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左脳で虫の声を聴く日本語~左脳の機能とは何かを考えてみる

現在右脳と左脳という事で類ネットでも盛んに議論がされている。現代人は仕事や勉強では左脳ばかりを使うので感覚脳である右脳が退化しているという話である。本能と直結する右脳の開発は固定観念や近代思想に塗れた人の本能を開放し、潜在的に眠っている能力を開発するという発想は既に10年くらい前から言われている。  しかし左脳とは斯くも石頭のように硬い存在なのか?

いやいや左脳も捨てたものではないという事象を1つ見つけたので紹介しておきたい。
西欧人は虫の音を雑音として右脳で聞くが、日本人は言語脳である左脳で聞く。

日本人は虫の音も雨の音もせせらぎの音も言語と同様に右の耳で聞き、左の脳で捉えるのだ。この脳を持つのは日本人の他にはポリネシア人しか居ない。つまり自然に徹底的に同化し、自然を言語と同じように捉え、それを”精霊”と措定したかつての人類の祖先と同様の思考回路を未だ日本人は継続しているのではないか?
つまり精霊とは右脳で感じた自然の摂理や在り様を左脳で固定した呼称とも言えるのではないか。観念機能が右脳と左脳の両方で生み出されたということにも繋がるような事象ではないかと思うのですが・・・。

下記は角田教授の事を書いた平成14年の伊勢氏の論文です。類ネット [1]でも過去紹介されてきていますが、改めて角田教授の知見を右脳、左脳の機能分化を考える一つの見識として見ておきたいと思います。

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角田教授は日本人の脳が他の民族の脳と違う点を生理学的に追求してきた。その結果が驚くべき発見につながった。人間の脳は右脳と左脳とに分かれ、それぞれ得意分野がある。右脳は音楽脳とも呼ばれ、音楽や機械音、雑音を処理する。左脳は言語脳と呼ばれ、人間の話す声 の理解など、論理的知的な処理を受け持つ。ここまでは日本人も西洋人も一緒である。

   ところが、虫の音をどちらの脳で聴くかという点で違いが見つかった。西洋人は虫の音を機械音や雑音と同様に音楽脳で処理するのに対し、日本人は言語脳で受けとめる、ということが、角田教授の実験であきらかになった。日本人は虫の音を「虫の声」として聞いているということになる。

   このような特徴は、世界でも日本人とポリネシア人だけに見られ、中国人や韓国人も西洋型を示すという。さらに興味深いことは、日本人でも外国語を母語として育てられると西洋型となり、外国人でも日本語を母語として育つと日本人型になってしまう、というのである。脳の物理的構造というハードウェアの問題ではなく、幼児期にまず母語としてどの言語を教わったのか、というソフトウェアの問題らしい。

この違いを考察する前に、こうした結果がどのような実験で得られたのか、簡単に見ておこう。人間の耳から脳への神経系の構造は、左耳から入った音の情報は右脳に行き、右耳から入ると左脳に行く、という交叉状態になっている。
そこで、左右の耳に同時に違ったメロディーを流して、その後で、どちらのメロディーを聴きとれたかを調べると、常に左耳から聴いた方がよく認識されている事が分かる。これで音楽は、左耳、すなわち、右脳の方が得意だと分かる。同様に、違う言葉を左右から同時に聴かせると、右耳、すなわち左脳の方がよく認識する。我々がほとんどの場合、右耳に受話器をあてるのは、このためだそうだ。さらに複雑なテスト方法もあるが、これが最も基本的な実験方法である。

こういう実験で、いろいろな音で、左脳と右脳の違いを調べると、音楽、機械音、雑音は右脳、言語音は左脳というのは、日本人も西洋人も共通であるが、違いが出るのは、母音、泣き・笑い・嘆き、虫や動物の鳴き声、波、風、雨の音、小川のせせらぎ、邦楽器音などは、日本人は言語と同様の左脳で聴き、西洋人は楽器や雑音と同じく右脳で聴いていることが分かった。

 角田教授の発見では、虫の音だけでなく、そのほかの動物の鳴き声、波、風、雨の音、小川のせせらぎまで、日本人は言語脳で聞いているという。これまた山や川や海まで、ありとあらゆる自然物に神が宿り、人間はその一員に過ぎないという日本古来からの自然観に合致している。
(中略)

角田教授の発見で興味深いのは、自然音を言語脳で受けめるという日本型の特徴が、日本人や日系人という「血筋」の問題ではなく、日本語を母語として最初に覚えたかどうか、という点で決まるということである。
その端的な例として、南米での日系人10人を調査したデータがある。これらの日系人は1名を除いて、ポルトガル語やスペイン語を母語として育った人々で、その脳はすべて西洋型であった。唯一日本型を示した例外は、お父さんが徹底的な日本語教育を施して、10歳になるまでポルトガル語をまったく知らずに過ごした女性であった。その後、ブラジルの小学校に入り、大学まで出たのだが、この女性だけはいまだに自然音を言語脳でとらえるという完全な日本型だった。逆に朝鮮人・韓国人はもともと西洋型なのだが、日本で日本語を母語として育った在日の人々は、完全な日本型になっている。

   こう考えると、西洋型か日本型かは人種の違いではなく、育った母語の違いである可能性が高い。「日本人の脳」というより、「日本語の脳」と言うべきだろう。角田教授の今までの調査では、日本語と同じパターンは世界でもポリネシア語でしか見つかっていない。

 リンク [2]より抜粋

[3] [4] [5]