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独特の災害史観を持つ日本人は何度も立ち向かい乗り越えてきた

前回記事(復活力。叩き潰されても復活しようと考えるのが日本人の特性だhttp://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=275292 [1])に続き、今回は[ぼやきくっくり]より日本人の被災史観念と立ち向かう姿勢を紹介します。

以下、『独特の災害史観を持つ日本人は何度も立ち向かい乗り越えてきた(リンク [2])』からの転載です。

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拙ブログでは、「外国人から見た日本と日本人」シリーズで東日本大震災に対する外国の人々の反応を3回に渡ってまとめましたが(まだ続く予定です)、彼らが一様に驚いたのは日本の被災者の次のような態度です。
・被災を「現実」として静かに受け止め、パニックになったりしない。
・周りの人たちと助け合い、冷静に、秩序正しく行動する。
・列に並ぶよう誰が指示しなくても、静かに並び、割り込んだりしない。
・泣き叫んだり、取り乱したり、誰かをガーガーと責め立てることもない。
・中には不届き者もいて窃盗など起こったりするが、それらは散発的である。
・大勢で略奪行為に走ったりしないし、ましてや暴動に発展したりすることもない。

無題 [3]

こういった日本人の落ち着きやマナーはどこから来たのでしょうか?どうやって生み出されたのでしょうか?日本人特有の宗教観?自然観?武士道精神?
そんなことを考えながら、「WiLL」最新号(2011年5月号)を読んでましたら、財団法人国土技術研究センター理事長である大石久和氏の論文の中に、ひとつの答えを見つけました。論文のタイトルは【日本人の自然災害史観
日本人は必ず立ち上がる】。
その主張を一言で言うと、「日本人の独特の精神性は、日本の『脆弱国土』と『繰り返し起こる災害』によってはぐくまれたものだ」というものです。

<以下、青い文字は大石氏の原文引用、それ以外は私の要約>
大石氏はまず、日本が「脆弱国土」であり、「厳しい自然条件」であり、他国に比べ、次の9つの大きな「ハンディキャップ」を背負っていると解説します。
****************************************引用
(1)細長い国土
放射状の交通ネットワークを構築しづらい。
(2)四島
海峡が陸地を分断。多数の島嶼部で構成されている。
(3)脊梁(せきりょう)山脈
細長い国土を2000メートル級の山脈が縦貫し、日本海側と太平洋側に二分している。面積の7割が山岳地帯。河川は急勾配で短く、流域面積が小さいため、降雨域に上流から下流まで収まってしまう。そのため、河川の氾濫を引き起こしやすい。
(4)平野
そもそも平野部や可住地が少なく、河口部か山間盆地に狭い平野が分散している。
(5)軟弱地盤
大都市はすべて河口部の軟弱な地盤の上にある。
(6)地震
国土面積は世界の地表面積の0.25%しかないにもかかわらず、マグニチュード4以上の地震の約10%が日本で発生し、マグニチュード6以上では全世界の約20%が日本で発生している。
(7)豪雨
地球総平均の2倍以上の年間降雨量だが、梅雨末期と台風期に集中。そのため水害が多い。
(8)強風
台風の通り道に沿うかのように日本列島が展開しており、直接影響を受ける。
(9)豪雪
国土面積の60%が積雪寒冷地域にある。
****************************************引用終り
つまり、ヨーロッパなどに比べて、日本は耐震や水害に注意を払い、対策をするというハンディを背負っている。そして先人たちは大変な苦労と投資を積み重ねつつ、ここまで国を発展させてきたのであると。
また、大石氏は「災害が歴史を動かしてきた」との持論を展開、その一例として幕末を挙げています。
1855年、安政江戸地震が起こり7400人以上が死亡しましたが、その翌年にも江戸では安政の大風災が起こり、大低気圧による高潮で10万人もの人々が家屋倒壊による轢死や溺死しています。
実はこの時期は江戸以外でも災害が頻発しており、安政伊賀地震、安政東海地震、安政南海地震が続けざまに発生し、三陸・北海道では津波の被害もありました。
これら連続した自然災害が、民衆を言い知れぬ不安に陥れたことは間違いなく、また、日本には「社会が不安定だと災害が起こる」との感覚が元々あったため、知識人も「本当に今のままの政治体制で大丈夫なのか」という感覚をもったのであると。
そういった肌感覚が、明治維新への動きに繋がっていった、災害を受けた民衆の気持ちが明治維新を招き入れたといえる、と大石氏は述べています。

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