2021年12月14日

2021年12月14日

【縄文再考】大陸と縄文②~日本海の海流に乗って大陸から文化が届き、列島産・黒曜石は海を渡って大陸に広がった

前回、縄文時代から大陸と列島は相互に影響し合い、耳飾りや石斧・土器などで類似性があることを紹介しました。

国境のない時代、縄文社会は大陸と分断していたのではなく、日本海を囲む横断的な文化圏の中にあったのです。

今回は、さらに、大陸と縄文の関わり合いを示す痕跡を紹介します。

(さらに…)

投稿者 ando-tai : 2021年12月14日  

2021年12月14日

【縄文再考】研究者の多くが矛盾した立場をとる単一起源説は東アジアを説明できない

 

皆さんこんにちは。

今回は、少し視野を広げて人類の起源に関するお話です。

よくミトコンドリアDNAやY染色体DNAなどで、人類の起源はアフリカの一人の女性と言われますが、そのことに関しもう少し正確な検証が必要、と指摘する方がいます。東京大学創立百二十周年記念東京大学展 「学問の過去・現在・未来 第二部 精神のエクスペディシオン」のHP上で、人類のアフリカ単一起源説への批判的な見解を木村賛・東京大学大学院理学研究科教授。「アムッド人」に関する著述の「3新人の起源と広がり」の部分ですが、その要約は以下の通りです。


出典はコチラ

[挿図10]多地域進化説とアフリカ単一起源説
代表的な化石人骨名を記入してある。
多地域進化説では各地域間の交流(太い実線)を、アフリカ単一起源説ではアフリカ以外の地域での旧人の絶滅を想定している。

単一起源説の根拠と課題

単一起源説の根拠

・各種現代人のミトコンドリアDNA遺伝子を用いて近縁関係を調べた結果、最も祖先形に近いものは現代アフリカ在住民であるとした[Cann et al. 1987]。
・最古の新人らしい化石はアフリカの十数万年前の層から出ているとされる。
・旧人から新人への連続性が、特にヨーロッパと西アジア地域、すなわち旧人ネアンデルタール人の住んでいた地域では考えにくい。

単一起源説の課題

・東部アジア地域の進化が説明できないこと。
・分子進化の手法は現生生物の近縁関係を推定するには有効であるが、過去の年代決定はできない。

多地域進化説の根拠と課題

多地域進化説の根拠

・化石人骨においても、文化遺物の上からも、このような連続性が旧大陸各地域ごとに存在すること。特に東アジアとインドネシアなどの東南アジアからオーストラリアにかけてとの二地域においては、化石において原人、旧人、新人と連続する形質が各々で見つかっている。

多地域連続説の課題

・根拠とされる形質の連続性に対する疑問。
多地域において全世界に共通する新しい人類へと進化が進む、という遺伝学的モデルが考えにくいこと。

単一起源は原人の出アフリカ

以上の整理から、木村教授は、

「もし計算の誤差がありアフリカ単一起源が約百万年前まで遡るとすれば、この単一起源とは原人の出アフリカを示していることとなる。したがって多地域進化説との矛盾はなくなる。」

「現在のところこの二つの説のどちらが妥当であるかについての決着はついていない。遺伝学の成果を背景にユーラシア大陸での旧人の絶滅を主張するアフリカ単一起源説が有力となってはいるが、それでは説明できないところが多い。この説明のために現在かなりの数の研究者は、極端な単一起源説も極端な多地域進化説もどちらもとらず、中間の立場をとろうとする。すなわち、アフリカで最初の新人が現れ、その影響がユーラシア大陸に広まったことは認めながら、その地域にいた旧人の現代人への影響も認めるという立場である。この考えはユーラシア大陸の旧人の遺伝子の残存を想定しており、アフリカ『単一』起源説とは矛盾するものである。」と述べます。(要約以上)

つまり、現アフリカ在住民のDNAが、現代人の祖先形として認定するにふさわしいことまでは良いとして、そのままアフリカで全新人の祖先がいたとするのは、些か無理があるという事です。それは、東アジアの原人、旧人、新人の流れにアフリカ出自の新人がどう関わるかという事と同じで、アフリカ出の新人以前に東アジアに別系統人類がいたなら、その時点で「単一」でない事を指摘しているのです。

※分子進化の手法は、しばしば日本人の起源検討でも使用されます。その結果、現在の日本人の起源は北方渡来説が有力ですが、そのベンチマークとなった古人骨が縄文時代後期の礼文島出土の人骨であることが、「壁」と思います。昨年12月に報じられた愛知県出土の同じく後期古人骨の伊川津人骨は、ロシア人とは程遠い、という東大研究者の成果も有ります。

多発ではないにしても、東アジア固有の人類進化があったとしたら。更にその大元に、大型類人猿オランウータンがあるとどうか。交配可能な二系統の新人類が、当初は別だったが、中国大陸で混血、その後日本列島へも伝搬しさらに混血したと考えることも可能と思います。特にアイヌと沖縄に共通性が有り、本土日本人だけが異なる遺伝子の傾向は、その後の塗り重ねを表していると思いますが、如何でしょうか。

アムッド人とその人類進化上の意義 木村 賛 東京大学大学院理学系研究科コチラ

投稿者 sai-yu : 2021年12月14日  



 
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