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2007年08月16日

大英帝国の基礎を築いた海賊

 ちょっと唐突かもしれませんが、今回はいきなり15~16世紀のイギリスにやってきてしまいました。
イギリスは、7つの海を支配したと言われましたが、当初は海賊を利用して世界の海に乗り出し、そしてスペイン無敵艦隊を撃滅して制海権を握っていきました。
・・・・“ヨーロッパの基層:ヴァイキング=海賊が支配層を形成した”の続編です。以前中途になっていた市場の主役と形成史を扱いつつ、折を見て中国の記事も書きたいと思います。
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フランシス・ドレーク(1543頃-1596)

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イギリスが7つの海を制覇できた最大の理由として、国家が海賊を取り込み、力で制海権を握ったことがあげられるだろう。イギリスには、もともとヴァイキングの流れを汲む掠奪・海賊・拿捕業の伝統があった。当時その頭目の一人が、フランシス・ドレイクでした。
航海者列伝より

マゼランの航海から半世紀が過ぎた頃、イギリス屈指の大海賊としてならしたフランシス・ドレークは、太平洋の遠征航海を夢見ていました。エリザベス女王に謁見し、太平洋探検の名のもと、スペイン植民地の襲撃という密命も受けて、1577年11月、武装した5隻の艦隊を率いてプリマス港を出港。
マゼラン海峡を経て、南北アメリカ大陸の西側に沿って北上しながら、海賊らしく、沿岸のスペイン植民地や船を襲い、多くの金銀や装飾品を奪います。その後、太平洋を横断してモルッカ諸島で香辛料も積み込み、インド洋から喜望峰を経て、1580年9月にイギリスに帰国します。
5隻の艦隊のうち、残っていたのは旗艦ゴールデン・ハインド号だけでした。しかし、略奪した財宝は、当時のイギリスの国庫歳入を上回るほどのものだったことから、ドレークはその功績によりナイトの称号を与えられています。

大川周明 『米英東亜侵略史』より

イギリス海軍の基礎を築き上げたのは、ジョン・ホーキンスやフランシス・ドレークのような大胆勇敢なる海賊です。イギリスの海賊は15世紀頃から音に聞こえていましたが、16世紀になりますとますます盛んになったのみならず、略奪の相手は、スペインやポルトガルの船でありましたから、海賊的行為は愛国的行為となり、イギリスの船長は数門の大砲を備えた船に乗って、東洋貨物を満載したポルトガル船や金銀を満載してアメリカから帰るスペイン船を略奪することを公然の商売としていたのです。世の中に是ほど儲かる商売はなかった。
例えば、ただいま申し上げたホーキンスは、プリマスの船乗りの倅でありましたが、スペイン領アメリカへの第一回航海によって、一躍プリマス第一の富豪となり、第2回航海から帰って実にイギリス第一の富豪となったと言われております。エリザベス女王も、ドレークから少なからぬ分け前をもらって大いに喜んでおります。

このようにして、イギリスの海賊は一躍富豪への仲間入りを果たした。次いで・・・・

1588年にスペイン無敵艦隊が、ホーキンス、ドレーク等の海賊を中心とするイギリス艦隊に撃滅されたので、インド航路上の最大の障害物がなくなったのみならず、東洋において一歩イギリスに先んじたオランダが、東洋貿易の新しき独占者たらんとする形勢があるので、一群のロンドン商人が結束して、1599年、資本金わずかに68万ポンドをもって、東インド会社を組織し、エリザベス女王から「喜望峰よりマゼラン海峡にいたる国々島々と、向こう15年間自由にかつ独占的に通商貿易を営むことを得る」という特許状を与えられ、翌1600年から直ちに活動を開始したのであります。
この小さい会社が、後にイギリスのために「王冠に輝く燦たる宝玉」と讃えられるインドを征服し去ろうとは当時は何人も考えなかったことであります。

このようにして、海賊の力で制海権を握っていったイギリス(ロンドン商人)は、つぎに東洋貿易を競うオランダに勝利するために、貿易企業体=東インド会社を設立した。この東インド会社は、植民地獲得の先鋒となって、インド、中国、東南アジアなど次々に支配を広げていく。
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ウィキペディアより後世の19世紀末ごろのイギリス領
つづく  (by Hiroshi)

投稿者 ihiro : 2007年08月16日 List  

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