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農村民家は地域と生産によってかたちとなった

みなさんこんにちは!

今日は民家の木造建築の特徴について追求したいと思います。

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【敷地に囚われない農村民家は気象条件によって形が変わる】

京都の町家は町割りと道が規定している建物の形を規定しています。

⇒それに対して農村の周りには田畑が広がり、敷地の形状に囚われずに作られることが多い…

★農家の形に最も影響を与えるのは気象条件と生産です

 

例えば…

・漁村部の建物…湿気や塩害により木造建築が残りにくい

・地域ごとでの建物の違い↓

 

白川:合掌造り

…平地が多いこの地域は稲作に不向きであったことから、屋内での養蚕製糸や煙硝作りによって、収入を得ていた。また根曲りの木での降る地域では、家屋の屋根は何トンもの重さを支えた(リンク [2]

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奈良から大阪南部:大和棟

…大和盆地で多く見られ、勾配50度前後の草葺のキリ妻屋根の両端を壁度に塗り固め、その上を2~3列の瓦で葺き下ろしている。寒暖の差が大きい気候に対応するために断熱性のある屋根が求められたため茅葺きになり、雨じまいのために急勾配になった。(リンク [4])(リンク [5])

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長野:本棟造

…切妻造り妻入り、ゆるい勾配の屋根、雀おどしと呼ばれる棟飾り、正方形の間取りなどが特徴。雪が多く降る地域のため屋根を急勾配にする必要がなかった。(リンク [7])

・屋根葺き材。取り換えサイクルが最も早く負担も大きいため、周辺からとれる植物性の材料を使うことが多い。

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・日本建築は「夏を旨とすべし(吉田兼好)」という言葉があるが、それは暖をとれる服が着られる上流階級の話、農家の場合は閉鎖的で土壁でおおわれ、ほとんど開口がなく真っ暗

 

 

【生活と密着している町屋と農村型民家】

寺院建築や神社建築、宮殿と違って、町屋や農村型民家は生活に密着しています。

<町屋>

通り庭(土間)が炊事・作業・荷入れの用途で使われる

<農家>

土間は道具の繕いや収穫物の選別など、農作業と密接に絡んでいる。また年貢諸役や武士を迎え入れる接遇の場も存在する。また敷地に余裕があるので土蔵や農作業小屋など付属屋が多い。

 

寺院建築、神社建築、貴族邸宅は敷地の制限がある中で様式によって配置され、

民家は敷地の条件に囚われず、気象条件や生産課題によって様式が変わる

ことが分かりました。

 

次回は貴族邸宅や寺社建築についても深堀していきます。

 

参考:

さいたま市内における近代和風建築に関する研究―町家型民家と農家型民家の比較及び農家型民家の発達について―

https://www.arch.shibaura-it.ac.jp/multidatabases/multidatabase_contents/download/871/27e77f25f965b4c32978500d1420e06d/957?col_no=2&frame_id=795

 

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