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2013年10月10日

「個のない民、ケルトから学ぶ」6.集団を導くリーダーの有り様とは?

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みなさんこんにちは。
「個のない民ケルトから学ぶ」シリーズ6弾は「集団を導くリーダーの有り様とは?」です。
リーダーと言うとみなさんはどのような方をイメージしますか?
・みんなより1歩も2歩も先を読み、明確な方針でリードしていく人。
・頭の回転が早く、知識も豊富で人には考えも付かないような方針を出せる人。
・相手(競合)の弱点を見抜き、戦略を練るのが上手い人。
こんなイメージでしょうか?
集団が勝ち続ける為にも、このような人は重要でこれまで組織を引っ張ってきた事は間違い無いと思います。
しかしここ最近、このような熟練リーダーでも組織を統合できなくなったり、これまでのやり方に固執してしまった結果周りから浮いてしまったという話を耳にします。
みなの求めるリーダー像がかつてのものと異なってきたという事なのでしょうか?
今回はケルトのリーダーに触れ、これから求められるリーダーとはどのような人なのかを探っていきたいと思います。
これからリーダーになっていく人、リーダーを育てたいと思っている方の力になれれば幸いです。

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著書「ケルト巡り」には、ケルト人の原始宗教であるドルイド教の儀式の様子、そしてそこでのリーダーの振る舞いがに書かれています。
まずはこちらをお読みください。

【「始めます」と「終わります」しか言わないリーダー?】
イギリスの小さな町グラストンベリー(古代ケルトの町)での儀式には「始めます」とか「終わります」といった進行役を務めるリーダーが存在した。
「チーフ」と呼ばれているという。そのチーフはどのように選出されたのかと聴くと、自然に決まるのだという。
「どんな人ですか?」と問うと、この人は人の話をよく聞く才能を持っており、それをみなが評価したのだという。これはとても興味深い話だった。
というのは、われわれが考えるリーダー像は、まさに「リードする人」であって、「こういうことをやっていこうじゃないか」と方向を示す力があり、決断する力がある人だった。ところがドルイドの儀式チーフは、人の話をよく聞くことができる人だという。
~中略~
わたしは近くから、このチーフの行動を見ていたのだが、彼の起こした行動といえば、「始めます」と「終わります」のかけ声をかけただけである。あとはほとんど何もしていない。ところが彼がみんなのことを良く聞き、彼がそこにいる事が大事なのだという。
~中略~
リードはしないが、みんなをまとめていく力を持っている、そういうチーフをいただくグループがヨーロッパにでてきていることは、とても興味深い。

著書にある通り私達の描くリーダーとはみなをリードし方向を指し示す存在です。
ところがケルト人のリーダーは方向を指し示す事ではなく、「人の話をよく聞く」というところが評価をされているようです。
この違いはどういう事なのでしょう?
私達が描くリーダーとは、明治以降欧米から輸入されてきたリーダー像である可能性が高く、突き詰めれば戦場で勝つ為の司令官=リーダー
からのイメージからきていると思われます。
例えば近世ヨーロッパーの戦い(ナポレオン等)がわかりやすいでしょうか。リーダーは刻一刻と変わる戦況をみながら何千という味方の兵に対して指揮をとっていきます。
このような戦場のリーダーは、敵も考え付かないような奇策を次々と打ち出したり、力ずくでもみなに方針を遂行させる能力が必要だったのです。そして集団が生き残る為にはこのようなリーダーが必要で、みなの期待であったのだと考えられます。
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一方、ケルト人は強烈な戦争圧力に晒された形跡は無く、穏やかで調和を重んじる人達です。
彼らにとって集団の気持ちが一つになり調和をもたらす結集軸となるのが儀式です。
儀式を通して人と人、人と自然との対話の中で生まれる共認充足を何よりの活力源として生きています。
従ってその儀式を司るリーダーに求められるのは、メンバー一人一人の気持ちを日ごろから解ってあげたり、意見を引き出してあげるという共認充足の最基底部である仲間や自然に想いを馳せる能力=同化能力こそが最も重要な能力になるのでしょう。
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次に著書「ケルト巡り」よりこちらの文章を紹介します。

【儀式とチーフ(リーダー)】
夏至の祭りの時には、儀式の前日に信者たちが集まり話し合いをして、儀式の段取りを決めるのだそうだ。
前の年は火の精を演出したので、今年もということではなく、今年はどうするのかをみなで話し合って決めるのだと。
その話し合いがなかなか大変なのだそうだ。
それこそチーフがみんなのことを聞いているうちにまとまっていくのだろう。

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儀式といえば型があるというイメージだったのですが、毎年儀式は中身を変えているのは驚きです。
そして注目点は、リーダーが儀式の方向性を決めるのではなく、みなで話し合いながらまとまっていくところです。
ここでのリーダーの役割は自分の決めた事を指示するのではなく、メンバーの話を聞いたり、質問に丁寧に応えたりすることで「肯定的な場作り」をしているところではないでしょうか?
そして「肯定的な場」がメンバーの参加度や創造力を引き出し、集団の結束力を高めているのだと思われます。

【選ばれたチーフ】
「選ばれたチーフ」と呼ばれています。この「選ばれたチーフ」という事が非常に重要なのです。
なぜなら、それは世襲制でもなく、自らの権力をたたえて本人がその権利を主張するわけでもありません。

「選ばれたチーフ」というのも興味深いところです。
私達が知っているリーダーというとこんな選ばれ方でしょうか。
①戦国時代では、自分が勝者となって周りを従えるという選ばれ方。
②企業などでは前任のリーダーが次のリーダーを指名するという選ばれ方。
③近代民主主義政治では本人が立候補した上で、その中からみなが投票し選ばれます。
純粋にみなが選んだリーダーというのは意外と少ないようです。
特に③の近代民主主義政治はみなが選んでいるようで、実は利害によって意見が割れる為、最後は多数決で決まります。
これは純粋にみなが選んでいるとは言えなそうですね。
ケルトの場合は、みなの共認によって自ずと決まる。
それはそれぞれのメンバーが自分の都合ではなく集団の事を第一に思っているから、そして集団にとってどのような人がリーダーに相応しいかがわかっているからこそ、想いが一致するのだと思います。

■ケルトから学ぶこれからの求められるリーダーとは何か?
これまでの話から見えてきた事は、どうやらリーダーは大きく2種類あるようです。
1つ目はこれまで私達がイメージしがちだった、集団の頂点に立ちトップダウンで指令を出していくリーダーです。
どうやらこのようなリーダーは過去の時代のリーダー像だったようです。
リーダーの指示に従って手柄を立て、評価を獲得する事が活力源だった時代ではこのようなリーダーも機能していました。
しかし、豊かになり誰もが私権を追い求めなくなった現代において、このようなトップダウンの指令ではメンバーの力は引き出せず
どんどん機能しなくなっています。
2つ目は今回紹介させていただいた、ケルトに代表されるリーダーです。
このタイプのリーダーは、まずとことん仲間の話を聞く事からはじまります。
そして他者であれ自然であれ「同一視」するという意識が根底にあります。
そしてその想いが「肯定的な場」をつくり出し、みなの参加意識や創造力を引き出すのです。
単に集団をリードするのではなく、みなの話を聞き、想いを汲み取り、繋ぐ人。そういう人がいるとみなが安心して主体的に動けるようになります。ケルトのリーダーとはこのような人です。
アメリカンインディアンの集団は酋長が牽引しますが、酋長の役割は司令や指導より世話役、調停という役割がはてはまるそうです。
日本においても「世話役」という役割はかつては地域や集団の統合を担っていました。
リーダーに求められる役割とは皆に求められ、皆の役に立っている人、そしてそれを皆が認めている人という事になります。単に集団を引っ張りリードするだけではなく、その人がいると集団が能動的に課題に向かって動き出す、そんな人物像が浮かんできて、まさに「世話役」と言う言葉がピタッと来るのです。
「世話役」と言えば、リーダーの補佐的なイメージがありますが、実際 私の会社でもこのような動きができる人がどんどん組織の真ん中で出て活躍しています。例えば問題があった時に率先してその原因の解明、方針化に自ら動き出す人。組織のあたらしい方針を定着させる際に方々に走り回り、状況を聞き、必要性を説き隙間を埋めていく人。自らの仕事を差し置いてでも全体の事に身を投じる人。これら皆の為に率先して動く世話役達です。
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時代が役割を認め評価しあう共認社会へ大きく変わる現在、当然リーダーの役割や在り様も必然的に変化していっており、かつての自然と共にあった時代や社会のリーダーの在り様がそのヒントになってくるのかもしれません。
みなさんいかがだったでしょうか?

投稿者 shinichiro : 2013年10月10日 List  

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