今回は右脳の話を書きます。永六輔の「職人」という著書から「語る」の部分を抜粋紹介します。
これら全て実際の職人の口から出てきた言葉を集めたものです。
職人は手を使います。職人は右脳を使って仕事をします。
いや、無意識に右脳に問いかけて、右脳を刺激していい仕事をしています。
彼らから発せられる言葉にはその片鱗が伺えます。
これらの語録を呼んで「右脳で捉えるって何だろう」を考えるきっかけにしてほしいと思います。
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「オレは何かをするときに必ず自分の体に調子を聞くよ」
「教えるということは教わるということです」
「わたし下手な人には教えません。
下手な人に教えると、自分まで下手になってしまうものです」
「上手は下手の見本なり、
下手は上手の見本なり」
「苦労なんて耐えるもんじゃない。
苦労は楽しむものです」
「職業に貴賎はないと思うけど、
生き方に貴賤はありますねぇ」
「人間、(出世したか)(しないか)ではありません。
(いやしいか)(いやしくないか)ですね」
「いいかい、
仕事は金脈じゃない。人脈だぞ。
人脈の中から金脈を探せよ。
金脈の何かから人脈を探すなよ」
「子どもは親の言うとおり育つものじゃない。
親のするとおりに育つんだ」
「躾ってものは、
ガキのうちにやっていいこと、やっちゃいけないことを、
体で覚えさせることだよ」
「頭の悪いガキをつかまえて、頭をよくしようとするから、世の中が無理がいく。
頭の悪いガキには、それなりの生き方を探してやるのが大人の責任じゃないのかねぇ。
いいんだよ、多少は頭の悪いほうが。
愛嬌があってさ、世の中けっこう楽しくやれるもんだぜ。
政治家だって頭の悪いやつがあれだけいるってのにさぁ」
「コラッ!
あんまり勉強すると、バカになっちゃうぞ」
「樹齢二百年の木を使ったら、
二百年は使える仕事をしなきゃ。
木に失礼ですから」
「檜は不思議な木で、
健在にして二百年たった頃が、一番強くなるんです」
「桐の木は分類上では、木というより草のほうが正しいんですよ。
芯は空洞で、茎になっているんです。
そこがわかって仕事をしないと、桐の家具はつくれません」
「百姓っていうのは、百種類の作物をつくれる職人ってことなんだってさ」
「職人の仕事なんでいうものは進歩はない。
進歩しちゃいけない。
道具でも何でも、昔からのものを使ってんのが、いちばんいい仕事ができます」
「残らない職人の仕事ってのもあるんですよ。えぇ私の仕事は一つも残っていません。
着物のしみ抜きをやっています。着物のしみをきれいに抜いて、仕事の跡がのこらないようにしなきゃ、私の仕事になりません」