2022年4月8日
2022年04月08日
類人猿から人類への進化の定義とはなにか
みなさん、こんにちは。
この間、類人類を分析して人類の起源を追求してきましたが…そもそも、なにをもって人類というのか?
脳容量が重要な要素になるとは思いますが、どのような行動をとるようになったところから人類といえるか、その定義を追求してみたいと思います!
■「埋葬する」のはヒトだけではない
死者を弔い、「埋葬する」ことは人類の特徴的な行動として挙げられるように思いますが
実は、「死を理解する」「悲しんでいるように見える行動をとる」ことは、鳥類やほ乳類でも珍しいことではありません。
中でも、ゾウは「埋葬」を行います。死んだ仲間の体をなで、死骸の一部を運び、草や砂をかけて埋めるのです。
鼻でなでる姿も、仲間の死を悼む野生のゾウ https://www.youtube.com/watch?v=you8Fn8jA9g
その他にも、カササギ(日本にも生息するサギの1種/鳥類では最も大きな脳をもつ)や犬も埋葬を行うとされている。
死を理解し、悲しむことを含めて、「埋葬」は知能の発達した動物が行うことは間違いないが…人類の定義としては不十分であるようですね。
高い知能をもつ鳥類カササギの生態 https://zatsugaku-company.com/elephant-funeral/
■「火をつかう」は人類の象徴であり、進化の根源
人類を他の動物と区別する上で、やはり重要なのは「火をつかう」と「言葉をつかう」であるでしょうが…言葉は他動物の鳴き声によるコミュニケーションとの区別が難しいうえ、そもそも無形のため、言語をつかいはじめた時代を特定するのが難しい。
その点、火をつかうことは、約70~20万年前の北京原人が行っていた証拠が発見されている。
北京原人、火を使用した新たな証拠が発見 https://spc.jst.go.jp/news/150401/topic_3_02.html
脳容量400~500㎥の猿人に比べて、北京原人をはじめとした原人は脳容量が800、さらには1000㎥以上と…火を使い始めた時代周辺から、明らかに大きくなっているのです。
・・・
その後、人は「火をつかい」、調理、温もること、照らすことを覚え、様々な「創造」に繋げていきます。
火は人類の文化の象徴であり、進化の根源といえるでしょう。
火をつかいはじめた原人は、人類の起源として有力なのではないでしょうか。
※火を用いて狩りを行うハヤブサや火により発芽する植物、昆虫も存在しますが、いずれも限られた種であること。なかでも特有の行動のみで火を使用するため、「火をつかう」とは定義がズレると考えます。
投稿者 sibata-h : 2022年04月08日 Tweet
2022年04月08日
人類の進化過程に見られる「ミッシング・リンク」
こんにちは!
前回の記事では、「現生人類につながる類人猿はユーラシア大陸で生まれた」という認識を整理しました。今回は、その続きを追求していきたいと思います。
類人猿は、ヒトに最も近い仲間であって分類学上はともにヒト上科(Hominoidea)をつくっています。しかし、彼らは今日の世界では繁栄したグループであるとは言えません。なぜなら、現生類人猿は、アフリカにゴリラ、チンパンジー、ボノボの3種、アジアにオランウータンと小型類人猿のテナガザル類が約10種棲息しているにすぎないからです。
しかし、時代をさかのぼると、中新世においては、類人猿は現在よりもずっと広い範囲で繁栄していたことがわかっています。現在発見されている最古の類人猿の化石は東アフリカ(現在のケニヤ北部にあるロシドクという産地)の漸新世(2500万年前)の地層から見つかっていますが、中新世に入ると、プロコンスルやアフロピテクス、ナチョラピテクス、ケニヤピテクスなど、類人猿がたくさん現れます。
一方で、類人猿→猿人への直接的な進化は、未だ解明されていません。そもそも、上述のゴリラ、チンパンジー、ボノボなどアフリカの現生類人猿の祖先が見つかっていないのです。また、猿人→原人への直接的な進化も、未だ解明されていません。そもそも、猿人と初期原人は同時代を生きていたことも近年の研究で明らかになっています。
これまで定説と考えられてきた、類人猿→猿人→原人→新人→現生人類という進化系統そのものが、覆りつつあるのです。そして、それらの進化の間には、ミッシング・リンク(化石生物の存在が予測されるのに発見されていない間隙)が存在しているのです。
投稿者 asahi : 2022年04月08日 Tweet