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シリーズ「日本と中国は次代で共働できるか?」14~中国の軍事力は脅威か?その1

こんにちわわわちです。
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中国といえば、戦争を繰り返してきた民族のイメージが強いですが、歴史を紐解いていくと、実は外国との戦争の経験はほとんどなく、宋代に築いた軍事増強、特に海軍の強化に見られる抑止力に力を注いだ時代こそあれ、外国からの脅威をほとんど外交でしのぎ、事実上対外戦争を避けることを主眼に国家を維持してきた代表的な国ではないかと考えられます。
中国で費やされる軍事力のほとんどは内戦のためのものであり、農民反乱の鎮圧に費やされてきました。
大国として他国から恐れられていた内実は、アヘン戦争の屈辱的な敗戦で世界的に明らかとなり、日本との、日清戦争や満州事変での敗戦において、中国恐るるに足らずという諸外国の印象を決定的にしました。
中華民国を打倒した中国共産党による現在の中華人民共和国も、冷戦の代理戦争である朝鮮戦争とベトナム戦争に局地的に参戦したのみで、中国軍の実力を評価するほどの成果も出していないのが実情です。
ところが、現在の中国は目覚しい経済発展に歩調をあわせるように軍事増強を進め、アメリカが展開力をアジアに切り替えるほどに世界的に脅威な存在になってきました。
いったい中国で今何が起こっているのか、今回は中国人民解放軍とはいったいどんな軍隊なのか?を探り、来たる経済破局時に、この軍がどう行動するかを推察したいと思います。
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■人民解放軍は何とも奇妙な軍隊である。
まず第一に、人民解放軍は、中華人民共和国という国家が自分を防衛するために作り出した軍隊ではない。既に出来上がっている中華民国という国の中で、圧倒的に優勢な国民党に反抗した共産党という少数派が、生き残るために武器をとって必死に戦った。その戦いの中で自然と育ってきた軍隊だ。すなわち、最初から内戦用に作られた共産党の軍隊なのである。
ところが、いざ中華人民共和国が成立してみると、昨日までの革命軍は一転して、今日からは国防軍の役割を担わなくてはならない。人間だれしも、自分の人生を一夜にして取り替えるわけにはいかないもので、革命軍と国防軍という二重の性格の板ばさみにあって深刻に悩んでいるところである。
第二に、その人脈である。中国のあらゆる組織はみんなそうだが、上は人民解放軍総指令から、下は指揮員の班長に至るまで、単なる上官と部下という関係でなく、伝統的な「師弟」の感覚で縦の人間関係が出来上がっている。バンの関係は軍隊にも例外なく存在しているのである。ゆえに、人事面でどんなに動かそうとしても同じ軍区の内部が精一杯で、見ず知らずの司令員の握っているよその軍区に転出することなど思いもよらない。だから、勢い何時までも同じポストに居ついてしまって、人事が円滑に行かないことになる。
第三に、人民解放軍が土着してしまって地方軍化する傾向にあることである。
事実、各軍区の司令員は中華人民共和国成立以来、文化大革命まで20年の間ほとんど交代していない。そして、彼らの軍区の内部はすっかり直系の部下で固めてしまっているのだから、自然と現地の社会と結びつきが出来上がって、地方軍閥に似通ってくる。そこへ、文化大革命で党組織、行政組織が破壊された。勢いその再建には軍が中心にならざるをえず、文革後の中国では北京政府の統制力が弱まって、地方の軍区の独立性が強まっていった。
■人民解放軍の転機①~朝鮮戦争
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革命軍か、国防軍か、という選択のことを、中国共産党の言葉では「紅」「専」か、と表現する。
「紅」とは、人民開放軍の最高の使命は革命だとする立場のことで、「紅」とは政治優先の考え方である。
対して「専」というのは、一国社会主義国家の建設のために必要な平和を保つために、人民解放軍は近代装備をし、近代戦に備えて外国からの干渉がないようにするのが最高の任務だとする主張で、つまり軍事優先のことである。
従って、紅派は好戦的で対外戦争を恐れないと公言するが、専派はかえって戦争防止に積極的で戦争はどんなことをしても避けなければならないと主張する。
この選択に直面したのが建国後間もない1950年、朝鮮戦争での教訓だった。
朝鮮で初めて経験した近代戦の恐ろしさは、人民解放軍の幹部連中の心に、いつまでも消えない印象を植え付けた。国連軍の圧倒的な火力、猛烈な爆撃、戦車やヘリコプター、段違いの機動力の前に人民解放軍の志願兵はただ肉弾を投げ出すしかすべがなかった。幸い朝鮮半島は幅が狭くて戦線が短く、山岳地帯が大部分だったから、人民解放軍の伝統の坑道戦法で縦横無尽にトンネルを掘って、何とか国連軍を食い止めることには成功したものの、まさに天文学的な人命の損失を受けねばならなかった。
この教訓から専派が優勢となり、ソ連に歩み寄り、武器の購入を進め、近代化の道を歩むことになる。
余談だが、大躍進政策の失敗で失脚した毛沢東が復権をねらって起こしたクーデターが文化大革命であり、人民解放軍も毛沢東主導のもと専派から紅派へと転換した。人民解放軍の近代化の遅れはこの文革の影響が大きいと思われる。
■人民解放軍の転機②~湾岸戦争、イラク戦争
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湾岸戦争では米国を主体とする多国籍軍はクェートを占拠していたイラク軍の大部隊を文字通り、あっという間に撃退した。イラク戦争ではイラク国内に布陣したサダム・フセイン政権軍の精強部隊を、米軍は空と陸からの攻撃で、これまたスピーディーに撃破してしまった。中国はこの2つの大作戦をそれこそ固唾を呑んで見つめていたのである。
そして、宇宙利用の決定的重要性を認識した。
中国が驚嘆したのは、アメリカ側の宇宙を利用しての軍事目的の情報収集、伝達、利用だった。人工衛星により、誘導ミサイルの精度を高め、砂嵐の中でも地上部隊の正しい方向への進撃を可能にし、人工衛星での偵察は大地の磁場を測定してミサイルの飛行を正確にし、気象情報も軍事には決定的に重要となることを知った。
その結果、それまでの「近代高度技術条件下での局地戦争」という戦略用語を「情報化条件下での局地戦争」へと変え、自国が遂行するかもしれない戦争の概念を覆した。
2007年に実行した衛生破壊兵器(ASAT)の実験はそれを傍証するものである。
■人民解放軍の仮想敵国は?
いうまでもなくアメリカである。
中国の台頭が進むにつれ、中国の軍事プレゼンス(前方展開戦力)の増大が目立ち、日米との間で緊張する場面が増えてきた。2010年、尖閣諸島沖で起きた日本の巡視船と中国の漁船の衝突事件は、諸外国が中国の軍事力の増大に懸念を強めてきた国際環境のもとで発生した。日中関係は悪化し、交流中止だけでなく、中国がレアアース禁輸を行うまでにいたった。しかも、この年には相前後して、中国海軍艦艇が宮古水道を通過したほか、黄海、東シナ海、南シナ海などで中国や日米韓それぞれが軍事演習を行い、緊張が高まった。
これらは何を意味するものか?
中国共産党首脳は台湾の併合を国家の「核心的利益」と呼ぶほど重視してきた。台湾側が独立を宣言したり、外国勢力が介入した場合には軍事力で台湾を制圧することを公言している。
中国がいざ軍事力の行使という道を選んだとき、米軍介入という可能性に対して中国にとっての最善の展開は敏速に軍事力で台湾を攻略し、あるいは台湾を服従させ、その間に米軍の介入を許さないままでおくということである。
人民解放軍は米国の攻撃の出鼻をくじき、米軍の軍事力を機能させず、もしくは遅延させるための戦略としてアメリカの人工衛星を破壊し、サイバー攻撃により中枢部を破壊することをもくろんでいる。事実、人民解放軍は2007年、2008年の2回に渡って、アメリカ側の地球観測衛星ランドサット7号のコンピューターシステムを標的とするサイバー攻撃を仕掛けてきた。「サイバー攻撃に関する限り米中戦争はもう始まりました。」とアメリカの中国軍事力研究員が明言している。
つづく

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