「ポスト近代市場の可能性を日本史に探る」シリーズが終わり、みなさんの追求の集大成として”市場史年表”にまとめてみました。年表の説明に入る前に古代から江戸の鎖国までの簡単な流れをおさらいしておきます。
日本古代の贈与NWを基盤に、大陸からの稲作(出挙)を媒介とした神社NWを形成する。
この頃になると、渡来豪族の多元外交から、大王家による外交の一元化が図られる、これが遣隋使、遣唐使である。このようにして大王家は大陸文化の導入を図るものの、大衆は選択的受容に止まったままで大衆共認までには至らなかった(律令制なども定着しなかった)。
しかし、奈良・平安と時を経るにつれ大陸の外圧が低下すると、受領や密教・修験道NWを基盤として平安京に富の集積が始まる。そして、この富を目当てに民間市場も発達することになる。
このように国家による市場拡大が進んでいくが、商業を支配していた寺社勢力から金貸しが台頭していき、更には、西洋の商人=武器商人が暗躍することになる。
江戸時代になると、このような重商主義となりつつある市場を制御する為、鎖国を行い西洋商人の締め出し、貨幣統合によって市場を管理するようになり江戸幕府が確立していく。
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日本における市場史年表です。
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『ポスト近代市場の可能性を日本史に探るシリーズ』長くなりましたが、お付き合い頂きありがとうございます。
序:「ポスト近代市場の可能性を日本史に探る」をはじめます [3] |
①古代市場の萌芽は贈与ネットワークにあった前編 [4]・後編 [5] |
②古代日本外交史 ”主体的”外交への転換 [6] |
③神道の広まりが租税を可能にし、市場発達の基盤を作った [7] |
④日本古代市場の魁=修験道ネットワーク [8] |
⑤宮廷サロンをつくった商人とそれを支えた受領 [9] |
⑥中央集権から封建制へ~武士の台頭 [10] |
⑦中央集権から封建制へ~農民の武装化と地方市場の拡大 [11] |
⑧中世市場をリードした「堺」の武器と茶の湯 [12] |
⑨幕藩体制→参勤交代制が可能にした江戸時代の経済発展 [13] |
⑩鎖国とはなんだったのか?~鎖国政策の原点、秀吉のバテレン追放令を読む [14] |
⑪鎖国が生み出した江戸の自給自足経済、自然循環型社会 [15] |
⑫幕藩体制の崩壊と開国~カネを哂うものはカネに泣く~ [16] |
⑬鉱山開発と三貨制度~家康はどのようにして近世管理市場を構築しえたのか? [17] |
⑭ポスト近代市場の可能性を日本史に探る~通史的まとめ(前編) [18] |
⑮ポスト近代市場の可能性を日本史に探る~通史的まとめ(後編) [19] |
贈与論 新装版/マルセル・モース/勁草書房 | |
鉄砲伝来の日本史/宇田川武久/吉川弘文館 | |
スペイン フェリペⅡ世の生涯/西川 和子/彩流社 | |
詳説日本史研究/五味 文彦等/山川出版社 | |
金貸しの日本史/水上 宏明/新潮新書 | |
文明としての江戸システム/鬼頭 宏/講談社学術文庫 | |
鉄砲伝来の日本史/宇田川武久/吉川弘文館 | |
日本の歴史をよみなおす(全)/網野 善彦/ちくま学芸文庫 | |
富国有徳論/川勝 平太/中公文庫 | |
日本近世の起源~戦国乱世から徳川の平和へ/渡辺 京二/洋泉社 | |
はじめて書かれる地球日本史(84)日本経済圏の出現(1) [20] | |
学校ってどうなってるの?35~江戸期の三貨制度と算盤~ [21] | |
貨幣略史年表(日本銀行金融研究所) [22] | |
市場の肯定的捉え方 [23] |