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2008年11月30日

DNAから、人類の拡散を探る~その5

従来の考古学的な研究からは、新大陸への移住のルートやその年代について様々な意見が出されているようです。
これに対し、アメリカ先住民のDNAのハプログループの分析によって、その祖先、移住のルート、その時期が分かってきました。
今日はいよいよその部分に言及してみたいと思います。
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⑨『アメリカ先住民はどこから来たのか』
  ~新大陸に渡っていった人達はどのような人達なのか
⑩『アジアを源とするアメリカ先住民のハプログループ』
現在のアメリカ先住民の先祖は、様々な研究の結果モンゴロイド集団に由来するということはほぼ確実なようです。
その移住ルートについては従来考古学的な証拠から、今から13,500年ほど前に陸続きだったベーリング陸橋(ベーリンジア)を渡り、その後北米大陸のコルディエラ氷床とローレンタイド氷床の間の「無氷回廊」といわれる部分を南下したと考えられていました。(内陸説
彼らはその持っていた石器の形から「クロヴィス人」と呼ばれています。
また近年、カナダ西部のブリティッシュコロンビアなどから居住の痕跡を示す遺跡が見つかったことから太平洋沿岸沿いを南下したという説(環太平洋ルート説)も浮上しているようです。(「人類のアメリカ大陸における拡散」
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(「『モンゴロイドの地球(5)最初のアメリカ人』大貫良夫 編 東京大学出版会よりお借りしました)
さらにはそのほかにも発掘された遺跡からヨーロッパから直接大西洋を渡ってきたルート説や、南太平洋の島々からのルート説など、いろいろな説があります。
それに対し現在のアメリカ先住民のDNAのハプログループ分析から、
1)その祖先と考えられる人達が誰なのか、
2)その次にその分布からどのようなルートを辿ってきたのか
について検証します。
■アメリカ先住民たちの祖先は一体誰なのか
現在のアメリカ先住民たちのミトコンドリアDNAのハプルグループは、A,B,C,D,Xのいずれかであることが分かっているそうです。

五つのハプログループのうちXは、基本的には北米の先住民に数パーセントの頻度で現れるもので、コーカソイド集団には高頻度で見られることから、このハプログループが北米先住民のなかに見つかった当初は、ヨーロッパ人とのコンタクトによって持ち込まれたものと考えられていました。しかし、D-ループ領域の塩基配列の解析からヨーロッパのタイプとは異なっていることが判明し、また最近になってコロンブス到着以前の古人骨やシベリアの先住民からもこのハプログループが検出されたことから、Xもアメリカ先住民の成立当初から存在していたマイナーなハプログループであることが確認されました。

(「日本人になった祖先たち」より)
つまり、ハプログループXはヨーロッパ人を祖先には持たないだろうということですね
そのほかのA~Dの各ハプログループはアジアに特有のものであることは既に知られていましたので、上記のようにXもアジアの集団に存在することが明らかになったことで、アメリカの先住民の起源がアジアにあることがDNA分析でも証明されたことになりました。
そうすると基本的にアメリカ先住民はヨーロッパから直接太平洋を渡ってきたのではなく、アジアルートである可能性が高いといえますね。
■アジアから新大陸へのルートはどうだったのか
上記を知る為にはまず、アジアにおけるアメリカ先住民と同じハプログループを持つ人達の分布を見てみます。

ミトコンドリアDNAからアメリカ先住民の源郷を探す為に、アジアの各地で五つのハプログループをもつ集団を探す試みが行われました。その結果、中国北部、シベリア南東部、モンゴルの集団が、アメリカ先住民の大多数を占めるハプログループA~Dを持っていることが明らかになりました。特にそれらの割合が高いのは、アルタイ山脈・トゥヴァ・バイカル湖周辺といったモンゴルの北方に隣接する地域の集団です。アルタイの集団はハプログループXもあわせ持っており、現代人のデーターから見る限り、アメリカ先住民の源郷の地としての最有力候補であるように思えます。
しかし、これら五つのハプログループでは、ハプログループA,C,D,Xが主として北アジアに分布の中心があるのに対し、ハプログループBは東南アジアから中国南部に分布の中心があります。
ですから移住については、この二つを分けて考えたほうが無理のない様に思えます。新大陸への移住には、少なくとも二つの異なった潮流が存在したのでしょう。一つはベーリング陸橋をわたった北方集団、もう一つは東アジアの大陸沿岸を北上して、海岸沿いにアメリカ大陸に入ったグループです。このように考えると、内陸説と海岸説の双方が成立します。

DNAのハプログループからは、アメリカ先住民の起源はやはりアジアにあり、かつそこから新大陸への移住ルートも考古学的な証拠からの推察通り、ベーリング陸橋からアメリカ大陸の内陸移動と、東アジアの沿岸から北上して、新大陸の太平洋岸を南下した環太平洋ルート説のどちらもありえるようです。
さて次回はその移動の時期について、DNAはどう語っているかレポートします。

投稿者 saah : 2008年11月30日 List  

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コメント

あけましておめでとうございます。
確かに「日本人の起源」というのは興味尽きないテーマなのですが、なんか、最近、調べれば調べるほど、日本人というのは限りなく半島人、もっと言えば東アジア人に近づくな~、と思っています。境界がないというか、あいまいというか。
平成になって「ボーダーレス」などという言葉が闊歩しましたが、どうやら2000年前はそんな言葉も必要ないほど、日本列島は、玉虫色、ごちゃまぜだったのではないか、と思ってしまいます。
今年も一層の追求を期待しています。

投稿者 大阪の騎馬牙 : 2009年1月1日 19:46

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