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「日本人の起源」を識る~中間まとめ

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(NHKハイビジョンオンデマンドのタイトルから借用しました。)
読者の皆さま、大変長らくお待たせいたしました!!
シリーズ『日本人はいつモノを考え始めるのか』が終了し、いよいよ昨年11月で中断していたシリーズ『「日本人の起源」を識る』を再開します
なぜ日本人の起源を追求するのか? 何の目的でその追求が役に立つのか? シリーズ冒頭のプロローグ [1]から抜粋しておきます。

この3月の東日本大震災以降、日本はまさに未曾有の状況になってきています。この未曾有の状況にマスコミも政治も学者のどこからも答えが出てこない、さらに状況の何の歯止めにもならないことが日に日に白日の下になっていきます。
しかし状況がここまでひどいにも関わらず、大衆はいまだ大きな動きは見せず、むしろ諦観した冷めたような意識が蔓延しています。考えない日本、お上任せの日本、いよいよここまで来たりと嘆きたくなるところですが、私もその一員、同様にどう動いていいのかも判らず、日常を過ごす状況です。
これは他の国から見れば極めて異常な事のように映りますが、我々日本人から見ればこれが日本人の民族性と思えてしまうのです。(中略)
そしてその平和・共同志向の民族性は決して否定すべきものではなく、変える必要もないものだと、多くの人の意識の中でここに来て整合してきているのではないでしょうか。それが日本人の民族性であり、それが何か? 何故にそうなったのか?・・・それを今誰もが求め始めているのだと思います。それを追求するには、形成してきた有史以前の長い歴史を紐解く必要があると思うのです。日本人の可能性をあらゆる観点から導き出す、その一つとして日本人の起源を扱っていきたい~このシリーズの目的として最初にそう定めておきたいと思います。
『「日本人の起源」を識る~プロローグ』 [1]2011年09月27日)

ではシリーズの再開にあたり、これまでの記事をざっと振り返りましょう♪
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ありがとうございます
  


これまでの記事(概要)
◆『「日本人の起源」を識る~1.日本海の形成によって始まる縄文文化』 [4]
5万年前~2千年前までの植生、気候、地形などについて調べた結果、日本列島では大陸とつながっていた期間とそうでない期間で、気候や植生に大きな変化が起きていたことが明らかになりました。

1.日本列島は33,000年前以降は大陸と繋がっており海流の影響は少なくて乾燥して針葉樹林に覆われていた。
2.17,000年前:対馬海峡ができる(※冬は氷橋ができ往来ができる)
3.14,000年前:宗谷海峡ができる→日本海に生物が繁殖
4.12,500年前:玄海灘が開通→日本海に暖流が流れ込み、日本海側は温暖で湿潤な気候に変化した
5.その結果、落葉広葉樹林が形成され、大型動物が絶滅、採取生産が可能になる。

[5]
◆『「日本人の起源」を識る~2.前縄文時代の解明(狩猟・移動の民C3)』 [6]
日本列島に最初に渡来したといわれる、C3系統の民族について、その素性を明らかにしました。

1.C3系統の人々は、2万5千年前から2万年前頃の寒冷期に、大型動物を追ってサハリンを南下し、北海道上部から日本にやって来て、その後、全国に拡散した。
2.狩猟、移住生活に特化した彼らは、旧石器時代としては最も優れた武器である細石刃石器を生み出した。
3.縄文時代(D2系統の流入)以降、彼らはしだいに北上、東北・北海道へ移動し、その文化はアイヌ民族に受け継がれた。

[7]
エスキモー [8]
◆『「日本人の起源」を識る~3.縄文人を作った採集の民 D2』 [9] 
狩猟部族のC系統に続き、日本人の主流を成すD2系統の起源を解明しました。

1.D系統はインドから温暖樹林帯に沿って移動(適応)してきた採集系の民。
2.1万3千年前の寒冷期に、モンゴル高原から(寒冷化に伴って)南下する森林帯を追って、日本へやってきたD2が縄文人。
3.D2系統の人々は、日本に土器と定住をもたらした。

[10]
(C3系統とD2系統の移動ルート)
◆『「日本人の起源」を識る~4.日本語の源流はスンダランド発・南方言語。太平洋におけるC系、O系の塗り重ね構造から明らかになる!』 [11]
ここでは日本人の起源を言語からたどりました。そして、南方C系統の言語と文化が1.2万年前に日本へ伝えられ、D2系統の文化と共に縄文人の基層となったことが明らかになりました。

1.C系統母音言語は、スンダランドから太平洋東部や日本へ拡散した。
2.O系統・子音言語は、台湾・フィリピンから東方へ拡散した。
3.その結果、ポリネシアや日本など周辺地域では、C系統の音韻体系が(今日でも)濃厚に残存している。

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(太平洋地域の言語拡散)
今後の予定
これまでの記事から、遺伝子、言語、移動経路を含めて、日本人の主流は南方起源であることが、明らかになってきました。そこで今後は、その周辺部分の探索を進め、日本人の起源の全体像をさらに明らかにしていきたいと考えています。
◇『「日本人の起源」を識る~5.沖縄(沖縄人は日本人の基層か?)』
沖縄には、D2とC1が並存しています。とは言え南方海洋民族であるC1は4%に過ぎず、D2は逆に本州を上回る40%に上ります。一方、C1系統の人々は、日本にしか存在していない点も特徴的です。彼らは少数ながら、日本人の気質にもっとも影響を与えたのではないでしょうか? さらに沖縄とアイヌが共通祖先だとする説を紹介し、その真偽の見通しを付けておきたいと考えています。
◇『「日本人の起源」を識る~6.アイヌ民族の謎(縄文人D2の末裔か、もしくは狩猟系C3の末裔か?)』
アイヌはこれまでも当ブログで追求して来ましたが、結局上記の疑問に結論を得ていません。一番の理由はアイヌ語と日本語が別の文法であり、アイヌ語は日本語より歴史的には遡るとされている抱合語である事が問題を難しくしています。
縄文人とアイヌ人は別系統なのか繋がっているのか? これを明らかにする事でこのシリーズの最大の難関を越える予感がします。
◇『「日本人の起源」を識る~7.江南人は、縄文文化と言えるのか?(O2系統が残した足跡)』
日本人の起源は多様な渡来民の終着点、という見方ができます。その意味で江南人が与えた日本への影響を固定しておく必要があります。O2bが日本と朝鮮に多く、中国にはほとんどいないのはなぜか、という疑問も残されています。
では、シリーズ『「日本人の起源」を識る』の後編に、どうぞご期待下さい 😀

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