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2014年01月01日

和食にみる縄文的心

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写真はこちらからお借りしました。
http://tetsu-o.com/archives/tag/%E7%94%BB%E5%83%8F
みなさん、あけましておめでとうございます。
いつも縄文ブログをご覧いただき、本当にありがとうございます。
本年も、縄文を始め歴史から様々なことを学び、現在の私たちの有るべき姿、進むべき方向を追求していきたいと思います。
  
さて、2013年は私たちの暮らしに大きな影響を及ぼす様々な出来事がありましたね。
消費税8%増税決定、食材偽造、特定秘密保護法の成立、そして国の借金1000兆円突破、などなど。
一時的な経済政策や世論誘導を図るマスコミ報道に浮き足立つことなく、本当に何が必要か、必要でないかを一人ひとりがしっかりと判断して、2014年は是非とも新しい光が見える、良い年にしていきたいものです。
 年明け最初の記事は、お正月にちなみ「和食」について考えてみたいと思います。
みなさんも今おせち料理を食べているのではないかと思いますが、2013年12月4日、ユネスコによって「和食」が無形文化遺産に登録されました。
具体的な特定の和食が登録されたのではなく、日本の歴史や生活風習と密接に関わった日本独自の「文化」として「和食」が登録されました。
私たちが忘れがちな日本の文化、日本人の心を見直す良い機会ではないかと思いますので、一緒に「和食」の魅力を通じて考えていきましょう。
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先ずは、ユネスコ無形文化遺産に登録申請した農水省のHPを見てみましょう。
農水省 ユネスコ無形文化遺産に登録申請した「和食;日本人の伝統的な食文化」とは

(以下引用)
南北に長く、四季が明確な日本には多様で豊かな自然があり、そこで生まれた食文化もまた、これに寄り添うように育まれてきました。
このような、「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた「食」に関する「習わし」を、「和食;日本人の
伝統的な食文化」と題して、ユネスコ無形文化遺産に登録申請しています。
  
「和食」の特徴
■多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
日本の国土は南北に長く、海、山、里と表情豊かな自然が広がっているため、各地で地域に根差した多様な食材が用いられています。また、素材の味わいを活かす調理技術・調理道具が発達しています。
■栄養バランスに優れた健康的な食生活
一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは理想的な栄養バランスと言われています。また、「うま味」を上手に使うことによって動物性油脂の少ない食生活を実現しており、日本人の長寿、肥満防止に役立っています。
■自然の美しさや季節の移ろいの表現
食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現することも特徴のひとつです。季節の花や葉などで料理を飾りつけたり、季節に合った調度品や器を利用したりして、季節感を楽しみます。
■正月などの年中行事との密接な関わり
日本の食文化は、年中行事と密接に関わって育まれてきました。自然の恵みである「食」を分け合い、食の時間を共にすることで、家族や地域の絆を深めてきました。
(以上引用終わり)

  
  
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写真はこちらからお借りしました。
  
ここから和食文化の特徴をまとめてみると、
1.多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用
2.バランスがよく、健康的な食生活
3.自然の美しさの表現
4.年中行事との関わり

となります。
先ず和食といえば、強い香辛料や味付けで食材をコントロールするのではなく、素材の特徴を活かしながら、素材そのものが持つ味を引き出して楽しむ、という特徴が挙げられると思います。
これは、自然に対する畏敬の念を抱き続け、自然との同化を試み続けた縄文人の特徴そのものだと思います。
★日本人の民族特性こそ次代の可能性2~縄文体質とは何か?(1) 
★縄文に学ぶ自然の摂理 ~縄文時代の基礎知識2 縄文の食、「東」と「西」~
  
  
まさに、食材との対話、食材への同化です。
そして、特定の食材に偏ることは、栄養バランスの偏りだけでなく、食材の枯渇や土へのダメージに繋がることを経験的に理解していた縄文人は、その地域地域で取れる多種多様な食材を活用し、様々な調理方法を開発していきました。
  
  
「縄文への道」 
食のイノヴェーションとは?
からの引用です。

(以下引用)
 土器の発明は「食のイノヴェーション」を生むことになった。 考古学には、その当時の人が何を食べたか調べる方法として、「糞石=糞化石」を調べる方法が採られている。これを分析すると、当時の人がどんな物を食べていたかががわかるという。
 その結果縄文人は、何十種類の食材を摂取していたらしい。当時としては驚異的な数字である。それまでの食事法は「単体食」であった。せいぜい1つの食材を「炙り焼き・蒸し焼き」するという程度が関の山だったのである。
 縄文の創生期、鹿児島の上野原遺跡では、薫製したと思われる遺構が見つかっているが、それとてまだ単体食であった。土器の発明は、わずかな動物・魚介類の動物性タンパク源に、ドングリなどのデンプン質、山菜・根菜・キノコなどを加えたバランス食である、(今で言う)「鍋物」として食べた、世界で最初の民族だったのである。
 ドングリなどは、土器を使って水晒し・煮沸によるアク抜きなどを
行ったし、堅い食材も、煮ることで柔らかく消化がよくなる。
 また海辺の民は、土器を海水の濃縮に使用したはずだ。あえて補足すれば、日本で多く見つかっている貝塚だが、短い期間に非常に多量の貝殻の集積がある。
 このことは、貝の身はその場所の民が食べただけでなく、おそらく交易品として利用されたのではないか。すなわち貝は、濃縮した塩に加えられ、美味しい調味料である「出汁の素」として彼らの丸木舟で川を遡行し、奥地の民に届けられたのではあるまいか。
(以上引用終わり)

  
  
集団が生きていくために不可欠な食料の確保ですが、決して自然を破壊して手に入れるのではなく、自然の摂理の範囲内で食材を確保していきました。
この「足るを知る」意識は、現在でも日本人の中には残っている感覚だと感じます。
また、料理に季節感を添え、季節感とともにいただくという和食の特徴も、この「人は自然の摂理に従うもの」という当たり前の想いから生じており、さらに客人や集団を楽しませたい、みんなで充足したいという思いなのではと思います。
このように見てくると「和食」とは、日本人の誰もが今でも持ち続けている縄文的心そのものではないかと思います。
自然への畏敬の念を根底に持ち、自然の摂理を侵さないことをみんなで共有し、在るものを工夫して楽しみ、絆を深める。
  
ユネスコが今回無形文化遺産への登録を決め、世界中の人々が単なるブームを超えて和食の魅力に気付き始めたのは、行き過ぎた経済至上主義や自然破壊への問題意識から、自然と共に生きる先人の知恵としての和食に、人間としての本質的な価値を感じ取っているからではないでしょうか。
みなさんの中にある日本人の良さ、縄文的心を、このお正月に和食を通じてみなさん自身で振り返ってみてはいかがでしょうか。

投稿者 sinkawa : 2014年01月01日 List  

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