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2015年02月17日

大共同体「東南アジア」を支えるシステム~タイ・クーデターは共認統合の要か?

●クーデターが頻発するタイ

タイは比較的頻繁にクーデターが起こる。以下、2014年のクーデターに関する5月22日産経新聞の記事です。閣僚の拘束や連行、憲法停止など、武力で権力を制圧した、ものものしい、緊迫した空気が伝わってきます。

タイ全土に戒厳令を布告していた陸軍のプラユット司令官は22日、地元テレビで演説し、秩序の回復に向けてタイ陸、海、空軍、警察が「国家平和維持評議会」を組織して全権を掌握したと発表し、軍事クーデターを宣言した。

チャイカセーム法相ら閣僚を拘束、反政府派を主導するステープ元副首相やアピシット元首相も連行されたもようだ。インラック前首相の所在は不明。

軍は王室に関する条項など一部を除いて憲法を停止し、全土に夜間外出禁止令を発令、全閣僚に22日中に首都バンコクに集まるよう指示した。タイでのクーデターは、タクシン政権当時の2006年9月以来となる。

穏やかな民族性を持つと思われた、タイを含めた東南アジアの人々だが、このような事態が頻発するということは、表面的には分からない、「怖い」側面を持っているということなのだろうか。

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●兵士と一緒にピースで写真に納まる一般大衆、お弁当を差し入れる人々。

しかし、クーデターというと私たちには上記のような固定観念があるが、タイでの実際の様子は違っているようです。人々はクーデター慣れしているというのもあるが、それ以前に、軍部の登場を歓迎している空気さえある。

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兵士と握手する子供、花を手渡す女性、弁当を差し入れるおばさん。これらはクーデター起こした側のイメージ゙作戦なのでしょうか。軍事クーデターは力づくで政権奪取するものですから、ピリリとした緊迫感で臨んで当然と思われます。

実際、中国の天安門事件とか(クーデターではないが)こんな光景が見られたとは想像できません。ということは、タイ民族におけるクーデターというのは、私たちがイメージするそれとは本質的に何か違うということかと思われます。

●国王、軍部は、共認統合の要として、国民に信頼されている。

さて、クーデターが成功したあとどうなるか。そのまま権力に居座るかと思えば、そうではなく、まず国王に全権を奉還、その後、総選挙を経て、「平時」に戻っていくようです。

つまり、政治家の汚職など何か大きな政治問題が起こる→(民意を代表して)政府の権限を軍部が停止→共認統合の要である国王に権力を奉還→あためて総選挙。

というサイクルが、政治問題解決の一つのパターンとして出来上がっているようです。

なんだか、水戸黄門が登場して全て解決のような構図ですが、実際、国王の国民からの信頼は絶大で、また、軍部もエリート中のエリートで国民から信頼されているようです(現代の日本のエリートとは大違い。)

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●タイ軍部クーデターは、民主主義→市場(派)暴走を抑止する防波堤

私たちはクーデーターやそれを起こす軍部を、漠然と「悪」、民主制とは相容れない「力」であるというように捕らえています。戦前の日本、ドイツは、民主主義を持たないゆえ道を誤った、あるいは現在も軍事独裁の国家では人々は抑圧されているなど、といった認識です。

しかし、少なくともタイにおいては、軍部やクーデターの機能は異なっていることが分かります。一定民意を反映するため「民主制」「選挙」が必要であることは前提になっている。しかし、日本でもアメリカでもそうですが、民主制、自由主義というのは、既得権益層に圧倒的に有利な体制であり、また市場主義を暴走させる装置となっている。

タイにおいても、民主制→市場化路線は、華人を中心とする上流階級にとって有利な政策(口では国民みんなにとってよい政策というだろうが)を導いていることは明らか。そのようなとき、つまり「民主性」に内在する問題点、既得権益層優遇、市場の暴走の兆候が見えるとき、国民全体の利益を代表して軍部がクーデターを起こし、灸をすえるという構造になっていると思われます。

民主主義の弱点を補完する、現実的にバランスを取る上手い仕組みになっているように思いますし、そもそも民主主義って大丈夫のか、軍事クーデターだからって「悪」なのかと、本質的なところを考えさせられる、本源的な東南アジアのゆえの見事なシステムだと思います。

投稿者 tanog : 2015年02月17日 List  

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