2022年3月24日

2022年03月24日

原人から新人への移ろい~アジア起源説も可能性として高い~

これまでの追求ではホモ・エレクトスは広範囲で繁栄し、様々な種へと分岐していることがわかりました。また、猿人から原人へのつながりは不明ということも分かっています。時期も被り、明確に起源が分かっていません。

 

今回は原人から新人の移り変わりについて追求していきます。

追求する中で見えてきたのは、現生人類と呼ばれているホモ・サピエンス、ネアンデルタール人、デニソワ人へと分岐した可能性のあるホモ・アンテセッサーという種。この種を追求することで私たち人類の起源が分かるかもしれません。

出典: G.M.P.E.

◆ホモ・エレクトス(原人)

脳容量950㏄。

原人の中で最も繁栄した種として知られているホモ・エレクトスは、アジアにもアフリカでも化石が出土しています。

それ故にどこから現れたのか不明でしたが、当ブログでの調査では、化石を旧い順に年代別で見ていくと、

従来、原人はアフリカ発と考えられていましたが、近年の発掘でアフリカ起源説が揺らぎ、ユーラシア起源説の可能性が高まっています。現生人類の進化の謎を握る原人=ホモ・エレクトス。ユーラシア発の可能性 – 縄文と古代文明を探求しよう!

 

一般的にはホモ・エルガステル(アフリカ)からホモ・アンテセッサーが分岐したとされています。

ですが、広域で移動したホモ・エレクトス、最古のものはユーラシアで発見されています。

 

◆ホモ・サピエンス(現生人類)

脳容量1500cc ~1350cc。

最古の現生人類は20万年前の東アフリカを起源とし、アフリカの狭小範囲で生活していた」という考えが定説でしたが、それを覆す頭蓋骨の化石がモロッコで発見。最古の現生人類は約31万5000年前ということがわかっています。

Jebel Irhoudという場所で頭蓋骨や石器などが発見されており、頭蓋骨と同時代のものと思われる石器は火を用いた跡があったため、熱ルミネッセンスによる年代測定などによる複数の測定したところ、頭蓋骨と石器が30万年前のものであると結論づけられています。

 

ネアンデルタール人やデニソワ人の遺伝子が混入している。

 

◆ホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)

脳容量1600~1300cc。

最古の化石はドイツのネアンデル谷で発見されており、43万年前と推定されている。

移動範囲は広く、西欧州からシベリアに及んでいます。また、寒冷に適用した種としても認識されています。

現生人類との交雑(交配)も確認されており(共生していた)、現生人類に寒冷適用に有用な遺伝子群をもたらしています。

 

後述するデニソワ人とも共生している。

 

◆ホモ・サピエンス・デニソワ(デニソワ人)

画像:「人類史マップ」サピエンス誕生・危機・拡散の全記録P77(日経ナショナル ジオグラフィック社)シベリアのアルタイ山脈に暮らしていた3つの人類

ロシア・アルタイ地方のデニソワ洞窟で発掘され、4万1千年前に住んでいたとされています。

脳容量は小指の骨と頭蓋骨の破片、割れた顎骨、数本の歯しか見つかっていないため不明。

デニソワのDNAには、100万~50万年前に存在していたホモ・アンテセッサーのDNAが混在しており、アフリカ人よりもネアンデルタール人に近いことが分かっています

ユーラシアにいたホモ・エレクトス(ジャワ原人)や北京原人を祖先とする可能性が高いです。

 

デニソワ人のゲノムは現生人類にも存在することが分かっています。

デニソワ人は実は1つのグループではなく、独立した3つのグループが存在したことが示唆されています。そのうちの1つは、ネアンデルタール人とデニソワ人の違いと同じくらい、他のデニソワ人と異なっているという。

さらに、1つのグループは、およそ4万年前に姿を消したネアンデルタール人よりも新しい時代まで生き残っていた可能性が浮上しています。デニソワ人は少なくとも3万年前、おそらく1万5000年前まで、ニューギニア島で現生人類と共存し、交配していたとされています。この年代が確かなら、デニソワ人は、知られている限り、私たち現生人類以外で最も最近まで生きた人類ということになります。

デニソワ人に別グループ、アジアでまた驚きの発見

 

◆ホモ・アンテセッサー

出展:すでに絶滅した驚くべき人類・14種

1994年にスペインのアタプエルカにあるグラン・ドリナ遺跡にて発見された30以上の化石群が発掘されています(グラン・ドリナ遺跡の他には出土していない)。

120万年~80万年前にスペイン、そしておそらくイギリスとフランスに存在していたとされています。

同遺跡では、ホモ・ハイデルベルゲンシスの化石も発見されており、連続性が主張されている。

※ホモ・ハイデルベルゲンシス1907年にドイツのハイデルベルク近郊のマウエル村で出土。ホモ・エレクトスに酷似。

グランドリナ遺跡からのもう1つの重要な発見は、15〜16歳のホモ・アンテセッサーの女性の顎であり、ホモ・エレクトスの遺体である北京原人と非常に明確な類似点を示しています。これは、ホモ・アンテセッサーのアジア起源を示唆しています。ホモ・アンテセッサー:この絶滅種の特徴 – 心理学 – 2022

 

まとめ

デニソワはシベリアで発掘。ネアンデルタール人も移動範囲がシベリアまで及んでいる。

ホモ・サピエンス(現生人類)にはネアンデルタール人やデニソワ人のDNAが混入しており、アフリカが起源とは言い難いです。

また、デニソワ人にはホモ・アンテセッサーのDNAが混在していることも重要なポイント。

ホモ・アンテセッサーはスペインでのみ化石が発掘されていますが、北京原人との明確な類似点が存在するため、デニソワ人は北京原人(ホモ・アンテセッサー?)から分岐している可能性もあります

つまり、ホモ・アンテセッサーはアジア起源説という可能性が高いです。

 

また、原人と新人の移り変わりですが、明確な文献は存在しないことが今回の追求で分かってきました。

それぞれの種に、ほかの種のDNAが混在している研究結果から様々な年代で交雑していることが分かります。

ネアンデルタール人やデニソワ人の絶滅は滅ぼされたという受動的なものではなく、交雑を繰り返すなかで純粋な種が減っていたのではないでしょうか。現に我々のDNAにも組み込まれているのですから。

投稿者 matudai : 2022年03月24日  



 
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