日本人(縄文人)はこれまで2度、借り物の思想を丸呑みしてきた。 |
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2019年07月04日
江戸時代の画家「伊藤若冲」が世界で注目されている
最近読んだ本の中で佐藤智恵著の「ハーバードの日本人論」という著書があります。
今回はその著書から海外の人は日本人をどう見ているか、日本人から何を学ぼうとしているかに思いを馳せつつ逆に私達日本人が気がついていない日本人の特性を見ていきたいと思います。
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テクノロジーの進化と共に、絵画を科学的に分析する技術が飛躍的に進化しており、西洋画の世界では「あの名画の下にこんな別の絵がかくされていた」といった発見が相次いでいる。こうした中、ますます国際的な評価を高めているのが伊藤若冲だ。現在日本の研究者が蛍光X線や超高画質カメラを使った分析を進めているが、次々と明らかになる若冲の超絶した技法には驚嘆するばかりだ。若冲の人気は今、日本から世界へと着実に拡がりつつある(2018年10月11日ハーバード大学 ユキオ・リピット教授インタビュー)
2012年ワシントン・ナショナルギャラリーで開催された展覧会ではさまざまな動植物を生命力豊かに描いた「動植さい絵」など3編を併せて展示。当時若冲はまだ無名に近い存在だったが、ニューヨークタイムズとワシントンポスト社が相次いで好意的な批評を載せ、その結果口コミでその評判が広がり、4週間での会期中の来場者は23万人に上りギャラリー史上7番目に多い来場者を記録しました。カタログは2週間で売り切れ、数千部を増刷もすぐに売り切れる。この若冲の人気ぶりには驚くばかりでした。人気を博したのは、若冲の研究は日本絵画全般の本質を理解する事につながる、若冲の絵画を見れば日本絵画がどのように描かれ、どのような技法が使われているのか説明できてしまうのです。
日本画家に求められる「一発勝負」の精神
興味深いのは若冲自身が発明した技法はそれほどない事です。若冲は既存の技法を進化させ精緻性と完成度を極限まで追求した画家なのです。
西洋画と日本画、この最も大きな違いは修正できるか否かです。油絵は失敗しても上から塗りつぶす事ができます。日本画で失敗したら消す事などできないのです。「上から塗りつぶして書き直せる」西洋画と「一発勝負でアウトラインを引き、色を重ねていく」日本画では全く違う精神が必要となるのです。その為の画家の育成方法も違っていました。江戸時代、画家を志す人はまず師匠の弟子となり、何年も何十年も鶴や籠を墨で描く訓練をしなければなりませんでした。古い名画を見ながら模写して体に覚えこませていくのが基本的な学習方法です。これはまさに武術の「型」を覚える行為に近いものです。
若冲はなぜこれほどまでに細部を書く事にこだわったのでしょうか。
若冲は30代後半に仏門に帰依し在家の仏教徒となります。若冲は「絵画のどの箇所もすべて同じように大事だ」と信じていました。絵画のどの部分にも仏性が宿っていると考えていたからです。仏性があるという事は悟りを開いて道理を会得する力があるという事です。それゆえ若冲は仏性の持つものは全部平等に扱わなくてはならないと考えていました。鳥や鶴や孔雀などを描くときは羽の一枚一枚、毛の一本一本まで、植物は草の葉や花びらの一枚一枚まで精緻に描きました。
若冲は空や星には興味を持ちませんでした。
若冲は広大な天空ではなく、生物のディテールの中に宇宙を見出した画家でした。若冲にとっての宇宙は、空や星にはなく、鳥、花、など地上のすべての生物の中にあったのです。若冲の想像力が時空を超えるのは、生物の細部の中に宇宙を追求したからなのです。日本でも池大雅など、風景画を描いた画家はたくさんいます。ところが若冲はあまり風景を描く事に興味がありませんでした。彼は自分自身の美学を投影するよりむしろ、生き物の中に宿る生を見出す事に価値があると考えていました。無機質な遠景から「生」は感じられませんから彼の絵画のモチーフにはならなかったのです。
岡田美術館様より借用させていただきました。
投稿者 tanog : 2019年07月04日 TweetList
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コメント
投稿者 chikara : 2019年7月6日 05:22
若冲目録、ネット
じゃくちゅう①「若冲ジャクチュウ」著 澤田瞳子サワダトウコ 文藝春秋2015
じゃくちゅう②「若冲百図」別冊太陽2015年3月24日 編集人 竹内清乃 平凡社2015
じゃくちゅう③「知られざる日本に眠る若冲」監修 狩野博幸 エクスナレッジ2017
じゃくちゅう④「伊藤若冲」Wikipediaより インターネット