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シリーズ:『イスラムを探る』 第11回 イスラムの可能性は?

シリーズ『イスラムを探る』今回で11回目です。
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日本と同じくらい集団性・共同性が高いとしたら、それはイスラムではないか?だとしたら、市場社会崩壊後、混乱する国際情勢の中で秩序維持の可能性がある(協働できる)のはイスラム世界ではないのかという仮説・問題意識
に立ち戻り、いままで探索してきたイスラムの世界と日本の世界を再度、検証してみたいと思います。
◆下記はいままでのシリーズ:『イスラムを探る』のみなさんの記事です。
 『イスラムを探る』 プロローグ [1]
 第1回 イスラム社会ってどんな社会? [2]
 第2回 イスラム教誕生前夜の状況 [3]
 第3回 ムハンマド登場と急拡大したイスラム教 [4]
 第4回 急激な市場化の中で生まれたイスラム [5]
 第5回 イスラムの経済原理 [6]
 第6回 イスラム共同体:規範と貨幣により結合された超共同体 [7]
 第7回 イスラム帝国の拡大と分裂 [8]
 第8回 イスラム教とユダヤ教、キリスト教を分けたもの [9]
 第9回 イスラム法は共同体の充足規範体系 [10]
 第10回 科学的思考と知識の追求を基本とする「イスラム科学」の歴史 [11]
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イスラム思想と日本の不文律の規範には共通点がかなりあり、イスラム法に則った彼らの生活スタイルや歴史ある文化、思想は、日本の本源性に通じる部分があると感じています。欧米主導の近代国家モデルに代わる、次代の社会には、市場崩壊時の自分第一(→秩序崩壊へ)ではなく、集団性・共同性・充足性・相手第一の価値観、現実直視(→秩序維持)が必要となってくるはずですが、イスラムの世界にそれがどのようになっているのか?本源性・協働性が存在し、仲間第一・集団第一という共認形成ができるのか?が、焦点となると思います。
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●イスラム諸国は集団の秩序維持は可能か?
『イスラムを探る』 プロローグ [1]によると
■イスラムと日本の可能性として、

イスラムそして日本の可能性について、西洋発のキリスト教と市場が「騙しの方法論」で拡大し世界中を欺いてきたのに対して、イスラムは社会秩序や規範を組み込みながら市場を運営してきました。その根本の部分は何だったのか?そこを振り返りながら、日本との類似性・違いを含め可能性を探りまとめたいと思います。

とあります。また、日本とイスラムの共通点は、下記の記事にまとめて記載があり、よくわかりますので読んでもて下さい。
『イスラムと日本の共通点(復讐の叫び)』 [14]によると
清潔・信義・礼節・救済と喜捨・尚武は日本には過去から存在し、イスラム世界も同様な発想をもっていることが伺えます。その他、イスラム文化は、融合文化で、イスラム以外の異域の文化や宗教・学問などを取り入れ、それらを受容し、改良して発展させてゆくという文化であることがいままでの調査でわかってきました。また、経済原理を見ても、集団内部のネットワークを適用して、イスラム交易ネットワークが対外的な市場社会の取引に関する一定のルールを形成し、モンゴル帝国まで引き継がれた歴史が存在します。また、婚姻制に関しては、部族集団の母系集団から発展した一夫多妻にみられる相対的な原始的生活風習がのこっていて、性規範や女性に対する思想もはっきりしています。欧米による覇権国家支配(騙しの論理での支配)への抵抗と免疫力が強く、砂漠地帯で特筆して生産手段をもたない貧しさ故の本源性を強く残し、アッラーフの元には、強い秩序維持、秩序形成力を持つ民族であると思われます。彼らが目指していた社会は、部族集団の団結心と連帯意識を母胎とした超部族意識、民族統合であり、イスラム教の共同体の規範体系は、集団・社会での充足規範とも云えると私は思います。
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しかし、砂漠地帯ゆえの貧困の圧力が強く、特筆した農耕などの生産手段を持たず、交易による生活基盤を形成していた時代から、私権・市場社会が押し寄せる潮流の中で、イスラム世界の拡大が進んでいくわけですが、共同体の統合を外の世界との取引で秩序維持をしてゆくようになっていきます。これは、何を意味するのでしょうか?
押し寄せる私権・市場社会の集団の構成員の個々の自我肥大、それによる部族集団の団結心や連帯感、充足規範の崩壊・分派独立・拡散を、ムハンマド以降のイスラム思想をもった人々は、集団統合を、イスラム以外の外部世界との取引や闘争によって秩序維持しようとしました。それは、好意的に接するものへの寛容性(逆に言えば税金の収奪の相手としての温存・貧困を解消してくれる相手への寛容性)、敵視したものに対するジハードと呼ばれる掠奪の正当化(他者否定と自己正当化)、アッラーフの元には、全て平等(逆に言えば選民思想)とアッラーフとクルアーン(コーラン)という超越観念の存在と現実社会の実現思考との断層を解消する観念化(逆言えば、倒錯観念化と自己正当化)であります。
本源的な集団の残存度⇔解体度に応じて、同じように見える一神教でもキリスト・ユダヤ教とは一線を画すと考えられ、日本人の心性にイスラム教は意外にも近いように思う反面、砂漠という厳しい外圧に晒され、かつ、交易という市場化の中の私権・自我収束による本源性の崩壊を止揚する唯一絶対神の超越観念と終末思想、創造論や彼らの強い闘争性は、日本の様相と異にするように思えます。
イスラムの世界はこのような二面性があること、また、欧米によるイスラム世界への掠奪を正当化するのためにオブラートが幾重にもかかっているがゆえに、日本では、イスラムの本質が見えないという事態になっているのであろうと思われます。
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しかし、これだけ、日本とイスラムの共通点が存在しているということは、立脚点の違いや観念の使い方の違いがあれども、塗り重ねは可能ともいえます。
また、イスラムは、日本人の生活をこのように好意的に評価しています。
『イスラムは日本に彼らの理想を見る(狒狒) [9] 
イスラム国家でもない日本で、イスラム教の教えが最もよく実践されており、イスラム国家でこれらの反対が実践されていることを恥ずかしく感じたというもの。
とあります。イスラムの価値観は、日本人が持つ共同体的価値観に近く、日本でイスラムの教えが実現されているという見方です。イスラム思想の存在しない日本での現実社会が、イスラムの目指す社会と同じという味方です。有事の際、その後も秩序維持の可能な民俗は、やはり、集団原理に根ざした統合度の高い民族であり、「脱貧困度」「脱覇権国家度」「本源度」から見てもイスラム諸国は日本と同じく秩序収束の可能性がある民族と考えられます。
イスラムの理想社会が日本であるならば、日本から学ぶことも多いだろうと思います。また、逆に、私達、日本人が、イスラム諸国から学ぶ必要がある部分(騙しに対する闘争性や私権・市場社会を生き抜いてきた現実判断の出所と集団を超えた思考と異域への寛容性と集団外の経済・学問を学び、発展させ、各種ネットワークを構築する手法など)も存在しています。
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 問題は、アッラー・クルアーンという超越観念がどのような扱いであるか?です。集団内、他民族の集団間の統合を担うアッラー・コーランの超越観念化⇒社会統合観念?日本でいう八百万の神的位置づけ?お天道様のような扱い?いろいろと意見がだされました。しかし、その中で特定できるのは、イスラム思想は、集団性・共同性が第一となって生まれた観念であること。その超越観念が違えども、根本となる意識は、日本の本源性と同じと判断できるので、部分的に観念の塗り替え・塗り重ねと現実判断が必要と思われますが、協働の可能性はあると思われます。
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世界全体が秩序化され、統合されていくことが必要とされる時代が近々来るであろうと思われます。イスラム世界と日本が協働できるか?どうか?は、その時、試され、日本やイスラム諸国の秩序形成の可能性は否定できない、むしろ、高いといえると思います。それは、両者融合して新しい社会を造ってゆくことになるのではなかろうか?と思われます。
また、このシリーズの調査で感じたことは、学校で教わる教育内容や新聞やマスコミ、マスメディアで報道される事象以上に理解されていなかったということです。事実をしっかりと見極めていきたいところです。
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神戸ムスリムモスク(日本に現存する最古のモスク)
写真は、B級フォトサロン「神戸の街角から」 [15]からお借りしました。

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