お久しぶりです。ぴんぐ~です
突然ですが皆様、『ギルガメシュ叙事詩』ってご存知ですか?
『ギルガメシュ叙事詩』とは、世界最古の文字、楔形文字で書かれた古代メソポタミアの文学作品です。
なんとこの物語、森の神殺し から始まるのです。
(ギルガメシュ叙事詩の粘土板) (レバノン杉)
ユーフラテス川の下流域にウルクという都市国家があり、そこの王様 ギルガメシュは自分の町を立派にするためには 木 が必要!ということで、レバノン杉の森に出かけていきます。
みんなは、「レバノン杉の森にはフンババという森の神がいて、行ったら殺されるからやめとけ 😡 」と言うのですが、ギルガメシュは半身半獣の神様エンキムドゥの助けを借りて、森の神フンババと戦い 、殺して、とうとうレバノン杉の森を手に入れるのです
でも、なんで森の神を殺すことが、物語になる程ギルガメシュ王の武勲とされたのでしょう?
不思議ですよね ?
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その答えは、花粉の化石研究で明らかになりました
花粉の化石によって、当時どんな森があったのか?どんな植物が生えていたのか?の変遷をたどることができるのです
その研究によると・・・古代メソポタミアの森林破壊 の様子が見えてきます。
まず、今から1万年ほど前にシリアのガーブ・バレイというレバノン山脈東部の落葉ナラの森が激減 、代わりにオリーブの花粉が増えてきます
→これは1万年前にオリーブの栽培に携わった人がレバノン山脈東側斜面の落葉ナラの森を破壊したことを示しています。
7千年前、比較的低いところにあるナラの森は破壊され、1000m以上高いところにあるレバノン杉も、レバノン山脈東側斜面のユーフラテス川に面したところから姿を消します。
5千年前ギルガメシュ王の時代、ガーブ・バレイの周辺には落葉ナラのはおろか、うっそうとしていたレバノン杉の森 も姿を消します。
この頃には既にメソポタミアの人々は森林資源の枯渇に直面していました
そして、森を破壊したあと、4200年前ほど前この地に大干ばつが直撃します。そして、メソポタミアは崩壊へ・・・・
ギルガメシュ王の時代、誰もが必死 に枯渇していく森林資源を求めていたのです。
だから、ギルガメシュ王がウルクから遥か2000㎞も離れたレバノン山脈までレバノン杉を取りに行ったのは、物語になるほどウルクの皆に認められた偉業だった というのがよくわかりますね。
レバノン杉が生えていた地域はメソポタミアとエジプトに囲まれていて、そこでレはバノン杉の宮殿を作ったり、ミイラを作るのにレバノン杉の樹液が使われたりと、もともと多くはない森林資源を競って求めるようになり、その結果、森林は破壊され、文明が崩壊してしまう・・・
なんだか、現在の森林破壊問題と根っこは同じじゃない? と思えてきました 🙁
(参考図書:安田喜憲著「環境考古学のすすめ」)