2015.03.12

再考「扇」~第2回 古代信仰の謎を解く鍵

この白井忠俊様の書いた随筆”再考「扇」”は扇という日本固有の道具から縄文由来の歴史さらにその背後にある本質を明らかにしようとする試みです。第1回では扇とは樹木の葉を表したものであり、その樹木とは古来からある神木ではないかという仮説まで紹介しました。第2回はさらにその樹木とは何か、樹木で何を具体的に表現したのかを追求していきます。
縄文人は森の文化であり、樹木とは切っても切れない関係です。樹木に神が宿り、その神を身近なものとして身につける道具が扇だったのではないでしょうか?第2回では吉野民俗学の根幹にある「性」が登場します。古代人(縄文人)は性を神に近い領域で神秘的なもの、重要な事として捉えていました。

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2015.03.05

再考「扇」~第1回 扇(=ビロウ)とは何か?

地域再生を歴史に学ぶ(全11回)のシリーズが先日、無事完稿しました。まだまだ追求すべきテーマは多岐に渡り、後ろ髪が引かれつつ、次のテーマに移行していきたいと思います。さて、今回は改めて縄文に舞い戻っていきたいと思います。

以前(2011年11月)このブログで紹介させていただいた白井忠俊様から先日、新作ができたとの事でメールをいただきました。前回の「ツタ考」に続く“「再考」扇“です。前回のツタ考では縄文土器の縄模様は蔓であり交わる蛇の表現である、そして日本語のツタエルとは繋がる事であり、循環や円環といった縄文人の信仰、思想につながっていく事を紹介しました。仮説を立て、多彩な観点から熟考を重ね、非常に奥の深い論文だった事を記憶しています。
⇒ツタ考1~4http://web.joumon.jp.net/blog/2011/11/1340.html

今回その白井さんから3年ぶりに寄稿いただいたのです。新しいシリーズはこの白井さんの扇をテーマにした追求をたっぷり7回かけて紹介していきたいと思います。

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2015.03.03

大共同体「東南アジア」を支えるシステム~BRICsに並ぶ安定成長有望株、唯一でない「唯一神」の国インドネシア

■中国、インドに続いて経済が安定、堅調なインドネシア

過去10年余りインドネシアは、暴動、紛争、自爆テロ、地震・津波など非常に混乱した社会状況にありました。しかし、近年安定を取り戻しつつあります。そして、中国、インドに次ぐアジアの第3の新興経済大国として頭角を現しつつあります。

2009年世界経済はアメリカ金融危機に発した同時不況で戦後最悪のマイナス成長に落ち込みました。その中で世界経済のけん引役となったのは中国とインドでした。そしてその2国に続く堅調ぶりを示したのがインドネシアでした。

市場関係者はいち早くインドネシアの有望性を発見し、モルガンスタンレーは「BRICsにもう一つIを加えるかと題したレポートを発表し、中国、インド、インドネシアがこれから成長が見込めるというメッセージを発信しました。これらのレポートに共通するのは、世界第4位の人口規模をインドネシアのアピールポイントと見ている点です。imagesJ8P4XD8A

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2015.02.26

地域再生を歴史に学ぶ~最終回 ノートとして

地域再生を歴史に学ぶとして第1階~9回まで続けてきましたが、最終回はこのシリーズで佳作となった記事を対象に10行程度の短文にまとめて紹介します。このテーマを考えていくノートとして読んでいただければ幸いです。

地域再生とはお上(中央)のチェック機構として必要不可欠であり、自治の本質とは一人ひとりが社会の当事者として組織を運営していく事だと思います。そしてその因子は縄文1万年間の間に私たちのDNAに刻印されており、有事の現在、まさに縄文、惣村で築いていった自治の精神が再生する絶好の機会なのではないでしょうか。そして地域や自治の本質はそれらを繋ぐ広域ネットワークにあるという事も今回学んだポイントでした。私たちがこれから地域論を考える際に忘れてはならないのが、いかに”繋がる”かという行動方針だと思います。

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2015.02.24

大共同体「東南アジア」を支えるシステム~穏やかな民族性の中に(海洋探索→)闘争の遺伝子を伝えるO1系統民族(フィリピン、マレーシア)

●米軍基地を追い出したフィリピン

今回シリーズでまだ登場していなかったフィリピンから始めます。次に登場するマレーシアと合わせて、意外な共通の民族的的気質を持っていると感じます。

フィリピンの民族性は、あまりに日本人知られていませんが、やはり漠然と南国の穏やかの気質と考えられているでしょうか。歴史の中で、世界1周を目指したスペインのマゼランがフィリピンで戦死した話、かつては首狩族がいたという、少し怖い話などもありますが、それは随分前の話だろうといった感じでしょうか。

ただ、やはり、現代につながる攻撃的、闘争的な気質もやはり持っているようです。フィリピンは反米感情が非常に強く(19世紀末からアメリカの植民地だった)1991年に米軍基地を追いだすことに成功しています。日本で米軍基地を実際追い出すことをイメージして見れば、フィリピンでの反米感情に強さを推し量ることができます。(もちろん、お金がかかる、火山の噴火があって大変だったとかいった要因はあったようだが)。穏やかな南方民族というのは、少し違うなという感じがしますがどうでしょう。

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2015.02.19

地域再生を歴史に学ぶ~第9回 廃藩置県は何を変えたか

前回は江戸時代を扱いました。江戸時代はお上と大衆、政治と生活が実にバランスよくかみあった、地域社会にとっては物心ともに豊かな時代でした。日本人の縄文資質を見抜いた徳川の眼力の賜物とも言えますが、弥生時代以降では縄文資質が開花した最初の時代でもあったとも言えます。今回はその江戸社会が市場化、近代化という世界的潮流に飲まれて変化せざるを得なくなった明治以降を扱っていきます。

さまざまな制度、序列、日本人の意識が転換し始めるのですが、最もそれを象徴したのが廃藩置県だったと見ています。この廃藩置県を知る事で時の為政者の意図、それに飲み込まれた武士や大衆の意識を見る事ができるように思います。

今回は司馬遼太郎の『明治という国家』より引用、要約した文章を紹介しながら考えていきます。

image1こちらよりお借りしました

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2015.02.17

大共同体「東南アジア」を支えるシステム~タイ・クーデターは共認統合の要か?

●クーデターが頻発するタイ

タイは比較的頻繁にクーデターが起こる。以下、2014年のクーデターに関する5月22日産経新聞の記事です。閣僚の拘束や連行、憲法停止など、武力で権力を制圧した、ものものしい、緊迫した空気が伝わってきます。

タイ全土に戒厳令を布告していた陸軍のプラユット司令官は22日、地元テレビで演説し、秩序の回復に向けてタイ陸、海、空軍、警察が「国家平和維持評議会」を組織して全権を掌握したと発表し、軍事クーデターを宣言した。

チャイカセーム法相ら閣僚を拘束、反政府派を主導するステープ元副首相やアピシット元首相も連行されたもようだ。インラック前首相の所在は不明。

軍は王室に関する条項など一部を除いて憲法を停止し、全土に夜間外出禁止令を発令、全閣僚に22日中に首都バンコクに集まるよう指示した。タイでのクーデターは、タクシン政権当時の2006年9月以来となる。

穏やかな民族性を持つと思われた、タイを含めた東南アジアの人々だが、このような事態が頻発するということは、表面的には分からない、「怖い」側面を持っているということなのだろうか。

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2015.02.12

地域再生を歴史に学ぶ~第8回 江戸時代は惣村自治の集大成

さて以前の記事の中で以下のように江戸時代の事を書きました。
>秀吉の刀狩で惣村の武力は押さえ込まれますが、惣村が消えたのは後の江戸時代です
これは後の記事で扱いますが、江戸時代に消滅したのはそれまでの自治が藩という形で代替わりしたことによって惣村機能が一段上のお上に認められた公的な組織に昇華したのだと思われます自発的に登場し、自発的に消滅=自然消滅したのです。
言い換えれば、惣村とは乱世と同時に登場し、乱世が終わると消滅したとも言えます

最初に訂正をさせていただきます。実は江戸時代には惣村は消滅していませんでした。むしろ江戸時代こそ惣村の集大成であり、それまでの試行錯誤の時代の成果が結実したとも言えるでしょう。
幕藩体制によって農民が厳格に管理されたという教科書的表現も多く、中でもその最小単位であった5人組を戦時中の隣組と重ねて末端までの管理を中央が行う悪しき仕組みだと私自身も考えていたのです。その認識を改める論説がいくつかのHPにありましたので、参考にして江戸時代の自治の本質を見ていきたいと思います。
p566「五人組帳」
■支配から解放された江戸幕府
まず上位の江戸幕府から見ていきます。

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2015.02.11

大共同体「東南アジア」を支えるシステム~落延び民族(O2系統)から、屈強な闘争民族へと変貌したベトナム

●勤勉なベトナム人、戦うベトナム人

シリーズ第6段はベトナムを扱います。比較的穏やかで、のんびりした気質を持つ東南アジアの民族にあって、ベトナムは少し違った民族性を持っているように感じます。ベトナムの人々は日本人と同じで非常に勤勉だと言われます。

少し前まで世界中の企業が中国に進出し、生産拠点にしていましたが、「中国の後」ということで、ベトナムに焦点が当たっているようです。それは、人件費の問題だけでなく、中国人や他の東南アジア人に比べはるかに勤勉であるという点があるようです。おそらく、ベトナムは東南アジアの中でも(中心部が)「北」にあり、相対的に厳しい自然環境が、集団での組織化された生産活動を必要としたということではないかと推測します。

そして、ベトナム人の特徴はその勤勉さに加えてもう一点、「闘争性」です。超大国アメリカ相手に戦い、撤退させたベトナム戦争での強さがあります。圧倒的な国力の違いを跳ね返したその、闘争力はすさまじいもだと思います。 ベトナムは決してメジャーな存在ではありませんが、実は現代の超大国であるアメリカの衰退の原因を作ったとさえいえる歴史に残る勝利だと思います。

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2015.02.05

地域再生を歴史に学ぶ~第7回 誰のものでもない惣堂をなぜ作ったか

前回の記事では一揆を扱い、その本質にそれぞれが独立、自治した惣という共同体同志を結集する共同体を横串に統合するシステムであったとしました。つまり、中世以降の日本ではそれまでの共同体を広く横に繋ぐ体制を模索し、作り出して言ったのです。国家(朝廷)が中国から輸入した仮初めで、実態は混乱の極みをなしていた中世に庶民自ら立ち上がり、その体制化、運営がなされていったのです。

さて、第7回は江戸に行く前に少し閑話休題的な論点を入れておきたいと思います。
惣村の勉強をしていく中で出会った藤木久志の著書「中世民衆の世界」の中から惣堂が書かれてある部分を紹介し、惣堂を通じて、惣村の実態を別の観点から見ていきたいと思います。
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福山市の惣堂神社~こちらよりお借りしました。

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