2021年1月7日

2021年01月07日

縄文人が最も念じていたのは自然の摂理への同化、同一化であり、翡翠とはその中の”再生”を身に着ける最大の象徴だった

縄文時代を貫通して重宝されたのは黒曜石と翡翠です。黒曜石はナイフや刀としての道具として用途は明快ですが、翡翠は装飾品として狭義に捉えられてしまいがちです。しかし翡翠は産地が限られているにも関わらず北海道から沖縄まで広く遺跡として分布しており、相応な役割があったものと推察されます。それは贈り物でもあり、さらに縄文人の精神世界に密接に関わる何かがあったものと思われます。縄文時代を通じて念じていたものがあると思われます。
下記の記事の中にそれは“再生”というキーワードで書かれていました。これは翡翠に限らず、縄文土器の紋様、蛇信仰など、この再生とは言い換えればサイクルとも言い、自然の摂理そのものであるのです。つまり、縄文人の追求心とは自然の摂理、自然の摂理を読み解く事、同一化しようとすることに他ならない。今からわずか1万年前まで人類は古代人類に培った言語を産み出す源となった観念原回路を使って自然を対象化しようとしていたのです。その一つの象徴が翡翠信仰なのかもしれません。

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北海道考古学会会長の 大島直行氏のインタビューに書かれています。下記に抜粋して紹介します。

―縄文の紋様は何を表しているのでしょう。

大島「縄文の紋様は蛇でしょう。縄文土器が凄いのは最初に縄目の文様で蛇を表現したこと。蛇は世界中の神話にあります。脱皮を繰り返す蛇は再生のシンボリズムなんです。そして蛇を象徴とする文様がひとつの文化として定着すると、多くの人が“効き目”がある文様を模倣し、もっと“効き目”がある文様を求めて、さまざまな実験を繰り返す。そんな時代が1万年以上も続いたのが縄文時代だったんです。」

 ―ここでいう“効き目”とはどのようなものでしょうか?

大島「日常生活の中で“死にたくない、蘇りたい”と思い、効き目のあるシンボルをどうやって編み出すかに命をかけていた、すべてがそこに集約できます。歴史的な経緯もなく、発展や進歩も選択せず、1万年間ずっと変化しないといえばよくわかるでしょう。土器の形がいろいろかわるのは、効き目を試しているからですよ。別の例でいえば、翡翠(ひすい)は縄文時代の1万年間を通して、北海道から沖縄まで分布しています。でも翡翠はジュエリーでも宝石でもない、ただ地球上で再生のシンボルである白と緑が同居している石はそれしかなかったんです。効き目が抜群だったんでしょう、それが信仰ですから。翡翠を手に入れて持つことが大切だったんです。科学的に効果があるわけではなく、縄文人を精神的に満足させるもの。頭の中に再生の因子があって、それになぞらえられるものは、何でもやったという事ですよね」

 ―縄文人が現代人に教えてくれることは何でしょうか?その世界観を理解する事で私たちには何がわかるのでしょうか?

大島「縄文人が作ったものは9割以上が再生のシンボルでしょう。生理の周期とリンクして満ち欠けする月、女性の子宮、羊水としての水、それらは皆、再生のシンボリズムです。何か再生するものをシンボライズして、レトリカルに描いているだけ。

それを読み替えて、現代な美術感覚とか、経済的価値観とか、合理性とか、そんな解釈をしても全く意味がないわけです。シンボリズムとレトリックで読み解くと、縄文は本当に面白いんですよ。現代の感覚で縄文人を想像するのではなく、自分自身が縄文人になって、現代における縄文的なものを発見してほしいですね

 ―縄文人のタトゥーについてご意見を伺えればと思います。

大島「当然タトゥーはあったでしょう。それを立証するのはなかなか難しいかもしれませんが、その理由はやはり再生のシンボリズムです。縄文土器そのものが女性のカラダを象徴しているわけですから、縄文時代にタトゥーを彫る技術があったらそれこそ“効き目”抜群の紋様を究極のシンボリズムとして身体に刻んだことでしょう。

大島氏がユニークなのは日本の考古学において圧倒的な主流である土器の型式や年代を分類する編年研究に対し、それを乗り越えるべくシンボリズムとレトリックをキーワードに大胆に縄文人の世界観を読み解いてみせたことにある。
そこでは脱皮を繰り返して不死とされた蛇、女性の子宮、羊水、あるいは正史としての水、生理の周期とリンクして満ち欠けする月、それらが再生のシンボリズムとされる。さらにそのようなシンボリズムは農耕以前の人類に共通する生得的なものであると断言し、精神分析学のカール・ユングが神話や曼陀羅の研究から探求した全人類に共通する心の構造としての普遍的無意識を縄文の文様や遺跡の読み解きに応用しているのである。大島氏が読み解く縄文人の世界観は、1万年という時を超え「人間とは何か?」という最も根源的な疑問にあたらな気づきを与えてくれるものなのである。

以上。

投稿者 tanog : 2021年01月07日  



 
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