- 縄文と古代文明を探求しよう! - http://web.joumon.jp.net/blog -

アメリカの先住民はどこから来たの?

以前に「北方モンゴロイドって何?」 [1]という記事がありました。
その中で、アメリカにはいつごろ人類が到達したのかが述べられています。シベリアからアメリカ大陸につながるベーリング海峡がは、1万2千年前には陸続きで、マンモスやトナカイを追っていた北方モンゴロイドが、これら追ってアメリカ大陸にやってきたという考え方です。メソアメリカの古代文明を築いた先住民が、北方モンゴロイドだという説ですね。
今回は、それより以前に海を渡って、アメリカに渡った人類がいたというお話です。%E8%B5%A4%E9%81%93%E3%81%AE%E6%B5%81%E3%82%8C.jpg
Blog Ranking [2] にほんブログ村 歴史ブログへ [3]


1996年に、アメリカ ワシントン州コロンビア川からで発見された遺骨が、その後の調査で、今から約9300年前の物とわかり、大騒動となったことがあります。これは後にケネウィックマンと名づけられたのですが、その特徴は研究が進むにつれ明らかになってきました。2001年7月、ミシガン大学のローリング・ブレース博士の研究グループによりケネウィックマン縄文人説を裏付ける更なる証拠が出てきたというのです。「kitombo.com」 [4]というサイトで詳しく紹介されている記事が非常に興味をそそられます。以下引用さていただきました。 

ブレース博士等は、北米の西部地域及びアジア大陸に住む現在の住民、及び古代人の1000人分以上の頭蓋骨を21箇所の解剖学的基準に基づいて比較検討した。それぞれの測定結果を、デンドログラムと呼ばれるツリー状のグラフにまとめた結果、古い時代のアメリカ先住民は、現在のアメリカ先住民や北方アジア人とはまったく似ていない事がわかったのだ。
 古代のアメリカ先住民に最も近いのは、縄文人と現在のアイヌ人、ポリネシア人という結果だった。いわゆる古モンゴロイドと呼ばれている集団である。ブレース博士等は、これらの研究結果に基づきアメリカ最初の移住者は、約1万5000年前の氷河期に日本から移住してきた縄文人であり、約5000年前に北方アジアから移住した人々が先住の縄文人と入れ替わり現在のアメリカ先住民になったと言う仮説をたてた。
中には1万2000年前より古いと考えられている物もある。そして、これら古い人骨の研究が進んだ結果、初期のアメリカ先住民は、北東モンゴロイド系とは、異なる特徴を持っていたことが明らかになった。
 まず、最も話題を集めているケネウィックマンから、話をすすめよう。この人骨は、アメリカ・ワシントン州で発見されたもので、発見当初、白人の特徴を備えていると話題になった。しかし、後の研究からは、日本のアイヌ人やポリネシア人により近い事が判明し、古モンゴロイド系であると考えられるようになった。(詳しくは黄トンボコラム内ケネウィックマン及び楽園を求めた縄文人参照)

 
このケネウィックマン以外でも、2002年にも、メキシコでアメリカ最古級になる1万3000年前の人骨が確認されているようです。他にもエクアドルのバルでリビア遺跡から出土する土器が縄文土器と酷似しているとか、明らかに古モンゴロイドが太平洋を渡ってきたと見られる証拠が次々に出てきています。
%E7%B8%84%E6%96%87%E5%9C%9F%E5%99%A8%E3%81%AE%E6%96%87%E6%A7%98.jpg  %E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%93%E3%82%A2%E5%9C%9F%E5%99%A8%E3%81%AE%E6%96%87%E6%A7%98.jpg
しかし、「大昔の縄文人が太平洋なんか渡れるわけはない」と思うのが凡人の発想ですよね。私もそう思いましたが、吉田武彦氏の「海の古代史」 [5]を読むと、そんなことは単なる思い込みということを感じずにはいられません。そこには、色々な分野の学術的研究の一致点として、日本からアメリカ、エクアドルに人が渡ったであろう論拠が示されています。その一部引用してみますと・・・・。

(略)・・・・一九九五年は、エヴァンズ説にとって黄金の年となった。なぜなら、その前年、「四柱の論証」が成立していたからである。新しい論証から、さかのばってみよう。
 第一は、「HTLV I(ローマ字)型の論証」である。一九九四年、名古屋で行われた日本ガン学界において田島和雄氏(愛知ガンセンター疫学部長)によって報告された。それによると、日本列島の太平洋岸(沖縄・鹿児島・高知県足摺岬・和歌山・北海道)の住民(現在)に分布する、HTLV I(ローマ字)型のウイルスと同一のウイルスが、南米北・中部山地のインディオの中にも濃密に発見された。その結果、両者が「共通の祖先」をもつことが推定されるに至ったのである。・・・・
 第二は、「寄生虫の論証」である。一九八○年、ブラジルの奇生虫研究の専門家グループ、アウラージョ博士等による共同報告である。それによると、南米の北・中部に分布する、モンゴロイドのミイラには、その体内もしくは野外に「糞石」が化石化して存在する。その中の(同じく化石化した)寄生虫に対して調査研究を行った。その結果、それらの寄生虫はアジア産、ことに日本列島に多い種類のものであることが判明したのである。この寄生虫は寒さに弱く、摂氏二十二度以下では死滅する。従って通常考えられやすい「ベーリング海峡〈ベーリンジヤー)経由ルート」では不可能である。事実、シベリアやアラスカ等には、これらの寄生虫を「糞石」の中に見いだすことはできない。従って残された可能性は、エヴァンズ夫妻等によって提唱された「日本列島→南米西岸部(エクアドル)」の黒潮(日本海流)ルートによると考えざるをえない。これが、共同報告の結論であった。・・・・・・(略)いずれにせよ、右のような「縄文時代における、日本列島から南米西岸部への、人間渡来」というテーマが、その共同報告の帰結をなしていることは疑いがたい。・・・・・(後略)

ベーリング海峡を渡った北方モンゴロイド以前に、すでに、この時代に太平洋を黒潮や赤道海流に乗って渡った古モンゴロイド(もしかしたら縄文人?)・・・人類の拡散のパワーってすごいと思いませんか?

[6] [7] [8]