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2012年03月12日

シリーズ「日本と中国は次代で共働できるのか?12」~経済破局後、国家の束縛から解かれた地方都市と中国人特有の集団性にこそ可能性がある~

 
シリーズ「日本と中国は次代で共働できるのか?」の第12回目は、ついに『現代編』です。これまでの歴史分析を活かしながら、中国の現状分析、そして未来を予測していきたいと思います。これらを展開するには、経済分析が不可欠であり、今回はそこに踏み込む必要があります 。経済分析という慣れない分野ではありますが、縄文ブログなりに歴史分析を交えながら進めていければと思っています
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    上海       万里の長城      中国の田園風景
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●現状の中国経済~「経済成長」「経済繁栄」の裏で着実に進む破綻への道~
 まず、中国経済について教科書的に言われていることは、主に
飛びぬけて高い成長率を保持している
今後10年間では世界で最も経済発展する国と言われている
安価な労働力を武器に輸出産業を伸ばし、「世界の工場」と言われている
等で、「2030年には、人民元が世界の基軸通貨になり、米ドルと地位を交替する」とまでメディアは囃したてています。確かに、外貨準備高世界一、自動車生産、粗鋼生産、インターネットと携帯電話普及台数世界一と、納得できる現実の数字も持ち合わせています。
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   1990年        1996年        2010年
 しかし、この明るい側面の一方で、中国は経済破局への道程を着実に歩んでいます。
 2005年6月、中国政府は人民元の切り上げに踏み切りました。アメリカなど輸出先の国々から「中国製品が安価なのは不当な為替相場=元が安すぎるからだ」という、強烈な圧力が掛かりつづけていたからです。今後は徐々に元高の為替レートに向かっていくことになり、中国の経済成長は鈍化していくことが予測されます。
 そうなった時に問題になるのが、雇用問題です。中国では8%以上の成長がないと失業率が増加すると言われています。元高を抑えて高成長を続けることは、社会不安を抑えるためにも不可欠だと政府は考え、これまで必死に為替介入をして、人民元の為替レートを固定し、元高=ドル安相場を阻止してきました。しかし、その結果、大量の紙幣が発行され、いまや通貨供給量はGDPの2倍にまで膨らんでいると言われています。
 2010年現在、中国のGDPに占める輸出の割合は約4割を占めています。一方でGDPに占める個人消費の割合は35%程度と言われており、アメリカ7割、日本6割、そしてブラジルでも約6割、インドでも5割はあることを考えれば、中国の個人消費が際だって少ないことが分かります。
 このことから言えることは、大量の通貨量は独占型の国営企業にのみに回され(しかも国営企業は金があるのに消費せず国庫に入れている)、民間企業にはほとんど回っていないということです。つまり、国営企業、言い換えれば共産党員のみが潤うのが中国経済の実態であり、金持ちほど豊かになり、貧しい人ほど貧しくなるという構造になっているのです。
 
 さらに、市場に投入された大量の紙幣は、そのはけ口として住宅などの不動産投機に向かい、2010年春にかけて、不動産価格は急騰し、一部の大都市ではわずか2年で、2倍近い値段に跳ね上がったところもありました。そこで、政府は不動産バブルを抑制するため、今度は逆に、’10年秋頃から金融引き締め策を取ったわけですが、それが原因で、今度は余ったお金が農産物や資源などの投機に向かい、食品や生活必需品の価格上昇を招き、現在極めて深刻なインフレに直面しているのです。
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 中国のGDPの根幹を支えてきた不動産バブルの崩壊は投資家の暴動を引き起こし、不動産バブルと縁のない庶民は、インフレで生活が苦しくなるばかり、というのが現中国の経済状況なのです。
 こうした状況のなか、さらに追い討ちを掛けたのが欧州危機です。最大の輸出先である欧州の経済危機は、中国の経済成長にとって大きなブレーキとなり、それは国内の雇用問題に直結していくのです。
●腐敗しきった共産党政権、爆発寸前の大衆の怒り
 中国経済とは、資本主義でも市場主義でもなく、国家統制国有企業優先メカニズムだけが機能する経済であり、言うなれば「共産党主義経済」と言えます。GDPの6割を占める国有企業はすべて共産党幹部がトップにいて経営方針を握っており、競争相手が存在しないが故に、放漫経営となり、汚職がはびこっています。
 このような政府の腐敗ぶりに民衆の怒りは噴出し、各地でストライキ、抗議集会、デモ、暴動が頻発しています。2011年7月の新幹線事故における鉄道部に対しての激越なる批判は、実は民衆の政府批判のはけ口だったのです。昨今、盛んに日本メディアが取り上げる反日運動もその内の一つです。
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●中国経済の正体とは・・・
 
 ここまで書いてきたとおり、中国経済の発展とは、安い労働力を使って(=民衆を犠牲にして)、ひたすら共産党員だけを儲けさせた結果であり、共産党による共産党のための経済成長だと言えます。それは、経済発展と共産党独裁、中国軍の覇権力の維持発展が一連のものになっている証でもあります。
 しかし、その成長も共産党の斜陽と同時に早晩、低迷していくことは明らかでしょう。実態は各地の摩天楼は空き家がおびただしく、自慢の新幹線は事故ばかり、貧富の差はますます拡大し、富裕層を恨む貧困層が各地で暴動を起しているのです。また購買力の基盤になっており、最大の輸出国アメリカの消費力はドル暴落を皮切りに低迷していくでしょう。ただ、結果的に中国経済をここまで発展させ、対岸の西側諸国から見て評価できるとしたら、世界を牛耳る金貸しの支配の中に中国だけはどうやら入っていないという事実です。だからこそ、為替を自国でコントロールし、国内で輪転機を回すだけで大量の元を供給する事ができたのです。しかし言い換えれば金貸しが共産党になっただけであり、庶民にとっては厳しい取立て、翳みを食べて生きているような状態は、むしろ金貸し支配のそれよりもひどいことなっているかもしれません。
 共産党主導で行なわれた爆発的な中国の経済成長は、共産党という軸が失われると同時に、混乱と破局を迎えることになると思われます。
●歴史は繰り返される?
 本シリーズのプロローグでも記事にしたとおり、中国の歴史は反乱復興の繰り返しでした。一つの王朝が腐敗するとき、必ず農民による大規模な反乱が起き、王朝は転覆します。しかし驚くべきは、その復興の早さです。わずか十数年、長くても2、30年の間に、数百万平方キロメートルの版図と数千万の人口を持つ統一された封建大国が、奇跡のように再建されるのです。この爆発的な復元力の正体は一体なんなのでしょうか。それは、シリーズ10回目の記事で取り上げた、中国人の集団性にあるのではないかと考えます。幇という特殊な集団を紐帯として、集団で生きることを選んだ中国人の特性が、分裂・解体を抑止する結合メカニズムとして働き、新しい中央集権国家が早期に誕生するのだと考えられないでしょうか。
 これまでの歴史では、新たに創建された王朝の社会構造はほとんど旧王朝の複製でした。現在の中国共産党体制も農民反乱の上に打ち立てられた封建官僚制の延長だとすれば、共産党政権崩壊後の中国社会もまた、似たり寄ったりの独裁政権が誕生することになります。
 共産党崩壊後の姿として考えられる可能性はもう一つあります。それは、中国がいくつかの地域に分裂する可能性です。
 次の章で詳しく書きますが、歴史上何度も繰返された中国の分裂は今回も避けられないのではないかと思います。そして過去は分裂しても直ぐに次の外圧(侵略圧力)に呼応する為に自然と大国が再構築維持されてきましたが、今回の分裂は世界の経済破局と同時進行になる可能性があり、侵略圧力よりしばらくはそれぞれの国が自身の事で手一杯になると思われます。
 中国も同様で、内戦、内紛から独立国家が誕生し、いくつかの小国に分裂することが予測されます。そしてそれぞれの独立国は周辺国との連携を模索しながら自主管理の道を探していくでしょう。
●地方都市の台頭にみる新たな可能性の萌芽
 2011年8月、遼寧省の玄関である大連において、中国共産党始まって以来の珍事が発生しました。大連における抗議集会で地元の共産党トップがデモ隊の要求を呑むという異常事態が出来したのです。その後、2010年10月に湖州で起きた「ミシン税」に対する争乱でも、湖州税務当局が猛烈な抗議に屈し、「ミシン税」を撤回しました。
 これらの現象は、これまで圧倒的な独裁権力で民衆を封じ込めてきた中国共産党も、経済発展で豊かさが実現されるにつれて、序列原理一辺倒では、社会を統合できなくなっていった証ではないでしょうか。
 また、中国の改革・開放期以降、地方分権により、地方の権限がかなり強化されました。これによって地方の自律性が高まっています。今後、共産党の統合力が弱まるにつれて、地方都市の独立性が高まってくると考えられます。
 過去一貫して中国は、中央集権国家による序列原理で社会を統合してきました。それが可能だったのは、常に外圧として飢餓の圧力が働いていたからであり、さらに中国の地理的要因により、周囲の遊牧部族たちから侵略圧力を受けてきたからです。だからこそ、中国は大きく一つにまとまる必要があったのです。
 しかし、今や、周辺諸国からの侵略圧力は中国が思っているほど強くはなく、一つにまとまる必要性はありません。中国共産党崩壊後、独立性を強めた地方都市がそのまま独立することは十分に考えられます。
 そして、中国経済の発展の正体がたとえバブルで見せかけの経済発展だったとしても、徐々に貧困=飢餓の苦しみから解放され、これまでの長い歴史の中で、常に掛かり続けていた私権の強制圧力が衰弱してきたことは事実です。(都市部に限定されますが・・・)
 中国人を長年拘束してきた、私権の強制圧力が衰弱し、その呪縛から解き放たれた時、中国人は本来の農耕民としての勤勉性を取り戻す可能性があります。元々幇に見られるように集団性に長けた中国人です。その集団性を私権獲得とは別の課題に使い始めた時、初めて中国の新しい歴史、可能性が見えてくると思います。その可能性はきっと日本と繋がる南側の地域(長江以南)にあるように思います。
 日本と中国が協働できる可能性の糸口は、地方都市の独立と中国特有の集団性の2点であると最後にまとめておきたいと思います。
(カッピカピ)
参考図書:『2012年、中国の真実』宮崎正弘著
参考サイト:東アジアの地方自治・試論
      中国 底なしのインフレ――原因は過度な紙幣発行      
      BRICs辞典
※記事内の画像は、「あじさい文庫だより」「中国・上海の驚くべき発展」よりお借りしました。

投稿者 hi-ro : 2012年03月12日 List  

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コメント

弥生時代って、私たちが暗記したものより早くなるんですね^_^;))
なんてこったぁ~=33

投稿者 ちゃんちー : 2012年12月31日 13:35

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