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スンダランドから日本へ。ジャワ原人→スンダランド人(新人)→港川人→縄文人→日本人

スンダランドを探求する。
今から2万年前に水没したスンダランドは既にかなり解明されてきている。
2001年に発刊された日本人はるかな旅の中でもこの地域についての記載が少しだけ掲載されていた。そこから抜粋編集して紹介しておきたい。太古の人類がどのように暮らしていたか、そして南北から来たと言われる縄文人のルーツはどちらが正しいのか、そこにも少しだけ触れておきたい。

 ■スンダランドとはどんな環境か?

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ボルネオ島に現在でもあるニアー洞窟がある。高さは最大60m、広さは東京ドームがまるまる2つ入る10ヘクタールを擁する。ここに氷河期の4万年前~1万年前の人々の暮らしの足跡が残っている。
氷河期とは今から5度から7度平均気温が低く、北半球の北半分が氷に覆われていた時代。しかし凍っていたのは地球の一部で多くの地域は気温が今より少し低く少し乾燥していただけである。この時代、スンダランドは今より乾燥して気温もー2~3度と現在よりはるかに住みやすく、現在のような熱帯雨林もなかった時代。(日本列島も氷には閉ざされていなかった。)

ニアー洞窟で採掘されたのはものを切るために使われた剥片石器や物をつぶしたりするために使われたチョッパー(石の片側を打ち砕いた石器)などの道具類であった。剥片石器は石を砕いて作っただけのものだが、万能の道具といわれ、これひとつあれば、肉を切ったり、竹などを加工して狩の道具を作ったりと様々なことができるのだ。このスンダランドならではの剥片石器は鹿児島県奄美でも見つかっており、およそ2万年前のもので、薄さや大きさも似ており、日本列島  とスンダランドとのつながりを示すものとなっている。

そして興味深いのが食べかすとみられる野生のブタ、サイ、サルなどの動物の骨や、淡水生、海水生両方の貝殻が発掘されたことである。スンダランドの人々は、近くの森や草原で多くの種類の動物を狩猟していたほか、20キロも先の海岸から貝を取るなどして生活していたのである。

現在のような熱帯雨林だと実は食料は手に入れづらく、動物には楽園でも人間にとっては厳しい環境で「緑の砂漠」と言われるくらいの場所である。しかし、いまより乾燥し、草原も広がっていたスンダランドの時代には、ゾウやシカ、スイギュウやイノシシなど獲物となる動物たちは多く闊歩しており、植物に恵まれていた。さらに海岸線には海の恵み、川の恵みといった海洋資源が併存していた。

※スンダランドは寒冷期は人類が済む上で最も適していた可能性があり、その後の温暖化して豊かな食資源に恵まれた日本列島と近似していたのではないかと想像する。ジャワ原人は180万年前、ここで比較的安全な洞窟に隠れ住み、人類の歴史は数十万年、さらに百万年と過ごしてきたわけだ。実はこのジャワ原人の住むジャワ島のワジャック人が縄文人のルーツとなった港川人と酷似しているという資料もある。

■港川人はスンダランドの民、そして彼らがその後縄文人の祖先となった。
1万7千年前のほぼ完全な一体の人骨が発掘されたのは沖縄の港川人である。
港川人はどんな特徴を持ち、どこから来たのか。そして日本列島には来ていたのか。日本人のルーツ解明に繋がる。
国立科学博物館の馬場博士が行った港川人の骨の詳細な分析から概観してみた。

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・現代人より小柄で、上半身が華奢な点が目立つ。
・手の大きさは現在人並みで物をもつ力は強力だった。さらに骨盤の形状は頑丈。足の脛の筋肉も上部だった。
・足の骨をレントゲンで分析するとハリス線といういくつもの横線が浮かびあがるこの線は成長が止まった時にできる線で、幼いころに栄養失調や病気でたびたび成長が止まっていた事を示す。
・頭骨は現代人より頭の上下の長さが短く、頬骨が張り出している。鼻のあたりは凸凹が大きく、鼻は高い。顎の骨の張り出しが強いことから噛むための筋肉が発達していたことがわかる。咀嚼力は今の日本人の2倍は強かったという。

港川人は沖縄という狭い環境の中で野山を駆け巡りやっきになるような生活を送っていたことがわかってきた。
港川人の顔の骨格から復元したところ、ジャワ島のワジャク人の頭骨と似ているそうだ。
「ワジャク人骨は港川人と似ている点が複数ある。眉間の隆起、頬骨の張り出し、他にも頭骨の下部に膨らみがある点など、複数の点で2つの頭骨は共通している」と馬場博士は指摘している。同時に東南アジアの南部、太平洋側にも同様の特徴を示す人々が住んでいた可能性があり、港川人とワジャク人、東南アジア南部の海岸線それはスンダランドが温暖化を契機に海面に沈んだ際に移動した同一ルーツの可能性が高い。

港川人は狭い沖縄から本州に進出するのだが、そのくだりは次回に回したい。

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