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2012年04月03日

シリーズ「日本と中国は次代で共働できるか?」14~中国の軍事力は脅威か?その2

シリーズ「日本と中国は次代で共同できるか?」14~中国の軍事力は脅威か?その1
の続きです。
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■中国の軍事力とは
厳密にいえば、中国の武装力量は、「中国人民解放軍」、「中国人民武装警察部隊」、「民兵・予備役」の3つで構成される。中核はいうまでもなく人民解放軍であり、普通中国の軍事力といえば人民解放軍を指す。
解放軍の総兵力は約220万人。国防予算は約7兆円。リーマンショックの2010年の9.8%を例外として、1989年以後、ほぼ一貫して前年比10%以上の増加率を維持し、急速に近代化し伸張してきた。
武装警察部隊は約66万人、主力の基幹民兵が約800万人、予備役が51万人である。
1989年天安門事件では人民解放軍の陸軍の正規部隊が動員され、民主活動家の鎮圧に当たり、人民を多数殺傷した。人民の軍隊が人民を殺したということで、国内的にも国際的にも非難が高まり、中国首脳部はその反発が人民解放軍全体に及ぶことを恐れ、国内の暴動や反乱への対処は人民武装警察に、その一切を委ねることを決め武装警察を増強した。しかし、この武装警察も組織的には人民解放軍の一部である。

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●陸軍
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人民解放軍の中で最大の組織は依然として陸軍である。
兵力約160万人。戦車約7550両で、7つの軍区に分かれている。
中国陸軍は1999年ごろ新しい「戦争遂行ドクトリン(外交原則)」を打ち出し、従来の「人民戦争」と「積極防衛」という概念を強調した。戦略には従来の大量の兵役投入を基礎とする「人民戦争」も決して排除していないが、新しく「暗殺者の鎚矛」「作戦の情報化」「戦力の機甲化」も強調されるようになった。
「暗殺の鎚矛」とは「非対象戦争」とも呼ばれ、正面からの戦闘では勝ち目の無い相手に対し、側面や後方からの奇襲攻撃などの手段で勝つこと目指す作戦を指し、ハッカー攻撃や人工衛星破壊兵器などの開発も一体的に行うことをいう。
●空軍
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空軍は作戦機約1950機。そのうち第四世代と呼ばれる最新型の戦闘機が600機以上ある。
2011年には、第五世代ステルス戦闘機J-20が初飛行に成功したと報道されたが、その真偽は定かではない。
●海軍
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海軍は総兵力約26万人。艦艇約950隻で、うち駆逐艦・フリーゲート艦約75隻、潜水艦約60隻。
1998年ウクライナから購入した6万7千トンの空母ワイヤリーグを大改造したほか、空母の自前での建造にも着手して、今後10年間に1隻から6隻の配備を意図している。
海上作戦用の攻撃機やヘリも90年代には存在しなかったが、今は合計180機を数える。
●ミサイル部隊
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第二砲兵約10万人を有す。
準中距離弾道ミサイルは射程1750km。保有総数は約90基。日本全土、東南アジアとインドの大部分、中央アジアとロシア東部に所在する標的に撃ち込む能力を持っている。
誘導機能を発揮する巡航ミサイルは10年前には全く無かったが、今は約500基有する。
台湾に軍事を起こすことを想定し、太平洋に存在する米軍基地をたたくことを目的に急激に整備された。現在ではアメリカをもしのぎ、世界一のミサイル保有国となっている。
●核兵器
アメリカ国防総省の発表では、中国の核弾道ミサイルの保有台数は約400発と推定している。アメリカの保有が5100発だからそれに比べると少ないが、ロサンゼルスも射程に納まっているという。
■中国の軍拡の意図は?
中国の海軍、空軍、そして宇宙軍のパワーの増強は、すべて自国をアジア地域で支配的な軍事大国にするという中国共産党の目標に沿っている。中国は究極的にはアメリカよりも優位に立つ軍事パワーになることを目指している。
アジア諸国をまず手始めに、やがては全世界に対し、主導権、支配権を発揮することが歴史的な大目標だといえる。アメリカが主導してきた国際秩序を根底から変革したいと中国指導部は考えている。
■人民解放軍の実力は?
ここ10年、急速に軍拡を進めてきた人民解放軍であるが、その実力の程はどの程度のものなのか?
古来中国は巧みな外交力により、対外戦争を回避し続けてきた。さらに、近代化戦争の体験も一度もない。今でこそ一般の国民も自動車を手に入れることができるようになってきたが、中国がWTOに加盟する5年ほど前までは庶民は自動車の運転さえしたことがなく、そういった人がいきなり軍隊に入っても、近代化された高度な兵器を操れるようになるためには、基礎から相当な訓練をつまねばならない。
兵器も数はそろっているが、元々は工業の遅れから兵器そのものも中古のかき集めである。空母ワイヤリーグも購入時には6ノットしか速度が出ず、到底実践で使い物になる代物ではなかった。
こうした事実を鑑みると、人口が多い分、確かに戦力は強大であるが、その実力に対しては疑問をもたざるをえない。
アメリカの人民解放軍研究員は、仮に中国との海空軍の戦争が現実のものとなったとしても、人民解放軍はアメリカ軍の前に赤子をひねるように壊滅されるであろうと分析している。
それほど人民解放軍は弱いのである
日本の軍事力を必要以上に警戒する理由もそこにある。
■破局という世界的混乱時、人民解放軍はどう出るか?
現時点では世界が経済破局という混乱期に入ったとしても、人民解放軍は侵略に打って出ることは、中国の軍事力の脆弱さをさらけ出すことにしかならず、逆に侵略を受ける恐れすらあることから、まず、ありえないであろう。
それどころか中国は元々多民族国家であり、国民自身にアキレスケンを抱えている国家である。
強力な家父長制度により女性の地位が低く、一人っ子政策によりいびつな人口構成となっており、4人に一人の男性が結婚できずにあふれる計算となる。
こうした安定と充足基盤を持たないあぶれものが相当数の人口比をしめるようになると、いかに中国共産党の力が強大といえどの、国内の混乱を封じ込めるのは困難であると予測される。
そうなると、国内の民族運動が活発化し、自治区ごとの独立運動が発生することも予想できる。
そこで、人民解放軍がどう動くかが最大の焦点となる。
この軍隊は冒頭でも述べた通り、元々の出自が国防軍ではなく革命軍であり、バンの絆を紐帯とした地方軍閥の色彩も濃厚に残していることから、地方の独立の動きが活発化し、共産党の勢力が極端に低下すれば、中央の意向は行き届かなくなり、地方の防衛軍として機能していくこともあるかもしれない。
■まとめ
①中国は抑止力としての軍事力は保有しているが、過去の歴史を振り返ってみても、対外戦争を行ったことはなく、侵略戦争を自ら起こす可能性は極めて低いと考えられる。
②近代化戦争の経験がなく、兵力の割りには戦闘力は未熟であり、そう強いとは思えない。
③突出した軍事力を持つアメリカの存在があるため、現在、到底勝ち目のない軍事力増強をあえて行っている国は中国以外には見当たらないが、経済破局によりアメリカという国家が崩壊したら、中国にとって日本の軍事力は脅威となり、核の有無を度外視すれば、日本と中国は対等な力のバランスを保つことになる。
④福島第一原発事故の影響も少なからずあるであろうが、核を拒絶する世界共認は相当高まっており、今後核廃絶の動きが加速する可能性に少し期待する。
⑤アメリカを除けば、あえて侵略戦争に打ってでる国は世界共認が許さないだろう。そうなれば、軍事パワーに頼らない新しい世界秩序が誕生し、国間の共同関係が形成される可能性が広がるかもしれない。

投稿者 tiwawa : 2012年04月03日 List  

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