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新春企画「象徴の蛇・隠喩の蛇」~3章 原始日本蛇信仰もうひとつの可能性~

Posted By pingu On 2013年1月11日 @ 9:55 PM In 未分類 | No Comments

今回の記事は、新春企画「象徴の蛇・隠喩の蛇」の最終章になります
◆新春企画「象徴の蛇・隠喩の蛇」 ~1章 日本の蛇信仰を探る [1]
◆新春企画「象徴の蛇・隠喩の蛇」~2章 世界の蛇信仰を探る~ [2]
ツタ考シリーズ [3]」もそうでしたが、蛇への造詣が深く、さすがの読み応えです
最終章も驚きの説が飛び出したり、筆者に同化して一緒に考えたりと、あっという間に読んでしまいますよ
では、「象徴の蛇・隠喩の蛇」~3章 原始日本蛇信仰もうひとつの可能性~をお届けします。



初回では吉野民俗学において日本文化の根源に“へび”が関わることをたくさん例証してきました。
前回は世界中に蛇信仰があり人類史に重要な意味があることがわかりました。
ここからは私の考察になりますが吉野説でも語られない重要な図像があります。
それは私たちの国旗「日の丸」です。
日本国の国旗に対して、軽率に発言すべきではありませんが、ひとつの可能性としてお読みください。
私たち日本人は太陽を赤く表現しますが、幼児教育で有名な話ですが世界中の子どもたちの多くが太陽を黄色、もしくはオレンジ色で表現します。言われてみれば太陽が赤く見えることはほとんどありません。ではなぜ日の丸は赤いのでしょうか?
この謎を解くのに『古事記』上巻に八岐大蛇の様子を見てみましょう。
「彼(そ)の目は赤加賀智(あかかがち)の如くして、身一つに八頭八尾(やかしらやお)有り。」と表記され、その註に
「此れに赤加賀知と謂えるは、今の酸漿(ほおずき)なり」と書かれています。
「カガチ」とは「ホオズキ」の古語ですが、ではなぜ、「ホオズキ」は「カガチ(=蛇)」と表現されたのでしょうか。
吉野先生はホオズキの実莢がマムシの三角形の頭部に似通っているからだと推察しています。確かにそっくりの形をしています。
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次にホオズキが民間儀礼になくてはならない供え物であることを思い出してください。
それはお盆です。
お盆とは仏教起源だと思われていますが実は日本古来の祖霊信仰であり、古くは
「藪入り」と呼ばれていました。そのお盆に無くては成らない供え物が「ホオズキ」です。赤い実に魂が宿ると考えられていました。
私は蛇信仰を調べていく中で重要な写真をウィキペディアのページで見つけることになりました。
それは一般的な赤い莢をしたホオズキではなく、赤い莢が枯れて葉脈だけが残り、中の赤い実が葉脈越しに見える美しいホオズキの写真でした。
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        ウィキペディアより
これにより、すべての点が繋がりました。縄文時代から続く日本人の見立ての凝り性に驚くばかりです。
どのように見立てられたのか私の仮説を説明します。
葉脈だけが残った実鞘は脱皮した蛇の頭部に見立てられ、「生まれ変わり」もしくは「死」を表しています。次にその中に「赤いタマ」があります。これを蛇の赤い目、もしくはタマシイ(魂)に見立てていたと推論します。ホオズキの呪物化は三角の形態が蛇の頭に似ていることだけではなく、蛇の脱皮も含めた「見立て」が行われていたと考えられます。
 死んで蛇に戻った祖霊は山(=藪)という他界に住み、お盆になると現世を生きる家族の元にホオズキの実にタマシイ(魂)を宿し、山から迎えられたのではないでしょうか。
現在も行われる民間習俗である「迎え火」の原型があったと考えます。
では、古くから脈脈と繋がる祖霊信仰と蛇信仰はどのようにつながるでしょうか。
「現世の背後に広大にひろがる他界があり、蛇こそ他界を領する主、すなわち祖神であった。人は他界から来て、他界へ帰る。誕生とは蛇から人への、死とは人から蛇への変身であった。 (吉野)」
私は縄文人がホオズキの赤い実に先祖に対する敬愛の気持ちを込めていたと考えます。
次に蛇の目と太陽がどのように関わるのかを考察します。
縄文人の集落には夏至や冬至になるとムラから見える山の頂に日の出がちょうど重なることが多く、風景と太陽を組み合わせた縄文カレンダーがあったのではないかと考えられています。(小林達雄著 「縄文人の世界」から)
そこでこのように考えられないでしょうか。山は蛇であり、連なる峰は蛇体になります。
すると山頂は蛇の頭になります。
だとしたら、蛇の頭(=山頂)から昇る太陽は蛇の目を表すことになります。
 蛇・太陽・山には一貫性のある関係性が見いだせそうです。
ホオズキの「赤いタマ」は蛇の目となり、山は蛇体のため「太陽」を蛇の目に見立て始め
象徴物となり、赤い太陽の「日の丸」に行き着いたのではないでしょうか。
日本においては、蛇信仰と太陽信仰は緩やかに移行したと考えます。
稲作が盛んになると蛇信仰は沈み、天候を司る太陽信仰にシフトしたと想像します。
2000mを超える山頂部で石器が発見されることがあります。山に対する信仰心から縄文人が登山を行っていたと考えられています。
私たち日本人は初日の出や朝日を大切にします。縄文人も見ていたかもしれません。
 山頂に到着すると頂上で見る景色は連なる峰が全方位にわたって取り囲みます。
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連なる峰から昇る太陽は蛇の目を表し、巨大な蛇(大自然)が目を覚ましたと縄文人は考えていたかもしれません。
もし、「日の丸」の始まりが蛇の目だとしたら、それは私たちの祖先が森を敬い、大切にしてきた証しになります。
世界中の古代文明は森を食いつぶし自滅していきました。
残ったのはハゲ山と砂漠と遺跡です。日本には森林がたくさん残っています。
国土の7割が森林であることは世界を見渡せば奇跡的なことです。
「森林がある」ということは縄文時代から続く祖先からの贈り物だと私は考えています。縄文人と現代の我々日本人には確かな繋がりがあり、
私たちの国旗は1万年以上の歴史を持つ縄文由来の国旗となるのではないでしょうか。
今年の初日の出を拝まれた方も多いと思います。縄文人が捉えていたかもしれない「風景の見立て」を想像していただけたら、日本人と自然との関係を再考する機会になるのではないでしょうか。


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[2] ◆新春企画「象徴の蛇・隠喩の蛇」~2章 世界の蛇信仰を探る~: http://web.joumon.jp.net/blog/2013/01/001469.html

[3] ツタ考シリーズ: http://web.joumon.jp.net/blog/2011/11/001335.html

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