遺跡分布図から見た生活様式の変遷 |
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2006年11月10日
縄文土器:必要だった!⇒貯蔵・煮炊きによって食生活が圧倒的に飛躍した
考古学上、土器は時代区分のモノサシの意味合いがあります。そうすると、~型式土器,~文土器のようにどうしても時代区分を示すだけのもの…そのように思いがちです
しかし、縄文人の意識を推察するに、やはり必要だったから土器をつくったのだと思います。なんで必要だったか?そこを解明することによって、縄文人の生活を推察することができると思います 😀
そこで、土器の形に注目して、一体どのように使われていたか を探りたいと思います。
財団法人 横浜市ふるさと歴史財団 埋蔵文化財センターhttp://www.rekihaku.city.yokohama.jp/maibun/mb14/tame14.html
からの抜粋です
byさーね
土器の形はその時代の生活様式を物語る!
ぜひ読んでみてください!
土器の形
>土器の器種について
土器にはさまざまな形のものがあります。一体どんなものがあるのでしょうか?ちょっと羅列(られつ=連ねてならべること)してみましょう。甕(かめ)・壺(つぼ)・鉢(はち)・高坏(たかつき)・椀*(わん)・器台(きだい)・坏(つき)・皿‥‥
…(中略)
>●甕形土器
…(中略)…火にかけたときには、火のまわりがよくなり、早く熱が伝わります。ですから、この甕型土器は主に煮炊きに利用したものと考えられています。また弥生時代の後半から、より熱を効率よく伝えるために甕の底の部分に台を付けた台付きの甕形土器も現われます。
・煮炊くことによって、それまで食べられなかった植物系の食物が摂取できるようになった。
・主食と共に、様々な植物等を一緒に煮炊くことによってバリエーションが増え、摂取できる栄養分も多くなった。
>●壺形土器
…(中略)…土器の表面(内側と外側)は甕形土器に較べるときれいで丁寧(ていねい)に磨かれていたり、赤色顔料や朱などが塗られているものが多いです。このため、液体や大切なもの(種もみなど)を入れておく貯蔵に利用したものと考えられています。壺型土器は甕形土器に較べてその形のバリエーション(変化)に富んでいます。
・貯蔵できるようになり、食生活が安定した。
・水を貯蔵できるようになった。
>●鉢形土器
…(中略)…深鉢形土器は主に煮炊きに利用した土器ですが、貯蔵などの用途も兼ねていました。その後、弥生時代にはいって甕形土器と壺形土器がその用途によって区別されたため、深鉢形土器という名称はそれ以降の時代の土器には使いません。また、浅鉢形土器はおもに固形物を盛っておくための容器で、深鉢形土器に対して付けられた名称ですから、弥生時代以降の同じ形のものは単に鉢形土器という名称で呼んでいおり、その用途はどちらかといえばものを盛るために用いられていました。
・みんなで食事をするため。必要だった。だからつくった。
>●椀形土器*
…(中略)…サラダボウルやお味噌汁などを飲むお椀を想像していただければ良いかと思います。中には鉢形土器と区別がつきにくいものがあり、報告書や展示会を開くときには悩んでしまうこともあります。鉢形土器に較べるとサイズが小さいことから、こちらも貯蔵容器としてではなく、食事の際に汁物を入れたり、ものを盛るために用いられたものと考えられます。
・鉢形土器に盛られる主食に対して、個々の食のための器。
>●坏形土器
…(中略)…椀形土器と同様の用途で用いられたものと考えられます。現代ではこの坏というと杯(さかずき)が思い起こされます。お神酒を飲むときのような杯を想像すると良いかも知れません…(中略)…
・何か特別な飲料?祭祀の際の酒?とにかく、そのような祭りの場で使用された。
>●高坏形土器
坏形土器に高い台が付いた形状を呈する土器で、食べ物や土器などを盛るために使われていたものと考えられます。壺形土器と同様に表面が磨かれ、赤い色が塗られている場合が多く、大切なものを盛っていたとも考えられます。…(中略)…
・同じく祭祀の際に利用されたのだろうか?自然の神々に捧げる食のためにつくられた。
こうして土器の器種を見ていくと、厳しい外圧条件⇒どーする?と考えた結果ではないでしょうか?
・まず、食生活をどうにかしなくては?⇒土器をつくり、煮炊き・貯蔵へ。
・さらに、自然の神々=精霊信仰の縄文人にとって最も重要な祭祀の場へと土器様式が発展していった。
土器は、縄文人にとって必須のものであったのだと思います!
投稿者 sawatan : 2006年11月10日 TweetList
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コメント
投稿者 tano : 2006年11月10日 01:58
土器は、その種類もさることながら、数も出ていますよね。それだけ、重要なものであったんだと思います。
基礎情報として、まずは縄文鍋とは?=縄文人の食材を今度調べてみます!
投稿者 さーね : 2006年11月10日 20:17
昔、「2001年宇宙の旅」という映画がありました。
その冒頭で、猿人が他の集団と遭遇して争いになり、フト傍らにあった何かの骨を拾って相手を打ち負かした後、武器としての威力にその骨をしげしげと見つめている場面が映し出された後、画面がいきなり反転して、宇宙ステーションが映し出されるといったシーンが強く記憶に残っています。
作者は類人猿が最初に手にした道具が武器としての骨だったと言わんばかりです。
だから(かどうかは確かめてはいませんが、)「道具」のデパートである東急ハンズのマークはこの骨を組み合わせたものになっている。
しかしこれはどう考えてもおかしい。極限状態で私権(→略奪)的意識が殆ど働かない類人猿社会が、最初に手にした道具が武器であるはずがない。
むしろここで紹介されている土器やそれ以前の石器のように、人々の日常生活の活動の必要性から道具は発明され、工夫されてきたのでしょう。
土器の形の多様性は人類の工夫・創造思考の豊かさを教えてくれます。
投稿者 ryujin : 2006年11月10日 21:04
その後道具はじゅ術などに使われたそうです
投稿者 じじじじ : 2010年1月21日 12:10
なるほど・・・。
土器は縄文人を語るですね。
今でも屋外で土鍋を囲んでみんなで食べる鍋料理は格別ですね。我々が鍋料理に心奪われるのも縄文人の遺伝子が残っているからかもしれませんね。
ようやく鍋の季節。たまには肉を入れない縄文鍋を食べてみるのもいいかもしれませんね。(ところで縄文鍋の材料ってどんなんだろうか?)