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2009年02月28日

神社の起源~最初から支配目的で造られたのでは?

神社はいつ頃、何の為に、どのようにして作られたのでしょうか?
神社の起源より

①昔は大木や巨岩、山など、特異な自然物に神が宿ると考えられていた。
 →【精霊信仰】(日本においては八百万の神と称される。)

②古代の人々はそうした自然物のある神聖な場所に臨時で仮設の祭場を設けて、祈祷や祭事を行っていた。
③やがて、そこに神の住むところとして「やしろ」「みや」と呼ばれる常設の社殿が造られるようになったのが、今日まで続く神社の原形。
→もちろん、常設の社を建立するには、集団組織力が必要であり、社殿の起源は力のある豪族や氏族などが自分たちの氏神【守護神信仰】を祀るために造ったと考えられる。したがって、最も力のあった天皇の社として、(伊勢)神宮が最初期に社殿を整えたのは当然のことと言える

④その後、天皇をはじめ、力のある豪族らが自分たちの支配力を高めるため?に、各地で神社の社殿を整えていった。

今日は、社殿の起源と考えられる弥生初期の遺跡から紹介します。
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■神社社殿の起源は、弥生初期環濠集落の高殿か?
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これは、紀元前2世紀に福岡市西区早良平野にあった吉武高木遺跡の高殿の再現図です。
こちらからお借りしました。
まるで神社そっくりです。
「王権誕生」(寺澤薫著)によると、以下のように述べています。
・吉武高木墳丘墓から50メートル離れた位置にある。(ほぼ中心部)
・後の王が墳丘墓に葬られた前王一族の祖霊を祀ることで、祖霊が共同体
 に安泰と発展をもたらしてくれることを期待した。
・共同体の諸々のマツリゴトをも執行する場であったに違いない。
・近畿地方の方形周溝墓のように直系家族の系譜を明確にするというレベ
 ルでの祖霊崇拝にはとどまらない。
・「早良」国では、王が主宰する祖霊のマツリが、国をあげていち早く執り
 行われたのだ。
・中期後半になると北九州以外でも、環壕集落の内区のなかに特定の方形
 区画を設けて、巨大な高殿を建てた例が頻繁に見つかっている。
・大阪府池上・曽根遺跡の高殿は、約70~80年間で同じ場所に三度の建
 替えをしているから、20年ごとに建替えられた計算になる。まるで伊勢神
 宮の遷宮のようだ。

■高殿の起源は、長江流域の高床式住居か?
 あくまで復元図からの類推ですが、これとそっくりな様式は長江上流の雲
 南省出自アカ族の住居に見られます。
高床式住居               屋根の千木(神社と同じ) 
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屋根の千木などは神社様式と全く同じですね。鳥除けのためと言われています。このような住居は雲南省などに見られるものです。
■祖霊信仰はどこから?
 こちらも起源は中国です。
・Hiroshiさんの「中国、母系→父系制への転換期①: BC3000年の竜山文化は既に父系制・身分制へ」 では、
西洋の遊牧父系制が、守護神信仰(後に一神教へ)に収束していったのに対して、東洋の父系制は竜山文化に見られるように、祖霊崇拝によって自部族の結束を強め(後に→儒教へ)に収束していったという違いがあり、その起源に違いがありそうです。ただどちらも遊牧部族が関与しているということは共通のようです。
・bunchanの「弥生時代に持ち込まれた祖霊信仰」では、
新しい支配原理となった祖霊信仰
こうした「祖霊」に対する信仰が階層分化に伴って首長制と結びつき、新たな支配原理として発展していったと考えられることです。首長霊を祖霊として祀り、特別な聖性を付加することで、その霊力を背景とした支配者の支配の正統性や力の保持がはかられていったと考えられます。

龍爪山雑記さんより引用すると、
日本列島へ渡来した南方系の民族は、遠い先祖の霊を慰めて、高い山の上、或いは岬の先端等に於いて、火を焚く風習があった。祖霊とは文字通り祖先の霊である。いつも人々の心のよりどころであった。遠く離れて来た故郷(常世の国)の先祖の霊である。
この祖霊は古事記の出雲神話に出てくる、「帰り来る神」であった。海上を舟に乗ってやってくる神であり、国つ神の大己貴命・少彦名命の神である。この国つ神は、北方的なイメージを持つ天孫降臨の天つ神に先だって、「葦原の中つ国」の国作りをした。二神は力を合せて国土経営に力を尽された。
この大己貴・少彦名の二神は農業神であり、更に想像を逞しくすれば、この神は弥生時代の初期に南方部族を引きつれて、日本へ渡来した偉大な指導者であったかも知れない。この英雄は久しい以前に死んだが、いつの間にか神と崇められて、常に人々の心のささえとなった。即ち弥生時代の人々の心に「帰り来る神」であったのである。

■まとめると、
・祖霊信仰は北方騎馬民族発。
 BC3000年 竜山文化の頃の父系転換に伴い、集団統合観念としてより強固になる。
 その後、中国各地の文化~王朝へと受け継がれていく。

・祖霊信仰と、神社に似た生活様式を併せ持っていた民族は長江流域に見られる。(倭人)
・倭人は海を渡り(あるいは朝鮮半島経由で)渡来し、稲作、祖霊信仰、神社様式などを持ち込む。
 後に彼らの祖は「国つ神」と、神と呼ばれる存在となっている。

・倭人が到着した北九州では、環壕集落や墳丘墓などの統合様式でもって小国を形成し、王として君臨。中心部には祭祀の場としての祭殿を建てた形跡が見られる。
・そこでの支配を正当化するために、祖霊信仰が新たな支配原理として発展しており、その象徴が統合中心として建てられた高殿ではないか。
・古墳の上や近くに神社(社殿)が建てられた事例は多く、後の豪族たちは支配の場として神社を建てていったものと思われる。そこでは、古代からの精霊信仰を下敷きにした祖霊信仰(~首長霊信仰)を統合観念としている。
・その後の奈良時代頃には、祖霊は支配に都合の良い神話の神様(祭神)へと、姿を変えている。
日本における神社とは、最初から支配の象徴としての役割で建てられたのではなかったか。
 (by eto)

投稿者 nishipa : 2009年02月28日 List  

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コメント

>いったい、人類はどこで道を誤ったのか?人類は今、自らが築いてきた全文明の見直しを迫られている。
サブタイトルにあるように、我々の知ってること、常識と
されていることは、これからもどんどん覆されていくんでしょうか。そもそもビックバン理論自体不確かであいまいで
あやしいものとされてるようでから、私達は何一つ知らぬまま
生き、死んでゆくのでしょうか。
誰も正確には夢と現実の区別はつかないんですと
ある脳科学者がいっていたと記憶してますが、
自分以外の他人は本当に存在しているのか?脳が生み出した
幻か?いや、そもそも自分なるものは存在しているのか?
歴史が覆される毎に、こんなことを考えてしまいます。

投稿者 スバール : 2009年4月6日 22:12

関東平野の、特異性として、長き縄文時代に、富士山、浅間山の、噴火が、地層にみられます。
この記憶を、受け継いできた縄文人には、ことさらに、自然に対して、祟る神としての、畏敬がつよかったのではないでしょうか。
天候に左右される稲作が、天津神信仰であるのにたいして、大噴火であれば、一夜にして、灰にうずもれてしまう、畏れる大地の神、国津神をうけついできた、その精神性のふかさがあるかもしれません。
火山活動の、休止が長引いて、その記憶が薄れてくるまでの時間というものも、かんがえられます。
単に、稲作技術の伝播や、それを携えた人々の移住だけではないのではないでしょうか。
自然に対する考え方という点では、今現在の環境問題にも通じるものがあるような気がします。

投稿者 孝彦 : 2009年4月8日 07:48

スバールさん
コメント有難うございます(返信コメント遅くなって申し訳ありません)
>自分以外の他人は本当に存在しているのか?脳が生み出した
幻か?いや、そもそも自分なるものは存在しているのか?<
かのデカルトが方法序説の中で同じような発問をしていたかと記憶していますが、今ある目の前の現実も結局夢ではないのかという設問をする限り、永遠にこの解答は出ないように思いますね。(無限大のたまねぎの皮をむいて行く作業になってしまう)
むしろ精神と肉体の二元論を超えて、歴史と現実のありのままを探求することが大事だと思います。
この「縄文ブログ」も通説や観念的な思い込みを廃しつつ、事実を積み重ねる作業を通して、日本人の起源に迫ろうという試みと理解しています。
これからも一緒に「事実」の探求をして行けるといいですね。

投稿者 ryujin : 2009年5月14日 20:34

神社の起源・・・祖霊信仰との関係、支配者がそれを利用して神社を建てて支配に利用した?
日本人の起源・・国津神と天津神・・・
なるほど、目が洗われるような論理ですね。神社の始原、ルーツの捉え方、いいヒントになりました。

投稿者 根保孝栄・石塚邦男 : 2015年3月5日 00:20

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