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2012年08月28日

日本の源流を東北にみる(1)~火山がもたらした東北の縄文

:D みなさんこんにちわ。いよいよ新シリーズが始まります。
初回は縄文を彩った東北の概観把握ということでその土地と置かれている自然環境、自然外圧について見ていきたいと思います。
tohoku.jpg東北地方は6県あり、明治時代の廃藩置県によって地方に分類されます。隣接する関東や中部と比べて環境的特徴、歴史(縄文時代の遺跡の多さ)、文化などでこの6つの県の共通性は高いものがあります。
ただ、福島県に限っては、東北の玄関口という地理的環境もあり、関東と東北の中間的特徴を有しているようで他の5県とは東北としての特徴は少し異なるものがあるようです。また福島県は横に長い県で浜通り、中通り、会津でそれぞれ文化や歴史は異なっているようです。
今回は個別の県毎の特徴までは扱えませんが、東北地方としての歴史と環境を紐解いていき、なぜ縄文文化が東北に花開いたかの糸口を探ってみたいと思います。 :D

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縄文遺跡がなぜ東北に多いのか?
1)東北の縄文遺跡数
縄文遺跡の地方別遺跡数のデーターは国立奈良文化財研究所によると以下のように発表されています。
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東北の縄文遺跡数は地方別では関東について2位、遺跡数では全国の約1/4を占める414遺跡数えられています。また時代別には関東が縄文早期~中期にかけて多いのに対して東北地方は早期はやや少なく、縄文前期~晩期にかけて多くなります。とりわけ、後期から晩期にかけては全国の遺跡数との割合で言えば35%(152/429)、46%(100/216)と後の時代になるにつれて東北地方への集積が見られます。
この表から分析できるのは、縄文草創期、早期は九州から関東地方に遺跡が集積し、その後、温暖化と共に東北地方に移動していった事がわかります。
2)温暖化と植生
縄文時代は温暖化が進みますが、明確に現在の気候と同じぐらいまで気温が上昇したのは8500年前です。また、現在より2℃から3℃気温が上昇したのは7500年前以降になり、5500年前まで温暖期が続きます。上記の東北地方の遺跡数と比べ合わせると、温暖期に徐々に東北地方への定住が可能になり始め、その後東北の縄文文化が始まっていったと言われています。この2℃から3℃の温度上昇は東北地方とそれ以外の地方の植生を変え、それまでは近畿地方にまで広がっていた落葉樹林帯は東日本、それも東北と中部地方の一部に限定されていきます。
仙台湾の海水面の歴年データー
sea-level_2.jpg

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~東北大学理学部 松本研究所HPよりお借りしました。
コナラ、クリ、トチなどの落葉広葉樹林に広く覆われ、縄文海進によって平野の奥まで入り込んだ海岸線は魚介の採取にも都合がよく、さらに冷涼な気候がサケマスの生息を可能にし、食糧供給力は他地方に比べ大きな較差があった模様です。
特に東北が他地域と大きな違いがあったのがサケマス漁で、これが人口集積を可能にし、大規模な縄文集落を形成した要因であると指摘できます。
3℃の温度差とは実際どの程度か?
現在の東北地方の県庁所在地の年間平均気温は以下のようになっています。
青森10.4℃・盛岡10.2℃・秋田11.7℃・仙台12.4℃・山形11.7℃・福島13.0℃
同様に他地域を示します
東京16.3℃・千葉15.7℃・熊谷15.0℃・静岡16.5℃・名古屋15.8℃・京都15.9℃・奈良14.9℃等です。
仮に縄文時代に現在より3度温度が高かったとしたら、秋田や仙台では平均気温が15℃を超えていることになり、千葉や奈良と同程度の暖かい気候である事が想像できます。ただ、青森や岩手は3℃高くても13.5℃程度で現在の東京より3度も低い寒冷な気候ではあり、単に暖かく過ごしやすいだけで東北に人口が集積したわけではない事も言えるでしょう。
3)東北は火山の集積地
日本列島は火山が世界でも最も多く、東北地方はさらにその中でも集積している地域です。東北地方以外は九州と中部地方の一部を除いてこのような火山が連なる国土は存在しないことがわかります。
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日本の第四紀火山分布(日本火山学会)に火山フロントを加筆~山賀進氏HPにより借用
現在でも風光明媚な温泉が多数存在し東北の貴重な環境資源となっていますが、実はこの火山の分布と縄文遺跡の存在がパラレルになっている事が最近の研究で明らかになっています。火山活動やそれに伴って発生する地震や津波は都市化した現在でこそ人類の脅威になっていますが、この時代は豊かさの源として人が集まりその恩恵に興じていました。
なぜ火山に人が集まるのかわかりやすく書いているHP(ブナ林と古代史)がありましたので紹介しておきます。
太古から火山地帯は、生活する上で有利だったようだ。八ヶ岳の長野県側。縄文時代の遺跡の分布と火山の地形を良く調べると、ある傾向が見つかった。遺跡は火山の麓に集中しているのである。そして、大変理にかなったことだったという。
火山は天然の貯水池でもあったのである。火山灰土壌は雨水を吸収しやすく、溶岩の裂け目も水の通り道になる。下部へと降りた雨水は、水を通しにくい泥炭層とぶっかり、溶岩の中を通ってゆっくりと下流へと向かってゆく。それはやがて湧き水となって、裾野の地表に出る。この水こそが人々を潤したのである。水の無い場所では人は生きていけない。
火山の周りを流れる河川の流量も湧き水同様に豊富なことから、人々は火山の周辺に居を構えたと考えられる。 又、あまり語られていないが、体を癒してくれる温泉という恵みにも気付いていたかもしれない。更に、火山は土壌を豊かにしている。これは火山周辺の環境に限らず、日本全体にいえることだが、日本の火山灰の中でも特に黒みがかった火山灰土壌は、有機物が豊富で非常に肥沃だという。そのため木々や植物が良く育つというわけだ。その後の日本で畑作や稲作が栄える背景にも火山灰土壌の存在が深く関わっている。
東北に豊かな水と食糧をもたらしたのは火山の存在だったのです。(以上抜粋)
単に温暖化という気候要因だけでなく火山集積地という地域的優位性によって縄文時代の東北地方は成立していたのです。これを火山灰が作り出す黒ぼく土の分布と縄文遺跡を重ね合わせた資料がありますので紹介しておきます。
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枝村俊郎氏、熊谷樹一朗氏論文より
火山の東側に着目してください。 青森、岩手、宮城に遺跡が集積している事がわかります。この山によってもたらされた豊かさは東北人の自然観を作り出し、それぞれの山が現在でも山岳信仰、神々の山として信仰されているように、実体として恩恵を受け、崇拝していたのです。
そしてその信仰が少ないと山が怒り、火を噴き地面を揺らす。数百年の一度の自然災害もきっと縄文人にはこのように捉えられていたのだと思います。
火山の集積地である東北は鉱物資源も豊かで日本有数の琥珀の産地であり、アスファルトも古くから発見していました。また、弥生時代以降には鉄の産地として福島から宮城に製鉄技術が確立されていきます。
まとめ)
・東北は縄文時代後半期に遺跡が集中し繁栄する。
・温暖化によって落葉広葉樹林帯がナラ、クリ、トチなどの栄養価の高く採集に適した食糧を東北にもたらした。
・サケマスが漁獲できたのは東北地方の有力なタンパク源となった。
・温暖化が縄文時代に東北に人口が集積した要因だがそれだけではない。
・日本列島でも有数の火山帯が存在し、黒ぼく土が堆積した東北東沿岸部、大陸部に遺跡が集積している。

東北の縄文文化は火山地帯ー縄文温暖化ー豊かな植生、動物資源、鉱物資源によって他地域を圧倒していたのではないか当ブログの仮説
山(火山)の麓に住み、恩恵を受け、物心両面に山にあやかったのが東北であり、縄文人であった。東北の心を読み解く上でというのはキーワードになりそうです。

投稿者 tano : 2012年08月28日 List  

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コメント

http://p.booklog.jp/book/57868
上記の「古事記は出雲が書いた」中西正矢著を読んでみて下さい。
日本人は飛騨に発生し、全国を開拓し防衛し連絡網を整備し、飛騨王朝と出雲国が2大国として太古に存在しました。
奈良橿原大和は飛騨が開き、九州卑弥呼の祖先も飛騨皇統であり、津軽大和も飛騨皇統が建てました。日本の天皇は神武天皇が初代であり、彼は天照大神の子孫です。出雲神話などに騙されてはいけません。「神」など日本にはいません。
いたのは人です。原日本人です。渡来民族は少数です。多いのは九州、出雲、西日本ですが、微々たるものです。

投稿者 Misaki-1167 : 2014年8月17日 20:49

ついでに中矢氏の素晴らしい御研究成果を紹介します。
http://p.booklog.jp/book/60039/read
髙木神とは天照大神の片腕であり、飛騨の大幹部です。天照大神の息子の天忍穂耳命の妃が髙木命の娘さんです。髙木・高田・高家等の地名が日本各地に残る意味とは・・・

投稿者 Misaki-1167 : 2014年8月17日 20:55

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