2009年6月26日
2009年06月26日
十字軍の遠征の目的(裏)とその結末
≪十字軍のコンスタンティノポリス占領≫
お久しぶりです。
「十字軍の遠征の目的(表)」は見ていただけましたでしょうか?
十字軍の遠征は、1095年、拡大するイスラム勢力であるセルジューク朝に危機感を覚えたビザンツ帝国(東ローマ帝国)の皇帝アレクシオス1世が、西ローマ帝国の教皇ウルバヌス2世(位1088~99)に援軍を要請したのがきっかけで始まりました。
要請を受けた西ローマ帝国の教皇ウルバヌス2世は、早速、傭兵を集めるために公会議を開いて演説をしました。
「西方のキリスト教徒よ、高きも低きも、富める者も貧しき者も、東方のキリスト教徒の救援に進め。神は我らを導き給うであろう。神の正義の戦に倒れた者には罪の赦しが与えられよう。この地では人々は貧しく惨めだが、彼の地では富み、喜び、神のまことの友となろう。いまやためらってはならない。神の導きのもとに、来るべき夏こそ出陣の時と定めよ」
聖地イェルサレム回復のためにイスラム教徒に対する聖戦を提唱した。聴衆は「神、それを欲し給う」と叫び、演説はしばしば中断されたと言われる。
教皇ウルバヌス2世の呼びかけにより、騎士をはじめ貴族、商人、少年少女、羊飼い、犯罪者、乞食、売春婦など、延べ15万人もの人が集結しました。
なぜ、これだけの人が集まったのでしょうか?
三圃制や11~12世紀頃から始まった有輪犂を用い数頭の馬や牛に引かせて土地を深く耕す農法の普及など農業技術の進歩により生産力が高まっていましたが、封建制の完成によって、もはやヨーロッパでは領地を獲得することが困難となっていました。 農民達は十字軍に参加することによって負債の帳消しや不自由な農奴身分から解放を望んでいた。
勃興してきた都市の商人達は十字軍を利用して商権の拡大をはかろうとした。
このように、農民や商人は、私権拡大を目的に十字軍に参加していたのです。
また、犯罪者は十字軍に参加することで、罪の軽減が約束されていました。
聖地奪還(もともとの注文は聖地奪還ではなく、援軍の要請でしたが)という表向きの目的とは程遠く、十字軍に参加した者の多くは、自らの私権拡大が目的でした。
果たしてこのような状態で、十字軍の遠征は当初の目的(聖地奪還)を果たすことができたのでしょうか?
投稿者 staff : 2009年06月26日 Tweet