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「日本人は闘えるのか?」③~次代の実現基盤(「老舗企業大国」日本)

「日本人は闘えるのか?」②~日本人の特性(外国人から見た日本と日本人) [1]
日本人は闘えるのか?シリーズも中盤にさしかかりました。前回は、日本人の意識構造について、活発なコメントも寄せられ白熱しました。今回は、日本の企業を通して可能性を探りたいと思います。
言うまでもなく、現代社会の企業の多くは市場原理に基づいた利益第一の集団です。そのような厳しい競争原理の中で、日本は、世界から比較して”老舗”と呼ばれる企業が数多く生き残っています。
老舗企業の技術革新・・・「老舗企業大国」日本(1/3) [2]より(るいネット [3]

■1.「老舗企業大国」日本■
 我が国は、世界で群を抜く「老舗企業大国」である。創業百年を超える老舗企業が、個人商店や小企業を含めると、10万社以上あると推定されている。その中には飛鳥時代、西暦578年に設立された創業1400年の建築会社「金剛組」だとか、創業1300年になろうかという北陸の旅館、1200年以上の京都の和菓子屋など、千年以上の老舗企業も少なくない。
 ヨーロッパには200年以上の会社のみ入会を許される「エノキアン協会」があるが、最古のメンバーは1369年に設立されたイタリアの金細工メーカーである。しかし、これよりも古い会社や店が、我が国には百社近くもある。…(中略)…
 さらに興味深いのは、百年以上の老舗企業10万社のうち、4万5千社ほどが製造業であり、その中には伝統的な工芸品分野ばかりでなく、携帯電話やコンピュータなどの情報技術分野や、バイオテクノロジーなど先端技術分野で活躍している企業も少なくないことだ。

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※金剛組
byさーね
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■2.髪の毛の1/8の細さの金の極細線■
 そんな企業の一つが東京の田中貴金属工業である。…(中略)… 現在の代表製品の一つが、金の極細線。最も細いもので直径0.01ミリ、髪の毛の1/8ほどの細さのものが作られている。たとえば携帯電話でバイブレーションするものは、大きさ4ミリほどの超小型モーターが使われているが、そのブラシに極細線が使われている。
…(中略)…
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 同社ではさらに、プラチナでガン細胞の成長を抑えるとか、銀にカドミウムを加えて接点としての性能をあげる、など、貴金属の新しい特性を引き出す革新的な研究開発を続けている。 同社の技術開発部門長の本郷茂人(まさひと)氏はこう語る。 貴金属のほうから、そういう特性を世に出してくれ、出してくれって言っているようにな気がするんですよ。われわれが特性を探し出すんじゃなくてね。世の中に出してくれ、出してくれと言っているものを出してやるように努力するのが、われわれの仕事じゃないかと思うんです。

■3.金箔は人の心を読む■
 携帯電話の中で、折り曲げ可能なフレキシブル・プリント基板配線用の銅箔では、日本国内のライバル1社と合わせて世界シェアの9割を占めるのが、京都の「福田金属箔粉工業」である。
 設立は元禄13(1700)年、赤穂浪士の討ち入りの2年前に、京都・室町で金銀箔粉の商いを始めた時に遡る。…(中略)…
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…(中略)…極細線と同様、髪の毛の1/8ほどの薄さに引き延ばす。…(中略)…伝統的な職人の間では、次のように言われている。
 金箔は人の心を読む。機嫌の悪いときには言うことを聞かない。時には嘲笑(あざわら)ったりする。金箔は生きているから。

■4.「お米の持つ力を近代の日本人は引き出してこなかった」■
 香川県の勇心酒造株式会社は、安政元(1854)年創業で、すでに150年以上の歴史を持つ。現在の当主・徳山孝氏は5代目である。
 徳山氏が30歳の若さで、勇心酒造を継いだ時、清酒業界はすでに斜陽で、老舗の造り酒屋が次々と倒れていった。東大大学院で酵母を研究した徳山氏はコメと醸造・発酵技術を結びつけて付加価値の高い商品を作ろうと考えた。
 お米の場合、清酒や味噌、醤油、酢、みりん、あるいは焼酎、甘酒といった非常に優れた醸造・発酵・抽出の技術があるんですけれども、明治以降、新しい用途開発がまったくと言っていいほどなされていなかった。つまり、近代に入ってから、お米の持つ力を日本人は引き出してこなかっ た。・・・ 
近代科学が行き詰まっているいまだからこそ、米作りのような農業と醸造・発酵の技術とをもう一度リンクさせ、付加価値の高いものを作ろうと、お米の研究に取りかかったのです。
 …(中略)…むかし米が湿布薬に使われていたという古文書の記述をヒントに、ようやく昭和63(1988)年にライスパワーエキス入りの入浴剤を開発して売り出したところ、たちまち年間3百万本のヒット商品に成長した。
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以上、老舗企業の技術革新・・・「老舗企業大国」日本(1/3) [2]より抜粋
これら老舗企業のあり方から考えると、「日本人は闘えるのか?」②~日本人の特性(外国人から見た日本と日本人) [1]のmrranさんのコメントにヒントになります。
その序列を皆(支配者も被支配者も)が社会的役割として受入れている、しかもその上で皆が皆の為になることを喜び(=活力源)とした社会システムがあったということです。
老舗企業は、市場が利益第一志向へと変遷していく中でも、それだけに収束するのではなく、社会的な役割=期待も常に掴み、あくなき追求心と心遣いをもって応えてきたのではないかと感じます。
・金剛組は、人々の習慣,拠り所である仏教の社寺建築を通して、日本の木造建築を昇華させてきた。
(金剛組は、バブル期の負債で一時期倒産の危機に晒されましたが、現在は、本業の宮大工に立ち戻り再起されています)
・田中貴金属工業や福田金属箔粉工業は、先を予測し、先端の携帯電話やIT機器の実現へ貢献した。
・勇心酒造は、自然の力の必要性を改めて示してくれた。

我々は、老舗企業と聞くと、歴史と追求の深さを感じることがありますが、客や人々,社会に対する同化度の深さと同時に、様々な社会問題に対してもアンテナを立て、それに応えるには?と常に考えているからではないでしょうか。勇心酒造のライスパワーという商品などはその好例です。
このような基盤が、これからの時代に日本人の闘う基盤になりえるのではないでしょうか。
>かくして、男女を包摂した実現期待⇒認識収束の潮流は、当然、充足発の実現方針(⇒答えを出せる新理論)へと収束してゆく。
潮流9:経済破局を突き抜けてゆく充足・安定・保守の潮流 [6]より
多かれ少なかれこのような”老舗企業”を残してきた日本は、経済破局=市場原理崩壊という状況の中で、利益第一という枠を超えて、実現方針に向える基盤があると言えるのではないでしょうか。

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