな土地を目指して略奪闘争が、今度は温暖・湿潤で豊かだったコーカサスへと伝播していきます(4200年前コーカサス戦争)。
コーカサス戦争は史実として確定されているわけでないですが、印欧語族は、突如として四方に拡散しており、強力な戦争圧力ゆえにそれが起こったと考えるのが、その後に彼らが引き起こす戦争の歴史と照らしても、妥当であると考えられます。
これによって東方まで支配を広げていったのが、印欧語族・イランインド族、そして、西へと攻め入っていったのがギリシア人であり、ローマ(ラテン民族)人であると思われます。
【2】ロシア民族は略奪闘争を逃れ、森林地帯で集団の維持を図ってきた本源的な民族
では、ロシア人(スラブ民族)はどうか。かれらも言語研究から印欧語族の一派であることは間違いないが、はたしてその略奪闘争を、ギリシア・ローマやイラン・インド人と同じように行っていたのでしょうか。
ここで注目すべきはかられの居住地帯の外圧環境です。亜寒帯気候に属しhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%9C%E5%AF%92%E5%B8%AF%E6%B0%97%E5%80%99非常に寒冷で気候外圧、生存外圧の高い森林地帯でした。南ロシアのステップ地帯が歴史の舞台としてよく知られており、また帝政ロシア~ソヴィエト時も南ロシアの穀倉地帯を領有していたため、誤解もありますが、彼らはもともとは北方の森林地帯で生活してきたことが明らかです。
森と共に生き、それを命綱とする生活する中で、(森は豊な恵みを与えてくれる一方、恐ろしい熊などがおり魔界でもある)、彼らは圧倒的な自然に対する精霊信仰を保ち続けたと思われます。ロシアの南方を行き交う、略奪や騙しの交易を生業とする遊牧民と違い、ロシア人は人類本来の心のありよう、意識のありようを保ってきたと思われます。
そして、もともとコーカサス出身であるのに、冬は平均気温マイナス10~20度にもなる森林地帯で暮らすようになったのは、戦争ではじき出され、かつ、南ロシアを行き交う遊牧民との戦闘を避けるためとしか考えようが無い。悪く言えば非常に弱小だったとも言えますが、はじき出されて自らも略奪に走るのでなく、集団統合を維持するためより安全な地域で適応して生きてきた本源性・集団性の高い民族とも言えます。
ちなみにロシア人(スラブ民族)とは違いますが、ドイツ人(ゲルマン民族)は欧州人の中では特に集団性が高いですが、彼らもおそらく同じように北方の森林地帯に適応してきた民族と思われます。
【3】北・東 印欧語族(ゲルマン民族やスラブ民族)は、略奪闘争→西洋的な価値観に染まりきっていない本源的な民族。それが世界潮流を掴んでいる理由。
ここまで、略奪闘争の歴史、そしてロシア人の居住地から推測し、かれら(やゲルマン人)が略奪闘争からは一定距離があったことを書いてきました。これは、彼らの意識構造・思想からも見て取れます。
西洋人の価値観の根本にキリスト教があると言われますが、さらにその底にある価値観の1つに「契約の思想」があると言われます。「神との契約」などというが、日本人には、仮に「神」を認めるにしても、それと契約するとは何のことか、さっぱり分からない。が、言い換えると「盟友」「同盟」といった意味合いのようです。
これは人間関係の根本を盟友、同盟においているということだが、言うまでもなく集団を解体されてバラバラの個人となったギャングが、略奪を行うために同盟したということであろう。そこまで推測すれば「契約」が彼らの重要な価値となっているのがよく分かります。
「契約思想」はイラン・インドでミトラ神として結実している。インドのリグベーダにミトラの神は登場する。実はキリスト教も「ミトラ教」から多くの世界観を引き継いでいることも知られています。
もとに戻ってスラブ人(ロシア人)はといえば、精霊信仰の中に、守護神的なものも加えているようですが、バラバラに解体された個人を新たに統合するための観念は持ち合わせていないようです。
ロシア人も、ドイツ人もかなり時代を下ってから(ロシアにいたってはせいぜい千年前)キリスト教を受け入れてはいますが、表面的なものは別として、西洋的な略奪的、侵略的な価値観の根本のところは受け入れていないとさえ考えられます。
改めて考えてみると、ヨーロッパとして一括りにして考えるのは少し荒っぽく、ロシア、ドイツ、北欧、ケルトといった北のヨーロッパは、長く森と共に生きてきたという共通性があり、略奪闘争の主力となった南のヨーロッパ(ギリシア、ローマ)とは異なる、本源性を強く残したヨーロッパと言そうです。
ロシア(やドイツ)の世界に向けての発信や行動は、このような本源的な意識のありようから出てきており、世界の意識潮流を掴み、評価されて来ているということではないかと考えられます。
コーカサス発の略奪闘争の歴史、そしてロシア人はどのような位置にいたか、そこから彼らの本源性を強く残した意識構造を解明してきました。そして、ここから、森と長く生きてきた、北のヨーロッパの本源的な精神性という、新しい切り口が見えてきたように思います。
投稿者 tanog : 2014年08月08日 TweetList
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