2012年6月4日

2012年06月04日

「次代の可能性をイスラムに学ぶ」~2.イスラムの政治と経済-(2)自我経済の終焉とともにはじまったイスラム金融

急拡大を続けるイスラム金融市場
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2009年末時点で世界のイスラム金融資産は1兆410億ドルに達し、2006年以降、年平均2.4%の増加率となっています。(参照:野村総合研究所「イスラム金融の台頭」)
 
混乱を極める世界金融市場の中にあって安定成長を続けるイスラム金融。その本質は、まずはその登場の背景に見出すことができます。
 
自我経済の終焉とともに登場したイスラム銀行 
ユダヤ・キリスト教世界の経済は、もともとは利子は禁止されており、当初(古代)は様々な規制があったと思われます。しかし、私権闘争にまみれる中で、自我を活力源とする自我経済を後押しするしくみ(思想)へとズリ落ちていきました。
  
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経済産業研究所イスラム金融の系譜より
  
1970年、先進国では貧困は消滅し、市場の拡大は、国家による国債発行という延命措置なくしては維持できなくなります。物欲・私欲は永遠であると欺く自我経済の終焉です。そして、この時期、集団主義≒秩序維持に軸足を置いたイスラム金融が表舞台に登場します。
 
これは偶然ではありません。
 
市場縮小で余った資金が向かった先のひとつがイスラム金融だったのです。投機を抑制し、投資先を選別する秩序をもっていたので、バブル化せず、現在も安定成長を続けています。自由主義市場とは一線を画し、共認経済を志向しているからです。
  
イスラム金融登場のきっかけは、金貸し勢力の攻防と思われるオイルショックですが、それさえも成長経済の終焉という状況が生んだ必然です。
  
 

(さらに…)

投稿者 kumana : 2012年06月04日  



 
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