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2020年01月10日

人類初の航海はスンダランドから始まった。その渡航手段は「いかだ」だったのではないかと言われている。

スンダランドは今から2万年前後に大陸から海へ沈み現在のような島々となった。
しかしこのスンダランドから海に沈む遥か前、5万年前から6万年前にオーストラリア大陸に人類が渡ったという証拠がある。オーストラリアの原住民 アボリジニの先祖が描いた洞窟の壁画がマクニャラン遺跡に残っており、その付近に残っていた剥片石器と残ってた木片を放射能炭素年代測定法で調べたところ、6万年前から5万年前であった事が判明していた。

著書「日本人はるかな旅」の中でこの渡航した状況をかなりリアルに描かれていた。

>土地の豊かさに恵まれ多くの人類が生きていた古代大陸スンダランド。しかしこの大陸の環境は常に一定ではなかった。地球科学などの複数の分野の研究によって、海水面は変動を続けていたことが明らかになったのである。スンダランドが水没しはじめる2万年前よりずっと前から環境の激変が絶えず起きていた。この環境変動は地球全体を襲ったものではあったが、スンダランドはとりわけ水深の浅い大陸棚を抱えていただけに、その影響を大きく受けた。気温が変化して海水面の高さが変わるたびに大陸は縮小と拡大を繰り返していたのである。

そしてそこに「人口ポンプ」という作用が起きていた。大陸の面積がひろがると、豊かなスンダランドは人口収容力を増し、多くの人々が集まった。しかし、大陸面積が縮小し、居住空間が狭まると、食料不足などもあって、こんどは人々の集団を押し出す作用が働く。この繰り返しが人々の移動を産み出していたという考え方だ。これに加え火山噴火などもあって、人々は海を越える決心をしたのではないかという見方である。

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新天地を求め、最初に海を越えた人々。彼らの子孫がオーストラリア先住民のアボリジニたちである。
彼らの神話の中には祖先たちが大きな貝殻を舟のパドル(櫂)として海を渡ってきたという伝説がある。5万年以上も前に海を越えた偉大な祖先たち。しかし、ここで大きな疑問が出てくる。いまから5万年以上前にはまだ高度な道具がなかった。粗末な石器でどうやって舟を作ることができたのか。移住が成功するには、屈強の男たちだけでなく、大勢の人々の渡航が必要である。どうやって彼らは海を越えたのか。
そこにはアジアならではの有利な条件があぅた。

インドネシア・スラウェン島はスンダランドのすぐ東に位置していた島である。東南アジアの交通の要所であり、種類の多さから船の博物館とも言われている。海洋航海術の研究でも知られているオーストラリアの人類学者アラン・ソーン博士に、船の原点を見せてもらうことにした。
案内されたのは、マロス川の上流だった。そこには竹の出荷で賑わう場所だった。自分の家に竹を植え、伐採しては運んで売る人々を訪ねた。彼らは伐採した竹を筏にして川に流していた。トラックで運ぶと運搬費が馬鹿にならない。そこで筏にして運ぶのだという。川から海に出て海岸線沿いに遠くの町まで数日かけて運ぶこともあるという。

東南アジアは1000種を超える竹の原産地であり、竹は古来より生活の必需品となっている。アジアを旅すると、竹を利用した生活をあちらこちらで見ることができる。竹の繊維を編み込んで漁のしかけを作ったり、家の柵や屋根にしたりすることもある。家を建てるときの足場にも使われている。
氷河期においても竹は繁茂していたと考えられており、竹という素材を手にしたスンダランドの人たちは高度な石器を必要としなかったと言われる。簡単な石器があれば、槍や弓矢、短剣などの鋭利な道具を作ることができるからだ。スンダランドの人々はいち早く、この優れた素材で筏を作るという発想を持ったはずだ、とソーン氏は言う。

竹はアジアが誇る最高の資材です。竹という素材は軽くて丈夫で柔軟性があり、水に浮きやすいのが特徴です。立派な石器がなくても筏なら簡単に作れます。長い航海に必要な水を水筒にためることもできます
スンダランドに大河が存在していたことを思い出してほしい。川沿いに繁茂する竹を手にした人々が筏を制作し、最初は川で、そしてやがて海へと活躍の場を広げていった姿を容易に想像することができるだろう。~以上抜粋。

人類最初の船が丸木舟か筏かという議論。この話を聞くと人類の海洋技術の発祥でありそのスンダランドが竹の集積地である事を考えれば、たしかに竹で編んだ筏が人類の渡航の起源であったというのは符合がいく。丸太のくり抜き技術が発達し丸木舟が登場するのは実に1万年前まで遅れるのだ。未だに巷の歴史書では丸太船が航海技術の最初のように言われることが多いがこのスンダランド発の筏での航海技術は意外と注目されていない。

 

投稿者 tanog : 2020年01月10日 List  

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