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2015年02月24日

大共同体「東南アジア」を支えるシステム~穏やかな民族性の中に(海洋探索→)闘争の遺伝子を伝えるO1系統民族(フィリピン、マレーシア)

●米軍基地を追い出したフィリピン

今回シリーズでまだ登場していなかったフィリピンから始めます。次に登場するマレーシアと合わせて、意外な共通の民族的的気質を持っていると感じます。

フィリピンの民族性は、あまりに日本人知られていませんが、やはり漠然と南国の穏やかの気質と考えられているでしょうか。歴史の中で、世界1周を目指したスペインのマゼランがフィリピンで戦死した話、かつては首狩族がいたという、少し怖い話などもありますが、それは随分前の話だろうといった感じでしょうか。

ただ、やはり、現代につながる攻撃的、闘争的な気質もやはり持っているようです。フィリピンは反米感情が非常に強く(19世紀末からアメリカの植民地だった)1991年に米軍基地を追いだすことに成功しています。日本で米軍基地を実際追い出すことをイメージして見れば、フィリピンでの反米感情に強さを推し量ることができます。(もちろん、お金がかかる、火山の噴火があって大変だったとかいった要因はあったようだが)。穏やかな南方民族というのは、少し違うなという感じがしますがどうでしょう。

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●欧米世界に対する敵対心むきだしのマハティール・マレーシア

そして、闘争的な東南アジアといえば、やはりマレーシアです。マハティール首相時代に、欧米でなく日本に習えとルックイースト政策を展開、実際に東南アジアで断突の経済的成功を納めてきました。冷戦後は日本を中心に東アジアブロックを形成することを提唱し、欧米が作ってきた世界秩序に対するファイティングポーズをとり続けました。

1990年代のアジア通貨危機でも、各国がアメリカとIMFの軍門に下る中、独自の為替政策でIMF無しで危機を乗り越え、アジア通貨危機を自体が欧米諸国の陰謀と発言し、欧米に対する敵対心むき出しでした。

「もし日本なかりせば」1992年の演説に、欧米に対する闘争的な世界観が示されている。http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=102598

>日本の存在しない世界を想像してみたらよい。もし日本なかりせば、ヨーロッパとアメリカが世界の工業国を支配していただろう。欧米が基準と価格を決め、欧米だけにしか作れない製品を買うために、世界中の国はその価格を押しつけられていただろう。・・・

>貧しい南側諸国から輸出される原材料の価格は、買い手が北側のヨーロッパ諸国しかないので最低水準に固定される。その結果、市場における南側諸国の立場は弱まる。・・・

>南側のいくつかの国の経済開発も、東アジアの強力な工業国家の誕生もありえなかっただろう。

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●ポリネシアからマダガスカルまで、探索冒険を繰り広げた、闘争的な民族O1系統の血

このようなにフィリピン、マレーシアは、東南アジアの中にあって闘争的な民族性を垣間見せるのですが、その共通性は何か。陸の東南アジア、タイやミャンマーが、全方位外交的、あるいは、真正面からはことを構えようとしないのに対して、際立っています。

実は、フィリピンもマレーシアも起源を一にする海洋民族、7000年ほど前、台湾あたりから太平洋の大海原に向かって、探索→移動を続けてきた冒険民族なのです。Y遺伝子分類で言うO1系統の民族。

始めはやはり恐らく、漢民族の圧力がきっかけですが、O2系統(日本人や韓国人、ベトナム人に受け継がれている遺伝子)が、大陸周辺部に張り付くように分布しているのに対して、O1系統は、台湾からフィリピン、インドネシア、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシア、ニュージーランド、ハワイと、ひたすら未知の世界へと探索→移動を繰り返していきます。西方向へも向かいアフリカ東岸のマダガスカルの住民もマレー系となっている。

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もちろん長い時間をかけての移動ですが、すさまじい探索力、冒険力、日本列島で生き続けた縄文人から見ると、驚きの行動力と言わざるを得ません。先にあげフィリピンやマレーシアに垣間見られる闘争性は、このような海洋民族の探索力、冒険力に由来するのでだろうと思いますがどうでしょう。

日本を含めた南方・東南アジア人にも、そのような探索→闘争的な気質も受け継がれていることは事実で、共同体的で穏やかな「東南アジア」の可能性を改めて見直す、重要な視点になるように思います。

投稿者 tanog : 2015年02月24日 List  

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