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2007年10月08日

東アジアの基層にある二重構造 ~中華と辺境の民族~

 東アジアには2種類の基層文明があるように思う。
遊牧・掠奪闘争の流れを汲む黄河文明と、原始文明の流れを汲む長江文明の二つ。それぞれ、牧畜・畑作文明と稲作文明とも言われる。
 黄河文明は、西北に広がる中央ユーラシアの草原地帯を通して、西アジアに連なる文明であり、メソポタミアやヨーロッパに近い性質を持っている。それに対して、長江文明は、中国の南方に連なる東南アジアの稲作地帯に連なり、海上を通して日本に通じていた。
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中国まるごと百科事典よりお借りしました

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 しかし、いまから4000年前ごろに起こった、気候変動を皮切りにした掠奪闘争と部族移動の第二波が、東アジアにも大変動を引き起こした。(参考:掠奪闘争と部族大移動の概観

この長江文明は、4200年前に気候が急激に寒冷化・乾燥化し、これにともなって、後に漢民族の祖先につらなる畑作牧畜民が南下してきたため、4000年前に消滅します。同じころ、やはり畑作牧畜民の一つの民族であるインド・ヨーロッパ語族が、インダス文明を崩壊させています。家畜を飼う畑作牧畜民が、稲作漁撈で暮らしていた長江文明やインダス文明を滅ぼし、世界を支配するようになったのです。

 以上『畑作牧畜民が森を滅ぼす』より引用
 長江文明やインダス文明は滅んだが、それを担った民族は消えたわけではなかった。長江文明の担い手は、中国の南方の山奥に逃れ、そして日本に逃れていったようです。

古代中国には、北方の畑作・牧畜地帯の龍を信仰する龍族と、南方の稲作・漁撈地帯の太陽や鳥それに蛇を信仰する太陽族・鳥族・蛇族が明白にすみわけて存在していた。
 その南北構造のルーツは7千年前までさかのぼることができる。中国東北部の内モンゴル自治区から遼寧りょうねい省にかけて、新石器時代に高い文化が発展した。その代表が6千年前の紅山こうざん文化であり、龍が信仰されていた。ところが、寒冷・乾燥化が進行した5千年前に紅山文化が衰退し、4千年前には崩壊する。北方の中原で生活していた畑作・牧畜の民は南下して、長江中流域の江漢平原から長江文明を担った稲作・漁撈の民を追い出し、雲南省や貴州省の山岳地帯へ追放した。青銅器の武器を持った「家畜の民」が、青銅器の武器を持たない「森の民」を征服することはやさしかったであろう。

 こうして、4千年前以降、北方から何回にもわたって征服する波がおしよせた。とりわけ3千年前は、著しい気候の寒冷・乾燥期であった。北方の中原から「家畜の民」が大挙して長江流域に南下した。長江流域に生活していた「森の民」は、森の多い山岳地帯に退去せざるをえなくなった。この時、長江文明の担い手の苗ミャオ族を含む長江流域の人々が、長江文明の崩壊とともに台湾や日本列島へと移動した可能性が高くなってきた。
 中国大陸においては太陽族・蛇族は龍族に追われたのであるが、海上難民となって日本列島に到着した太陽族・蛇族は、これまであった縄文時代の太陽信仰・蛇信仰に出会うことになる。縄文時代以来の太陽と蛇を信仰する再生と循環の世界観に、この稲作・漁撈民の太陽信仰と鳥信仰・蛇信仰はすんなりと受け入れられたのである。

以上『龍の文明・太陽の文明』  安田喜憲著より引用
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雲南省の美しい棚田ふたむらの部屋   さんよりお借りしました。
 インドでも、インダス文明という原始文明を担ったトラビィタ人は、インド亜大陸の南方に追い詰められていった。
 長江文明の担い手は、中国の雲南地方など中国の山奥だけではなく、陸続きの東南アジア方面にも多数逃れていったに違いない。
 僕は勝手に創造しているのだけれども、よく日本人と性質が似ていると言われるブータンなどアジアの山奥や辺境にすむ民族も、同じように掠奪闘争から逃れていった人々だったのではないだろうか?だから原始文明の体質を強く残しており、日本人にどこか似ている感じがするのではないだろうか?
 3000年前以降、長江文明の担い手が日本に逃れてきたとすれば、同じ原始文明の系統の縄文との親和性は高かったにちがいない。
 大きく概観して、東アジアは黄河文明(漢民族)の流れを汲む中華の文明と、遊牧・牧畜民に圧迫され周辺の辺境地帯に逃れた長江文明の生き残り(もともとそこに住む原住民と融合・混在?)二重構造になっている。
 ただ違いもあるはずで、長江文明に生贄などが存在するのは、同類圧力→自己正当化の観念がすでに出来上がっていたのではないかと思う。縄文などの原始文明とはそこが違うのではないだろうか?
そのあたりは、今後の追及が必要だと思う。
(by Hiroshi)

投稿者 ihiro : 2007年10月08日 List  

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