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2013年08月14日

日本人が世界に誇れる3つの事 2.世界に普及させたい日本の現場主義経営

皆さんこんにちは。
「日本人が世界に誇れる3つの事」シリーズの2回目。
ルース・ジャーマン白石著「日本が世界に誇れる3つの事」より、今回は日本企業のあり方について考えたいみたいと思います。
題して「世界に普及させたい日本の現場主義経営」
著者であるルース氏はハワイ出身の日系女性です。
彼女は、世界中の様々な企業で働いた後、来日し空間デザインの企業で役員をされていました。そんな彼女の目から見た、世界に誇れる日本企業の「長所」がかれています。
世界の企業を見てきたからこそ、そして常に企業の第一線にいたからこそ見えてきた、実感と臨場感あふるる記事をまずは紹介します。
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日本のオフィス街
画像はこちらからお借りしました

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アメリカの大学には、「Open Door Poricy」という考え方があります。
これは、多種多様な文化背景をもつ学生を職種的に受け入れるという意味に加え、学生が気軽に教授に質問や相談ができるよう、教授室のドアをオープンにしておく習慣のことをいいます。
(中略)
アメリカの大学教授のような存在と、日本企業の経営者は似ていると、あるとき気づきました。
(中略)
中小企業が九割強を占める日本では、経営者と社員との距離が比較的近いように思います。社長室を設けず、社員と同じフロアで働く経営者も少なくありません。
中規模以上の会社でも、社長室はあっても、就業時間中は社員のフロアに机を設けて、綿密で迅速なコミュニケーションをはかっている経営者もいます。この距離感が、アメリカの大学の教授と学生の関係と共通していると感じたのです。日本企業は「現場主義」を重視し、現場にできるだけ近いところでマネジメントを考えるべきだというスタイルです。日本の経営者が自分の会社のユニフォームを大事にし、工場などの現場で自ら着用するのは、現場第一主義からきているのでしょう。

一方、アメリカの企業は、経営者と社員が同じフロアで勤務することはほとんどありません。役員クラスは大きな窓のある広い個室にデスクを構えていて、社員は何かあるとアポイントを入れて役員の部屋を訪れます。
(中略)
欧米では、マネジメントを考える人問と、実行する部隊とをきっちり分けて誓えます。商品開発をしたり、販売経鹿を広げたり、利益を確保する構造を計算したり…・・そうした戦略を考えるすべてのノウハウは役員クラスがもっていて、トップダウンで指示されたものを現場のスタッフが実行するしくみです。これに対して日本は、実行部隊である現場から上がってくるものを経営戦略に生かします。つまり、「プロは現場にいる」という考え方です。
現場のプロたちが手を動かしながら考えることを、効果的なしくみに落とし込み、商売にしていくのがマネジメントする人間の仕事ととらえているのです。
(以上 引用終わり)

欧米企業は、席や部屋を明確に分ける事で地位や身分の違いを鮮明にし、企業秩序を維持しようという発想です。私権によって統合された企業は、その私権性をより鮮明にする事で、集団を統合し、またそれが成員の活力に結びついているといえます。
一方、日本企業の統合軸や成員の活力源は、欧米のそれとは全然違うようだ、という事をルース氏は気付き、驚きと共感を感じています。
以下、引用を続けます。

それまで「現場主義」という言葉は頭で理解していましたが、本当の意義に気づいたのは、自分がマネジメントをする立場になってからのことです。
そうやって日本企業を見たとき、幹部が社員にとって離れた存在となっている欧米式よりも、現場に常にいて、社員と風通しのいいコミュニケーションを行える環境を整えている日本式経営はすぐれていると強く感じました。
(中略)
大学は学ぶところですが、企業も実は学ぶところなのです。
新人が役員クラスと言兼を交わしたり、経営についての考え方を教えてもらったりするなかで、学び、企業の一戦力として育っていくのです。
(中略)
日本企業は現場を第一に考えます。現場が考えているものも大事にします。そして、その現場にいる一人ひとりがどれだけ大事かということを示すため、働く環境を最大限整えようとしているように、わたしには見えるのです。
 会社側がそういうスタンスでいると、社員は「会社に大切にしてもらっている」という気持ちになります。
そうすると、より会社に更献しようと努力しますし、有益なアイディアが生まれやすくなり、新しいものがとんどん生まれる会社に育っていきます。つまり、会社にとっても社員にとっても、善の循環が起こるのです。

どんなにグローバル化が進んでも、こうした日本式の経営スタイルは大切に守っていってほしいのです。
(以上、引用終わり)

ルース氏は「現場主義経営」という言葉で日本企業の特徴を表現しています。
この現場主義経営、その中身は何なのでしょうか。
そもそも日本に欧米的な「企業」という生産体の概念が入って来たのは明治以降です。高々100年ちょっとの歴史しか有りません。
欧米では、植民地経営の為の、共同資本による効率的な冨の集中、運用の必要から16世紀には既に「株式会社」が誕生しています。
1600年設立の「英国東インド会社」等は特に有名ですが、これらは金融資本を背景に植民地支配という遠隔地からの搾取、収奪を目的とした団体であり、その原動力は徹頭徹尾私権の獲得でした。個々の私権獲得が最大の目的であり、その為に繋がった営利団体こそが欧米における「企業」のあり方であり、今も昔も変わりません。
これに対し、農耕民族である日本人の生産体は、ずっと「共同体」でした。
自然も含めた集団の「調和」を旨とし、個の利益より集団の充足を第一としてきました。
この、古来より育まれた、共認充足を第一とする日本人の「心の有りよう」が、現代の企業にも受け継がれているといえます。
ここに日本企業の独自性を見ることが出来るのではないでしょうか。

ルース氏が感銘を受けた日本企業の美点も、この縄文的な精神性にその根本を見出すことが出来ます。彼女が言う「現場主義経営」の原点もここにあると考えられます。
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ミーティング風景
バブル期以降、日本にも外資系企業を中心に欧米的な企業経営の手法が持ち込まれました。
しかし、個を前提とした成果主義、能力主義といった評価概念が日本に根付くことはありませんでした。
これも、日本人の心に色濃く残る縄文体質、共同体性を鑑みれば当然かもしれません。
これに対し今注目されている、そして実際に「勝っている」のが『共同体経営』です。
今日本においてこうした会社が増えつつあります。
以下に参考となる記事を紹介します。
『共同体経営とは?』-6 日本的経営とは? ~特徴と歴史~http://bbs.kyoudoutai.net/blog/2013/01/001455.html
共認社会を実現してゆくのは、共同体企業のネットワーク期待応合と共認充足を紐帯とした全員参加型の経営方式。
事実を皆で共認し、成員への期待、役割、評価を鮮明にして共認充足を最大の活力源とする「共同体経営」こそがこれからの企業の姿であり、これは欧米的な運営手法では到底実現できません。
それこそ、外圧と成員の意識を的確に掴む「現場主義経営」が必要となってきます

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全員参加型の経営会議
注目すべきは、世界の様々な企業を見てきた欧米人のルース氏がこの日本型の企業経営を評価している点です。
先進国においては、私権企業による経営が既に限界を迎えている事は周知の事実です。
この突破口の一つが企業の共同体化であり、縄文体質を色濃く残した私達日本人は、その実現のさきがけとなりうる。
ルース氏の記事はその可能性を指し示していると言えるのではないでしょうか。
さて次回は、「日本人が世界に誇れる3つの事」シリーズの最終回。
どうぞご期待ください!

投稿者 yama33 : 2013年08月14日 List  

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