- 縄文と古代文明を探求しよう! - http://web.joumon.jp.net/blog -

縄文探求シリーズ【縄文時代の道具】~縄文土器を総括する(前編)~

Posted By staff On 2010年10月9日 @ 9:47 AM In 縄文土器・土偶 | 5 Comments

こんにちは♪
前回の「卓越した漁猟技術 」 [1]では、縄文人が現代人もビックリの本格的な漁猟を行っていたことがわかりました。
今回は、「縄文時代」の名前の由来にもなっている、縄文土器についてです。
この縄文ブログでも何回か土器について扱われていますが、今回は、縄文土器の変遷をおおまかに辿る中で、私たちのチームで出てきた疑問(たぶん皆さんも疑問に思うはず)を扱い、縄文土器を総括したいと思います。
縄文時代は土器の形式により以下のような6期に区分されています。
10000年~12500年前 縄文草創期
7000年~10000年前  縄文早期
4500年~6000年前  縄文前期
3500年~4500年前  縄文中期
3000年~3500年前  縄文後期
2300年~3000年前  縄文晩期
2300年前~       弥生時代

続きを読む前に応援クリックお願いします
Blog Ranking [2] にほんブログ村 歴史ブログへ [3]


土器の編年は、
「縄文時代はなんで土器で区分されているの?」 [4]
をご覧ください。
 
また、「比較文化史の試み」 [5]さんのサイトにも詳しく書かれていますので、もっと詳しく知りたい方はどうぞ♪
おかえりなさいませ :D
縄文時代といっても草創期の土器は縄文ではなく、隆線文や、豆粒文だったんですね。
草創期~早期は先が尖った、尖底土器が全国的に分布していたようです。(平底土器の数は少なかったそうです)
ここでクエッション
Q1.なんで平底よりも作るのが難しそうな尖底土器が前に出てくるの? 
これは、尖底土器が何に使われていたのか?を押さえる必要があります。
 縄文時代の主食は植物(堅果類)ですが、前期まではドングリを主食にしていました。
(参考「【縄文人の食べ物】縄文人は何を食べていた?」) [1]
ドングリは食べるのに灰汁(タンニン)抜きが必要だったため、尖底土器はその灰汁抜きに用いられていたと考えられています(平底よりも熱効率がよく、早くお湯が沸騰するそうです)。
 「尖底土器は、地面に埋めて固定するために先が尖ってるんだ」と思っている方が多いと思いますが(自分もその内の一人でしたw)、それだと平底にして周囲から熱を加えるのと同じになり、わざわざ先を尖らす必要性が薄くなってしまう上、尖っている部分にも加熱された跡があることに対する説明がつきません。尖底土器は、石を五徳のようにして、そこに土器を浮かせるぐらいで固定していたという説(松久保)が有力です。
[6]
Q2.なんで前期には尖底土器がほとんど影をひそめてしまったの?
パッと考えると、「平底にしたほうが安定感があるからでしょ」と思いそうですが、それではQ1の答えと矛盾してしまいます。熱効率がいいからわざわざ先を尖らせていたんだし、平底にしようと思えば、簡単にできたはずです。
 前期になると、植生が変わり、灰汁抜きをせずとも食べられる「クリ」がたくさん採れるようになりました。前期~中期の遺跡である三内丸山遺跡ではクリが栽培されていたことが分かっています。(この頃からクリの栽培を裏付けるように、出土するクリの大きさが野生ではできない、大きいサイズのものになっているようです)先を尖らせる必要がなくなったから、平底にシフトしていったんですね。
Q3.そもそもなんで縄文、縄の文様がついてるの?
でました。そもそも論w
すぐに答えは見つかると踏んでいましたが、そうはいきませんでした。
縄目に何か願い的な特別な意味があるの?
それとも、単なる思いつき?
全国的に縄文のついた土器が見つかっているので、単なる思いつきではないことは明らかです。土器の制作方法に答えのヒントがあるかもしれません。

≪土器の制作方法≫
ロクロを使わない原始的な土器の制作方法には3つあり、時系列で並べると以下のようになります。
紐作り法(輪積み法・巻き上げ法)
細長く紐状に伸ばした粘土紐を使って成形する方法。縄文土器のほとんどが、蛇がとぐろを巻くようにぐるぐると巻き上げていく巻き上げ法で作られている。
手づくね法
粘土の塊を指で摘み上げて成形する方法。草創期の平底土器や、小型の袖珍土器と呼ばれるミニチュア土器の類、尖底土器の底の尖った部分がこの方法で作られている。
型起こし法
籠などの型の内側に粘土を張り付けて成形した後、型を抜いて作る方法。後から模様をつけなくても、型を抜いただけで縄文の模様が付くため、縄目文様の起源かと
思いたくなるが、縄文時代の終わりに近い時期のものしか発掘されていないため、起源ではないとされている。

うーん、③が起源だったら答えとしてはスッキリだったんですけどね。
でも、この縄文土器、なにも縄文が模様の起源ではないことをお忘れではないでしょうか?
起源は、隆線文、豆粒文です。さらに模様のつけ方にはさまざまなバリエーションがあり、全国的に共通はしていますが、縄文はその中の一部にすぎません。
[7]
[8]
縄文は縄を巻いた棒を転がしてつけられたということが分かっています。
その他にも、貝殻や、竹、オオバコ、木を削ったものなど、とても種類が豊富です。
縄文は、土器ができる以前に縄で籠を作っていた為、形の似ている籠の縄を使って、土器を籠っぽく飾ったためでしょうか?
「滑り止めとして付けた」という説(松久保)や、「縄文土器のはなし 甲野 勇著」では、「もちろん装飾的の意味もあろうが、土器の形をつくるときに、粘土をしめて密着させるには、表面の滑らかな器具をつかって押し付けるよりも、撚紐や刻みをいれた棒のような、表面に凸凹の多い道具を使った方が、一層効き目があるからではないだろうか」という民芸派陶器の巨匠の説が紹介されていて、どちらも有力な説に思えます。
作り方の方法(種類)はわかりました。
ここでまた、クエッション。
Q4.誰が、いつ作っていたの?
土器作り職人はいたのでしょうか?男か女か?
これは、「土器は男性が作ったか、女性が作ったか?」 [9]でも議論されていて、台湾のヤミ族の例や、1mを超えるサイズの土器もあることから男が有力であるとされていますが、(「縄文土器の技法」可児通宏 同成社)に、男が有力であるという根拠について、もう一つ興味深い点が挙げられていました。
 それは、「土器がいつ作られていたか」という点です。
土器は季節に関係なく、いつでも作られていたといっている研究者は一人もおらず、季節は初夏から夏にかけての時期、遅くとも初秋までの秋までの間というのが著者の説です。
夏場の食糧は、女や子供にもできる定置漁具を使い川魚などを対象にした内陸漁労であると考えられるため、男は比較的暇、というか、土器作りをする余裕ができます。台湾のヤミ族と同じように、気候の安定した、比較的暇な時期を選んで土器作りを行っていたと考えられています。
読んでいただきありがとうございます
長くなってしまいそうなので、ここらへんで。
後編は、中期~後期に焦点を当てて、総括したいと思います
【参考文献】
・「縄文 謎の扉を開く」縄文文化輝く会 大久保秀胤 2009年 冨山房
・「縄文土器の技法」可児通宏 2005年 同成社 
・「縄文土器のはなし」甲野勇 1995年 学生社


Article printed from 縄文と古代文明を探求しよう!: http://web.joumon.jp.net/blog

URL to article: http://web.joumon.jp.net/blog/2010/10/1155.html

URLs in this post:

[1] 「卓越した漁猟技術 」: http://blog.kodai-bunmei.net/blog/2010/09/001148.html

[2] Image: http://blog.with2.net/link.php?538666

[3] Image: http://history.blogmura.com/in/023841.html

[4] 「縄文時代はなんで土器で区分されているの?」: http://blog.kodai-bunmei.net/blog/2007/01/000108.html

[5] 「比較文化史の試み」: http://www2.ttcn.ne.jp/kobuta/bunnka2/b059.htm

[6] Image: http://blog.kodai-bunmei.net/blog/%E5%B0%96%E5%BA%95%E5%9C%9F%E5%99%A8%E3%81%AE%E4%BD%BF%E7%94%A8%E6%96%B9%E6%B3%952.html

[7] Image: http://blog.kodai-bunmei.net/blog/%E6%96%BD%E6%96%87%E5%8E%9F%E4%BD%93.html

[8] Image: http://blog.kodai-bunmei.net/blog/%E6%96%BD%E6%96%87%E3%81%AE%E3%81%84%E3%82%8D%E3%81%84%E3%82%8D.html

[9] 「土器は男性が作ったか、女性が作ったか?」: http://blog.kodai-bunmei.net/blog/2007/11/000384.html

Copyright © 2014 縄文と古代文明を探求しよう!. All rights reserved.