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2012年09月03日

始原の言語・日本語の可能性~むすび

「始原の言語・日本語の可能性」シリーズも今回で最終回になります。
全編 黒川伊保子氏の著書「日本語はなぜ美しいのか」~集英社新書 から紹介させていただきました。私たちは今回6名でこの著書を輪読し、特に心に響いた箇所をできるかぎり本編に忠実に転載させていただいたのですが、どこを切ってもじっくり味わいのある箇所ばかりで、黒川伊保子さんには大いに感謝しております。
untitled.bmp 2006_0704_144104.jpg
黒川伊保子さんのいきいきしたインタビュー風景です。~こちらよりお借りしました。
当ブログは日本人の心の原点である縄文時代を中心に記事をつくり、発信していますが、著者が捉えている日本人、日本語、日本は実にしっくりくる内容の連続でした。縄文人が豊かな自然に同化し、その恵みを得る中で感性が作られてきたその歴史のまま、日本語の成り立ちも形成も伺うことができます。黒川氏は豊かな潜在思念でそれらを捉え、既成観念や近代思想の壁をわけなく突破し、自由に伸びやかに書かれたこの著書は、言語学という域に捉われない珠玉の一冊だと思いました。
最後に本編の各記事のエキス(抜粋)を紹介させていただきます。詳しくはクリックして記事を読んでみてください。

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始原の言語・日本語と、日本語に見る言語の本質・起源 プロローグ
日本語を含めて「言語」には、共認機能や観念機能の構造との密接な関係があるはずで、これを追求することには、大きな可能性があると思われる。
発音体感と対象(実態)の一致は、日本語に顕著であり、日本語こそが「始原の言語」、太古よりこの土地で育まれた言語であると述べられている。
(1)日本の爽やかな朝(アサ)と英国の穏やかな朝(morning)~
その国の風土と人々の意識とによって、長く培われてきたことばが、母国語である。中でも、一つの土地において、似た骨格をもつ民族が、同じ生活習慣を重ねながら作り上げてきた母国語は、風土と意識と、身体感覚と、ことばとがしっかり結びついているので、ことばに込められた情感が深い。
(2)実体と発音が一致している美しい日本語
ことばは音韻(ことばと音の最小単位)の並びであり、その発音体感が潜在脳にしっかりとことばの象を作り上げる。コロコロ、ソロソロ、ツルツル・・Kは固体、Sは空気、Tは液体。これらの法則は発音体感によって生じたものである。
私たちはこうして、事象に似た発音体感を味わいながら、ことばをしゃべっているのである。大きなものには大きな発音体感を、硬いものには硬い発音体感を、スピード感のあるものにはスピード感のある発音体感を、優しいものには優しい発音体感を・・・・そうして名を呼ぶ者は、名のもち主と響き合うのだ。
(3)2重母音が作り出すやわらぎの意識
クヨクヨ、フワフワ、ソワソワ・・・ヤ行とワ行、この2重母音の行は他の子音群にはない特徴を示している。単純なひとつの感情だけでなく重層した微妙なニュアンスの表現を求める日本人を現す特徴的な言語のひとつかもしれない。
(4)実体(対象)と発音体感の一致
サラリ、ヒラリ、ニコニコ、ホカホカ・・・ラ行(R)は哲学の響き、ナ行(N)は抱擁の感覚、ハ行(H)は熱さをあらわす。日本語にはその関係が、擬音語・擬態語などに特に特徴的に見られるように、鮮明に豊かに存在する(残存している)ことが分かる。
(5)母音が作り出す感性
母音は息を制動せずに、声帯振動だけで出す、自然体の発生音である。
自然体で発生される母音は、音響波形的にも自然の音に似ている。
自然体で素朴、ドメスティック(私的、内的、家庭的)な印象があり、ふと心を開かせる音。これが、母音の感性的な特徴になる。
(6)母音の感性が生む心開く会話
部下や子供、異性と接するとき、相手の本音を聞きたいと思ったら、母音のあいづちはよく効くので、覚えておくといいと思う。さらに、「おはよう」「お疲れさま」「ありがとう」など、母音の挨拶を心がけると、ぎすぎすした職場に連帯感が生まれる。
(7)~相手と融合する母音語と境界線を作る子音語~
潜在意識で母音骨格をつかむ私たち日本人は、話しているうちに、意識レベルで相手と融合してしまう。意味的な合意を得られなくても、一定時間話し合えば、なんとなくわかり合えた気になる。日本語はそういう特性の言語なのである。「話せばわかる」とは、いかにも日本人らしい名言だと思う。
一方、相手の音声の中から、機械音に近い、威嚇効果のある子音だけをつかみとる人たちは、話しているうちに、相手との境界線がしっかり見えてくる。この境界線を越えるための権利と義務について話し合わなければ・・・・・彼らの潜在意識は、そんな風に感じているはずだ。
(8)~自然と同化する母音語人~
母音語の使い手は、自然とも融和する。
母音を言語脳で聴き取り、身体感覚に結び付けている日本人は、母音と音響波形の似ている自然音もまた言語脳で聴き取っている。いわば自然は、私たちの脳に”語りかけて”くるのである。
(9)~環境は言語を作り、言語は人を作る~
何千年も続く、豊かな自然が、私たちに、融和する母音語をもたらした。
一方で、融和して共存する日本人の特性は、日本語という母音言語がもたらしているとも考えられる。なぜなら、DNA上日本人とまったく無関係でも、日本語を母語として育つと、母音を左脳で聞くようになることが確認されているからだ。環境は言語を作り、言語は人を作るのである。
(10)~早期英語教育は危険!?~
母国語は、自然に耳に入るから、放っておけば自然にしゃべれるようになると思っている親がごまんといるが、それは違う。脳が最初に出会う母語は、母親(主たる保育者)と触れ合いながら口頭で伝えられて、初めて脳に刻み込まれる。
そういう意味で3歳以下のまだ母語が定着していない時期での早期英語教育は極めて危険である。
(11)~共認時代には日本語が相応しい~
母音語を母語としている国は日本の他にはポリネシア地域の一部にしかいない。唯一日本に到達した一派だけが母音語を温存させた。それは日本列島が他の地域にない特徴(争いがない、温暖で豊かな自然)を有していたからであり・・・。
子音言語に比べ圧倒的に長い歴史を持つのが母音言語で、その原型を現在まで引き継いでいるのが日本語と言えるかもしれない。自然に同化し、調和する日本語とはこれからの共認時代に相応しい、時を得た言語なのではないだろうか。

投稿者 tano : 2012年09月03日 List  

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コメント

 単なる伝染病の侵入&麻薬の持ち込み防止の「定」。「邪気」とは伝染病。「邪法」とはアヘンによる治療法。すなわち「邪法」

投稿者 tsubaki : 2013年11月2日 15:11

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