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天皇制と道教の関係とは?~支配層の思惑~

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みなさんこんばんは☆
前回の記事、『日本になぜ天皇制が確立されたのか?』 [1]に引き続いて、
今回は天皇制と道教の関係について追求してみます。
まず天皇と道教の関係について挙げてみます。
(1)天皇大帝(天皇)
道教において天皇大帝(天皇)とは、もともと北辰の星、すなわち北極星を神格化したものです。だいたい紀元前三世紀、中国の戦国時代の終わりごろから発達してくる星占術的な天文学のなかで、天体観測の最高基準になる北極星(=天の周りの中心)が神格化されて天皇大帝が出現しています。
(2)天皇即位と三(二)種の神器
天皇の位を象徴するものを三種の神器と呼んでいますが、日本書紀や養老令によると古い時代には鏡と剣との二種の神器であり、皇位を伝えるときには、その璽(しるし)として鏡と剣とが授与されると記されています。(ちなみに三種の神器は、八咫鏡(やたのかがみ)・天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま))道教では宇宙の最高神である天皇大帝の聖なる権威を象徴するものとして、鏡と剣の二種の神器があるとされています。
(3)皇室が尊重する紫色
日本では古くから紫色が尊重され、紫色が現在に至るまで皇室の色とされています。道教では、天皇大帝は天上世界の宮殿である紫宮に住んでいるとされ、紫色は中国→日本で重用されるようになっています。
(4)四方拝の儀式
元旦に天皇が宮中で行っている四方拝の儀式は、中国における道教の宗教儀礼をそのまま日本の宮廷に持ち込んだものとされています。四方拝とは、四方を拝して一年間の無病息災を祈るものですが、これは道教の経典に具体的な記述がなされています。
このように天皇と道教には深い関係があるようです。
ではここから、なぜ天皇と道教はこれほどの
関わりを持っているのか?を考えてみたいと思います。

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このことを紐解いていく上で、道教についての認識が
ポイントになりますので、以前にこのブログで追求した記事を引用します。

道教の教えの母胎は母系制の時代の共同体社会にあるわけです。
仲間を慈しみ、欲は少なく、謙虚で、柔軟であること、、、無為自然。
道教は現実を直視し、現実を生きる中で必然的に生まれた宗教、
というよりも共同体規範と言えるのでしょう。
道教~母系氏族社会を源流とした共同体規範 [4]
『道』(万物の理か?)に同化して『徳』を積むことの重要性を繰り返し説いています。
道教はたしかに、万物の法則や共認原理を原点にしているようですね!
道教の本源性を探る~『道徳経』の教えより [5]

このように道教とは、共同体社会を母体としており、共同体体質を持った日本人になじみ易いものだったのです。
つまり支配層からみれば、道教は日本を統治するのに適した思想といえます。
また天皇の成立を7世紀の天武朝に求めてみると、壬申の乱で大友皇子を打ち倒した天武天皇ですが、そのまま大王になるには、事の発端はどうであれ玉座を血に染めて奪ったという印象が強くなってしまいます。
そこで今までの大王という位ではなく、新たな位を求めたと考えられます。
さらには中央集権化も視野に入れて、今までの豪族の代表という大王の位から、より上位の天皇(道教の最上神)の位を制定し、自らの正当性(確固たる地位)を築きたかったのではないでしょうか。
<参考文献>
道教と古代の天皇制(福永光司・上田正昭・上山春平著)
道教と日本文化(福永光司著)
歴史の中の天皇(吉田孝著)
天皇家の誕生(井上辰雄)
<参考サイト>
るいネット [6]
中国の道教 [7]

[8] [9] [10]