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2012年05月30日
縄文考 “ヤマト”とは何か?本編③ ~“ヤマト”を日本語で探る~
『縄文考“ヤマト”とは何か?』2.なぜ“ヤマのフモト”なのか?に続けます。
この「3.“ヤマト”を日本語で探る」ではヤマトコトバから『ヤマト』に込められた意味を探っています。
ヤマトコトバの背後には近代社会には薄れている縄文体質や気質が見え隠れしています。
このヤマトコトバの意味・背後を探るこで、我々がなんとなく抱いていた「ヤマト」のイメージと近づいてくる感覚があります。
この感覚は、我々の中に薄れてはいるが縄文体質・気質が継承されていることを示すものではないでしょうか
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3.“ヤマト”を日本語で探る
その他の意味を探りましょう。
最初に“ヤマト”を分解します。
ヤマトコトバの単語は2音で構成されることが多いので
“ヤマ・ト”と分解します。
“ヤマ”を調べると“やま(山)”しかありませんので、これは間違いなくMountainです。
“ト”を調べるとたくさんの意味がありますが、私が注目するのは並立助詞の“~と~”です。英語の“and”です。
“~と~”が最も重要な解明になります。日本語文章での助詞の働きに注目します。
日本語文章の中で“~と~”には驚くべき役割がありました。
「AとB」と表記します。A・B どちらが上位でどちらが下位でしょうか?答えは、
AもBも等価になってくっついています。
「鈴木さん“と”田中さん」
これはまったく違和感がありません。
「犬“と”私」この表現だと犬を家族の一員としている愛情が感じられます。犬はペットというポジションではなく家族の一員になり、人間と同一になっています。
では、「王様と私」「天皇と私」ではどうでしょう。このように書くと、ある違和感があります。等価ではない関係性を等価にしようとする表現上のレトリックを感じます。
「AとB」とは、AとBに差がない、区別がない、同じ仲間でくっついて同化している。
「と」にはそのようなチカラがあるのではないでしょうか。
更に次のようにイメージしました。“と”によってたくさん“ツナ”げます。
AとBとCとDとEとFとGとHとIとJと・・・・・・
次にもっとイメージを膨らませてみます。
このように円環にすると“ワ”になります。
“ワ”と“ト”はこのように関わっていると考えられます。
「たくさんの“~と~”によって人と人が“ツナ”がり、“ワ”になる。」
これが“ト”の重要性です。
日本語において“ト”は人と人とを等価にし、“ツナ”ぐ役割をします。
日本語は漢字渡来以前から存在します。ならば単語の意味を探ることは「漢字」の成り立ちを調べる事ではありません。それは中国語を調べることになります。
当たり前ですがこのことを見過ごすことが多くあります。
国学ポジションから日本語(ヤマトコトバ)を調べるには日本語の中でコトバとコトバがどのような役割をしているのか?その微かな響きに耳をすまし聴きとることだと思います。
ここまでが“ト”の解明になります。ここからはなぜ“ヤマ”なのかを考えます。
“ヤマ”を全訳古語辞典 (旺文社)で調べます。
いくつかの意味がありますが、私がピンときたのが④と⑤です。
④多く積み重なっていること、またそのもの
⑤高くすばらしく、あこがれの対象となるようなもの、仰ぎ見て、頼りにするもの
これで“ヤマ”をMountainではなくGreatとも考えることができます。
ここまで調べると“ヤマト”は
“ヤマのようなト”
“たくさんのト”
“偉大なト”
“オオいなるト”の意味になり“ト”の重要性を強調する役割がありそうです。
つまり、“ト”の役割は人と人の同化だけでなく、人と自然(ヤマ)の同化をも含んでいるのではないでしょうか。そして、同化(“ト”の役割)を重要視していた縄文人の体質が窺え見える気がします。
次に“ヤマト”に別の区切り方を当て嵌めます。
“ヤ・マト”に分けます。
“ヤ”の意味を考えます。
ヤエガキ(八重垣)、ヤエヤマ(八重山)、ヤマタノオロチ(八岐大蛇)、ヤクモ(八雲)、ヤハタ(八幡)などから“ヤ”は“8”の意味がありますが、“幾重にも”の意味があります。
“マト”はcircle/targetの意味があり、同心円をイメージします。
また、古語に残る“マトイ(円居)”にはたくさんの人々が丸く並んで座ることの意味があります。
“ヤエ・マトイ”だと考えると人々が幾重にも円くなって座っている車座のイメージが浮かびます。
生活実感として日本人の協調性や連帯意識、及び集団合議を表す言葉かもしれません。
集団合議の最終決定は意見を“マトめる”ことになります。
「満州写真館」より | 「大学連携和歌山」より |
ヤマトが2音で構成されている考え“ヤマとト” “ヤとマト”の意味を考えてきましたが、特に前者の“ヤマとト”がしっくりくるように思われます。
しかし、言葉のアヤ(綾)からはどちらも“縄文人体質・気質”を表しているヤマトコトバとしての「ヤマト」だと思われます。
【まとめ】
縄文人に同化して『ヤマト』を考えてみると、人と人の繋がりだけでなく人と自然(山)の一体化、あるいは自然(山)への同化と捉えることが可能な『ヤマ』と『ト』で構成されているようですが、決してそれだけでなく数多の意見を纏める=集団合議としての『ヤ』と『マト』で構成された場合の意味も考えて、縄文人体質・気質を表した言葉が『ヤマト』だったと考えられます。
この2種類の意味を兼ねた『ヤマト』を見出したのは、文字も持たずに話し言葉だけでやってきた縄文人だったからこそ見出せた言葉のアヤ(綾)なのかもしれませんね。
投稿者 yoriya : 2012年05月30日 TweetList
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