2022年3月31日
2022年03月31日
ホモ・エレクトスから現生人類へ 拡散するための知能進化と豊かな交配が人類へ繋がる
皆さんこんにちは。これまで人類の起源を追求してきました。
前々回は、
「脳容量950㏄。原人の中で最も繁栄した種として知られているホモ・エレクトスは、アジアにもアフリカでも化石が出土しています。」
「広域で移動したホモ・エレクトス、最古のものはユーラシアで発見されています。」
「デニソワ人のDNAには、100万~50万年前に存在していたホモ・アンテセッサーのDNAが混在しており、アフリカ人よりもネアンデルタール人に近いことが分かっています。」「デニソワ人のゲノムは現生人類にも存在することが分かっています。」
前回は、
「“非アフリカ系(ユーラシア系)はゲノムの1.5~2.1%ほどがネアンデルタール人に由来するが、東アジア系(私たち)の割合はヨーロッパ系より若干高いことが明らかになったのだ。」
「分類学では、子をつくらなくなった時点で別の「種」になったとみなす。ということは、サピエンス、ネアンデルタール人、デニソワ人は「同種」ということだ。ネアンデルタール人とデニソワ人は同じユーラシアに住み、47万~38万年前に分岐したとされるから「同種」なのもわかるが、それより前の77万~55万年前に分岐し、地理的に隔絶したアフリカ大陸で(最長)70万年も独自の進化をとげてきたはずのサピエンスがとつぜんユーラシアに現われ、彼らと交雑できるのだろうか。」
と、追求しました。これらも含めてさらにまとめをしてみたいと思います。
焦点は、『人類』の起源はどこか、どう進化したか。
アフリカ起源説から脱却し、広く見て行くと、アジアの「ホモ・エレクトス」に注目せざるを得ない、と思います。結論から言うと、アフリカからユーラシアの広範囲に拡散したホモ・エレクトスこそが、人類(ホモ・サピエンス)の共通祖先であると思います。
ホモ・サピエンスは亜種の集合 同じく拡散したホモ・エレクトス経由の可能性
生物学的には、交配して子を産めるものを同種或いは亜種とし、子が生まれないものを別種とします。現生人類は、欧州人もアフリカ人も、日本人でも混血が可能なので、同種、亜種です。よく、ホモ・サピエンスという「新人」が一種しかないことが人類史の謎とされますが、ネアンデルタール人やデニソワ人、ホモ・エレクトスと交配出来た多様な「同種」「亜種」がいる事から、「サピエンス」だけを特別に「種」として取り上げるのでは無く、多くの同種、亜種の中で現生人類の数種が生き残っていると考えるべきと思います。
2010年の研究で、アフリカのネグロイド以外の現生人類に、ネアンデルタール人の遺伝子が1~4%混入しているとされ、その後2020年に、アフリカ人にも僅かに痕跡があると追加されました。ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンス以前にユーラシア大陸の広範囲に拡散し、現生人類に繋がる交配を繰り返していたことになります。
アルタイ山脈で発見されたデニソワ人も、その遺伝子を現在のポリネシア人、メラネシア人らが受け継いでいると言います。ネアンデルタール人が母、デニソワ人が父とされる少女の骨の分析結果もあるのです。
現生人類も実はホモ・サピエンス・サピエンスと言い、ホモ・サピエンスの「亜種」です。現生人類は、ネグロイド、コーカソイド、モンゴロイドなどの「人種※生物学的な種ではない」に分かれ交配できます。つまり、アフリカでのみホモ・サピエンスに進化した事と現生人類が実は多様であることは、むしろ矛盾する、と思います。
問題は、この時代より少し昔。ホモ属のどれが、彼らと結びつくか、です。
一般には、少し古い原人の、ホモ・ハイデルベルゲンシス(ドイツ)、ホモ・アンデセッサ-(スペイン)、ホモ・エルガステル(東アフリカ)らが、ホモ・サピエンスに繋がるとされる一方、ネアンデルタール人と同じくらい広範囲に拡散していたホモ・エレクトス(ジャワ原人、北京原人)は、直接結びつかないと言います。
しかし、ホモ・アンデセッサ―とハイデルベルゲンシスは、同じ遺跡から発掘されたり、北京原人にも類似しているなど指摘され、必ずしも別系統とは言い切れないように思います。日経ナショナル ジオグラフィック社「人類史マップ」サピエンス誕生・危機・拡散の全記録P26-P27によれば「データが欠けている」とのこと。データが「欠けた」だけで済ませず追求すれば、ホモ・エレクトスの広範な拡散と、ホモ・サピエンスのそれが類似していることに気づくと思います。
ホモ・エレクトスとその他の当時の原人らが、交配可能かどうかはまだ分かっていませんが、可能性は十分にあります。
同時代に暮らす彼らが、共通祖先をもつ同種若しくは亜種と考えるのは自然です。中でもアジアに居たのはホモ・エレクトス。これまでアフリカ起源説を証明しようとアフリカばかりを調査したので、アジアの調査が不十分、かつ、アフリカ起源から脱却しないと、事実は掴めないと思います。
脳容量1000㏄以降の拡散 知能進化が拡散、生存に不可欠
脳容量が950㏄に達するホモ・エレクトスは、言語が使えるかも知れません。
広範に拡散するには、その土地の特徴を受け入れ適応する必要があります。その為、単独や小家族で行動するのは難しいと思います。数十人の「集団生活」の方が、互いに助け合いながら工夫して生きていけるので、生き残る可能性が高いことは、分かりきったこと。集団で暮らし、互いの様子を注視して同化し、その結果さらに進化した知能で言語も使い、コミュニケーションする。これらの行為は、彼らの「知能」を格段に進化させた。だから、様々な自然外圧にも適応できより広範に拡散できた、と考えるのが自然です。
ホモ・エレクトスより少し古いホモ・ハビリスの脳容量は600㏄、少し後のホモ・エルガステルは1000㏄。現生人類は1350㏄。やはり脳容量が1000㏄位になって初めて拡散、適応が可能なのだと言えます。
※「二足歩行→道具」が脳進化の原因とする学者たちが多いですが、そうではなく「集団行動」が知能進化を促したと考えるべきでしょう。
そう考えると、よく言う「出アフリカ」も、何もせずアフリカにじっとしていて新人に進化することなど、どうやって出来るのか疑問になります。広い世界を体験し、試行錯誤し、時には交配して遺伝子を交換するなどして、ようやく世界に拡散できるのだと考えれば、人類が進化したのはアフリカの外、になると思います。
直立二足歩行できる類人猿はアジアに生息するオランウータン
アフリカ起源説では、人類と共通の祖先をもつのはチンパンジーだそうです。ヒトとチンパンジーはゲノム配列の98%が同じと言います。2002年に日本人が計測したゲノム配列の違いが1.23%だったそうです。が、実はだから何のか、さっぱり分かっていないと言います。例えば、ヒトのゲノムの数は30億塩基対と言いますが、マウスも33億塩基対あると言い出すなど、正直訳が分かりません。ヒトゲノム解読の修正報告は現在も継続しています。
形態学的には、チンパンジーとゴリラは、基本的には4足歩行です。類人猿で直立二足歩行できるのは、ボルネオ島とスマトラ島に生息するオランウータンだけです。オランウータンは、かつてマレー半島にも居て、人類との分岐は1400万年前と言われます。シバピテクスという1300万年前の人類(?)化石は、インド北部で見つかっています。結局アフリカよりアジアの方が類人猿、人類の繋がりは豊かで古いのです。が、何故か学会はアフリカ起源。しかも出アフリカを原人にもネアンデルタール人にもホモ・サピエンスにもあったと言う始末。その根拠は全く不明です。
まとめ
広範に拡散したホモ・エレクトスのどれが現生人類に繋がるか。確たる証拠は有りません。
しかし、現実に現生人類がいる事、その手前にネアンデルタール人、デニソワ人が居て、ホモ・エレクトスも含めた交配の可能性があることから、最も広範囲に拡散したホモ・エレクトスにその起源を求めることはごく自然なことと思います。
アフリカのホモ・エルガステルも、よく研究すればホモ・エレクトスか、その亜種の可能性があります。ホモ・エレクトスは、他の古人類と比較するとかなりがっちりした体格でした。現生人類はむしろ華奢な体形。ホモ・エレクトスが、華奢な他の原人や旧人と交配して後にホモ・サピエンスが誕生したと考えれば説明できます。
アフリカに拘らず、中央アジアのアルタイ山脈から東南アジアまでで様々な交配をし拡散したと、アジア中心に考えた方が答えに近づけるのは間違いありません。
しかも起源は「単一」ではなく、そこかしこで交配と遺伝子交換を繰り返しながら、集団生活をし続けることで、次第に人類となっていく。多少の亜種があるのは地域性のある証で、従って、多地域で豊かに進化したと思います。
投稿者 sai-yu : 2022年03月31日 Tweet